"SAVE LIVE MUSIC V" 上原ひろみ×矢野顕子


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メンバー
2021年5月26日(水)
2021年5月27日(木)
2021年5月29日(土)
2021年5月30日(日)

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上原ひろみ(piano

MCは一切されず。矢野さんに「上原ひろみが壊れた」と言わしめるほどのソロ・プレイを披露。ブルーノート東京の看板の下には、彼女の表札も掲げられているらしい(

矢野顕子(piano

MCを一手に引き受けていました。ご本人曰く、ピアノの音数は上原さんの 1/200〜1/300(

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button 2021年5月26日(水)

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2nd Show
  1. ラーメンたべたい
  2. げんこつアイランド(童謡「げんこつやまのたぬきさん」と、"Cantaloupe Island" by Herbie Hancock の組み合わせ
  3. DREAMER
  4. Margarita!(上原さん ソロ
  5. 大家さんと僕矢野さん ソロ
  6. リンゴ祭り
アンコール
  1. Green Tea Farm
  2. 飛ばしていくよ

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コロナ禍に苦しむライヴ業界のためにと、上原ひろみさんが企画したシリーズ公演「SAVE LIVE MUSIC」。2020年8月以降、2度のシリーズでは、ソロ、弦楽四重奏との共演、タップダンサー 熊谷和徳さんとの共演など、様々なチャレンジが展開されてきた。そして、その第三弾に、矢野さんとの共演がラインナップ。このシリーズに通ってきた私には望外のプレゼント企画だ(しかし、チケット争奪戦は熾烈を極めた

緊急事態宣言の延長を受け、平日の2nd Showは、20:30開始の予定だったのが19:30開始に変更。飲食は可能だが、アルコールの提供は無し。舞台上には、向かって左にSteinway、右にYAMAHAのグランドピアノ。2台とも、屋根は外されている。私の席はYAMAHA側だが、上原さんの手元は見えない角度だ。

白い衣装の矢野さんと緑の衣装の上原さん登場。まずは、「ラーメンたべたい」。「ラーメンな女たち」収録バージョンだ。このアレンジ、好きだなぁ。特に「オトコもつらいけど」のところ。続いて、新曲。童謡「げんこつやまのたぬきさん」にジャズの曲を組み合わせた、このコンビお得意のパターン(ジャズの方の曲名、聞き取れず。後日、"Cantaloupe Island"と判明)。

ここで、矢野さんのMC。この公演のためのスペシャル・メニューのご紹介。まずは、矢野×上原とくれば当然のラーメン「RAMEN SAVES LIVE MUSIC」(ホールスタッフの中に、いかにもラーメン屋の店員っぽい扮装の男性が一人)。デザートメニューに「ピアノが上手くなるりんごのタルト」。そして、ノンアルコール・カクテル「"長い、しあわせ"」。さらに、直筆サイン入りのワインと、Tシャツもしっかり宣伝。

「DREAMER」は、上原さんのピアノと矢野さんの歌唱の溶け合い具合が、実にエモーショナルだ。そして、矢野さんが捌けて、上原さんのソロ。トリッキーな奏法を連発。入れ替わりで登場した矢野さんが思わず「上原ひろみが壊れた…」。そして、矢野さんのソロは「大家さんと僕」。

本編ラストは、このコンビの初期の大ヒット曲「リンゴ祭り」。出だしこそ、矢野さんの口が回らない所があったが、力技でそこを乗り切って、どんどん盛り上がる。

アンコール。矢野さんはネイヴィー、上原さんは白のSAVE LIVE MUSIC Tシャツに着替えての登場。そして、矢野さんはスタンディング・マイクで「Green Tea Farm」。当たり前だが、この二人でこの曲。沁みる。そして、オーラスは、このコンビの後期の大ヒット曲「飛ばしていくよ」。どんどん加速し白熱する演奏に大興奮。これで、全編終了。

この広さの会場で、お二人のライヴが観られるのは、実に嬉しい体験だ。歌唱もピアノも、絶好調。二人の魅力の足し算としては当然の如く素晴らしく、大満足だ。ただ、ライヴならではの化学反応がもっと加われば、二人の魅力の掛け算はこんなものじゃ無いはず、と感じてしまったのは、残業を無理矢理切り上げて駆けつけた自分のコンディションのせいかな。それでも、舞台上の二人が、とにかく笑顔たっぷりだったのが、なんだかとても嬉しかった。

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button 2021年5月27日(木)

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2nd Show、26日と同じ。

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二日目のブルーノート。本日も、舞台上には、向かって左にSteinway、右にYAMAHAのグランドピアノ。2台とも、屋根は外されている。白い衣装の矢野さんと緑の衣装の上原さんも昨日と同じだ。今回の私の席は、Steinway側。矢野さんの手元がハッキリ見える場所だ。

一曲目、「ラーメンたべたい」。これでぶっ飛ぶ。昨日よりも遙かにエキサイティングな演奏だ。昨日は、矢野さんの声が張りすぎている印象(ご本人の歌唱だけで無く、PAバランスも)だった。これが、微妙な違和感だったと気づく。今日は、歌唱もPAバランスも、見事に軌道修正されていて、歌とピアノの一体感が素晴らしい。2回目で私の耳が慣れた、ということだけでは無いと思う。そして、この絶妙な一体感が、「げんこつアイランド」の’演奏でも生きていて、二人の掛け合い(特に、上原さんがグイグイ仕掛けてくる感じ)が実に良い。何かが憑依しているかのような上原さんに対し、矢野さんの方は、難しい指さばきを決めながらも笑顔も絶やさないのが対照的。この二人のバランス、観ているだけで楽しくなってくる。

ここで、矢野さんのMCが入るのだが、飲食が可能なのは20時まで。ラーメンやスペシャル・ドリンクの宣伝をされても、もう、オーダー出来ないというのが哀しい。

「DREAMER」は、昨日以上にダイナミック・レンジが広いと感じる。そして、矢野さんが捌けての、上原さんのソロ。トリッキーな奏法がさらに爆発。矢野さんのソロは「大家さんと僕」。わがままを言えば、ソロ曲は日替わりだったら、という気もするが、全体の流れを考えるとベストの選曲という気もする。

そして、本編ラスト「リンゴ祭り」。二人の丁々発止の掛け合いが楽しいったらありゃしない。

アンコール。今日は、矢野さんが白、上原さんがネイヴィーのSAVE LIVE MUSIC Tシャツに着替えての登場。そして、矢野さんはスタンディング・マイクで「Green Tea Farm」。これまでの高速プレイから一転、最小限のピアノに音に支えられた矢野さんの歌唱が、深く染みこむ。そして、オーラスの「飛ばしていくよ」。このステージの素晴らしさが凝縮したようなスピード感。もはや、スポーツ・カーではなく、ロケットで飛ばしているかのようだ。これで、全編終了。

ホール公演とは違う親密さが立ちこめる空間で、お二人の笑顔と、相互の信頼感に支えられた見事なコンビネーション。これこそ、ライヴならではの化学反応だ。たっぷりと満足感に浸ったのである。

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button 2021年5月29日(土)

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1st Show、26日と同じ。

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一日休みを挟んで、このシリーズも後半戦。今回の私の席は、前回よりもさらに左=Steinway=矢野さん寄りだ。この公演は、せっかくピアノを弾く手元が見えるほどの小さなハコなのに、なまじ左右中央の席だと、どちらの鍵盤も見えない。上原さん側だと、その超高速プレイに目が釘付けになってしまい、演奏中、矢野さんの方を、一切見なくなってしまうリスクが高い。つまり、Steinwayの斜め後ろぐらいの角度で矢野さんの手元と、上原さんの表情・アイコンタクトを見て楽しむのがベストというのが、個人的な検討結果である。まあ、どの席になるかは運次第だが。

矢野さんは、衣装が替わり、ピンクのブラウスに銀のパンツ。上原さんは緑の衣装。1曲目の出だしから絶好調が伝わってくる。やっぱり、このラーメン・アレンジ、好きだなぁ。今回は、間奏のピアノも良く歌っているという印象だ。

そして、今日の演奏で特に印象深かったのが「DREAMER」。柄にも無く、エモいという表現を使いたくなってしまう、出色の演奏だ。

「リンゴ祭り」は、早口歌詞のところで矢野さんの口が回らなくなってしまう箇所があったが、そこを(力づくでは無く)技で切り抜けたという感じ。それが、後半のスキャットと上原さんのピアノとの掛け合いの楽しさにつながっている。やはり、丁々発止のライヴは面白い。

アンコール。今日のTシャツは、矢野さんがネイヴィー、上原さんが白。「Green Tea Farm」は、矢野さんの歌への感情の込め方にシビれる。そして、最後の「飛ばしていくよ」。ステージを重ねるごとに、どんどん進化していると感じる。この曲の間奏の時だけは、冒頭で書いたことを撤回。上原さんの後方から、その手元を見たい!

ということで、残すは一日。着実に、熱量も、スピード感も、コンビネーションも、高まりまくっているだけに、楽しみしか無い。明日は配信があるので、多くの人に、このとんでもないパフォーマンスを体験していただきたいと切望。

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button 2021年5月30日(日)

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1st、2ndとも、26日と同じ

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いよいよ最終日。まず、1st Show。。例によって、舞台上には、向かって左にSteinway、右にYAMAHAのグランドピアノ。2台とも、屋根は外されている。昨日と同じく、ピンクの衣装の矢野さんと緑の衣装の上原さん。今回も私の席は、Steinway側。矢野さんの手元と、上原さんの表情がハッキリ見える場所だ。

1曲目「ラーメンたべたい」。これまで以上に表情豊かな演奏だと思う。そして、これだけの音数を繰り出しながら、二人とも笑顔で演奏というのは、つくづく凄いと改めて感心。2曲目「げんこつアイランド」(最終日でようやく、「げんこつやまのたぬきさん」とHerbie Hancock の「Cantaloupe Island」のマッシュアップだと分かった)。この曲の肝は、二人のピアノでの語り合いだと思うのだが、さすが最終日。とても良い感じだ。この後、MC=ショップチャンネルが入るのも、これまで通り。

3曲目、ドラマチックな展開の「DREAMER」。そして、矢野さんが捌けて上原さんのソロ。これまで以上にキレキレで、時間もたっぷり使ったと思う。入れ替わっての矢野さんのソロは、対照的に、しっとりとした「大家さんと僕」。

二人が揃って、本編ラスト「リンゴ祭り」。この曲も、楽しさ増量。特に、終盤の二人のアドリブの掛け合いが楽しい。攻める上原さんに、防戦する矢野さんは客席に向かって「何か思いつきませんか?」。やっぱりライヴは面白いなぁ。

アンコール。矢野さんが白。上原さんがネイヴィーのTシャツに着替えて登場。「Green Tea Farm」は、お二人が共演するきっかけとなった曲。上原さんが、まだ、矢野さんと直接の面識が無いときに、その声質を念頭に作詞・作曲した作品だ。研ぎ澄まされたピアノの音をバックに、スタンディング・マイクで情感たっぷりに矢野さんが歌唱。実に沁みるパフォーマンスなのだが、その裏には、この曲の時だけ空調の音を下げるという、ブルーノート東京スタッフの心遣いがあるという。さすが、お客さんだけでなく、ミュージシャンからも愛されるジャズ・クラブだ。

そして、最後の「飛ばしていくよ」。1stだというのに、出し惜しみ無しの大熱演。こんなに飛ばして、2ndは大丈夫かと心配になるほどだ。つくづく、最終日は特別だなぁと嬉しくなって、1st Showは終了。


2nd Show。私は、チケット争奪戦に敗退したのだが、同行者の都合がつかなかった知人とご一緒させていだけるという幸運に恵まれた。席は、今回のシリーズで初めて、YAMAHA=上原さん側の後方で手元が見える角度。これもまた、ラッキーだ。1stでは「RAMEN SAVES LIVE MUSIC」、そして、2ndでは「ピアノが上手くなるりんごのタルト」で、腹ごしらえもバッチリ。

演奏開始。「ラーメンたべたい」。1stも素晴らしかったが、2ndがまた良い。矢野さんは、配信を意識されてか、歌詞を届けることにも、これまで以上に気を遣っているように思う。それにしても、良いアレンジだよなぁ。私が大好きなこのアレンジは、お二人じゃないと再現できない。まさに、ライヴは一期一会だ。続く、「げんこつアイランド」。二人の親密なピアノでの会話が心地よく、かつエキサイティングだ。

3曲目の「DREAMER」は、1st以上にドラマチックかつダイナミック・レンジの広いパフォーマンスだ。そして、矢野さんが捌けて上原さんのソロ。こちらも、さらにキレキレの、トリッキーなプレイが炸裂。時間も長くなっていたかも。入れ替わっての矢野さんのソロは、対照的に、しっとりとした「大家さんと僕」。歌詞への情感の込め方が良いなぁ。

二人が揃って、本編ラスト。二人の初期の大ヒット曲「リンゴ祭り」。演奏前に、上原さんに向かって「また、気が向いたら声を掛けてください。練習します」と矢野さん。実現すれば良いなぁ。そして、始まった演奏。素晴らしい。終盤のアドリブ合戦では、1stのリベンジとばかりにスキャットを繰り出す矢野さん。受けて立つ上原さんのピアノ。ライヴの楽しさに満ち満ちたパフォーマンスだ。

アンコール。矢野さんが白。上原さんがネイヴィーのTシャツに着替えて登場。「Green Tea Farm」。上原さんのピアノは、これまでとは一転、最小限の音数なのに、そこに深い想いが込められていることが伝わってくる。そして、矢野さんの歌唱にもまた、たっぷりと想いが入っている。最終公演での、このパフォーマンスは、涙腺刺激度が特に高い。

ここで、しんみりしたMCが入るかと思いきや、「今日でワインを売り切らないと、二人が在庫を抱えることになってしまいます」と、直筆サイン入りワインの、最後の購入のお願い。さらに、6月1日の上原さんのソロ・ライヴの生配信の時間が変更になった旨の業務連絡。そして、いよいよオーラス「飛ばしていくよ」。私としては、念願叶って、この曲を弾く上原さんの手元が見られる角度での鑑賞となったが、とにかく凄い。速い。力強い。一方、矢野さんの演奏も歌唱も絶好調。矢野さんは「今日が終われば、びた一文、力は残らない」と宣言していたが、まさに完全燃焼。一方、上原さんは、これだけ攻めまくった演奏を繰り出しながら、明日もソロ公演って、桁外れのパワーにも程がある。とにかく、最終日・最終公演のスペシャル感に満ちた、超白熱のライヴに大興奮。ああ、凄いものを観せていただいた。


緊急事態宣言がさらに延長され、ライヴ・シーンを巡る状況は一層厳しくなり、関係者の皆さんは、本当に大変だと思う。そんな中、精力的に動き続ける上原ひろみさんには、つくづく頭が下がる。もちろん、ブルーノート東京のスタッフも素晴らしい仕事ぶりだ。そして、一観客としては、このような事態の中で(あるいは、このような事態になったからこそ、と言うべきか)矢野顕子×上原ひろみのライヴが実現したことが、本当に有り難く、嬉しかった。いやぁ、それにしても、凄かったな。

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