"Kingsman: The Secret Service" 、"Kingsman: The Golden Circle"のシリーズ第三作を観てきた。今回は、続編ではなく前日譚。邦題は「キングスマン:ファースト・エージェント」
舞台は1914年。第一次世界大戦に向かう欧州。Ralph Fiennes演じる主人公は、国王とも近い英国貴族。平和主義で知られる彼が、Savile Rowの超高級テイラー The King's Manを隠れ蓑にした独立諜報機関 = Kingsman を設立するに至る過程を描く。
ボーア戦争やサラエボ事件などの史実を背景に、英国のKing George・ドイツのKaiser Wilhelm・ロシアのTsar Nicholas(Tom Hollanderが一人三役で怪演)、怪僧 Rasputin、女スパイ Mata Hariなど、実在の人物を大胆に組み入れたストーリーが上手い。歴史をまるっきり無視するわけにはいかない制約があるからか、このシリーズの良くも悪くも特徴である荒唐無稽な暴走が控え目だと思う。結果的に、分かりやすく、感情移入しやすい物語になっている。
監督・脚本は、シリーズを通してMatthew Vaughnが務めているので、その設定に揺るぎは無い。シリーズの次回作が、第二次大戦前後を舞台にしたものになるのか(その伏線は示唆されている)、再び、現在を舞台にしたものに戻るのか、いずれにしても期待大だ。
それにしても、最近、第一次世界大戦の塹壕戦を描く映画が多いような気がするのだが、何か理由があるのだろうか?
クラシック・ギター奏者、村治佳織と村治奏一の姉弟デュオの公演を観に、関内ホールに行ってきた。
これまで、村治佳織の公演は、渡辺香津美との共演や、オーケストラとの共演を観ているが、ガチのクラシック・ギター公演というのは初めてだ。
まずは、二人で「アルハンブラの思い出」。弟、村治奏一の演奏は初めて観るが、(当たり前だが)上手い。トレモロ奏法を駆使した2人=12本の弦の繊細な響きが美しい。その後、村治佳織が積極的に取り組んでいる映画音楽から、「プライドと偏見」、「ニュー・シネマ・パラダイス」を披露した後、村治奏一のソロの部。映画音楽の他、J. S. バッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」。
休憩を挟んで、第二部は村治佳織のソロからスタート。映画音楽づくし。「How Deep Is Your Love(愛はきらめきの中に / 映画:Saturday Night Fever)」、モリコーネの「ガブリエルのオーボエ(映画:The Mission)」、「禁じられた遊び」、「人生のメリーゴーランド(映画:ハウルの動く城)」。そして、奏一が戻って、デュオで、ピアソラの「リベルタンゴ」など3曲。
アンコールは、村治奏一のオリジナル曲のソロ、村治佳織のオリジナル曲のソロ、そして、デュオで「Cavatina (映画:The Deer Hunter)」を、たっぷり披露し、全編終了。
この日の公演は14時開演。歳末の何かと慌ただしい日曜の午後、ゆったりとした時間を清涼なギターの音色で過ごすというのは、中々に贅沢ではあったが、いかんせん、時折、睡魔に襲われたりもしてしまった。観客席の照明が、完全には落とされず、やや明るめだったのは、熟睡者が出るのを防ぐためだったのかもしれない。