IN/OUT (2021.10.24)

ようやく、外食に関する規制が、ほぼ撤回されることになりました。有り難いことではありますが、職場での大人数の宴会とかは、当分は復活しないような気がします。これだけテレワークが常態化してしまうと、忘年会のために出社、というのもあり得ないな…


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「庵野秀明展」@国立新美術館21.10.23

国立新美術館シン・エヴァンゲリオン劇場版」の大ヒットで、オタク以外の一般人にまでその名を知られることになった庵野秀明の、初期から最新作までを網羅した展覧会を観に、国立新美術館に行ってきた。

最初の展示室には、彼の作品は並んでいない。そこにあるのは、幼少期の彼に影響を与えた漫画、アニメ、特撮作品に関する膨大なグッズだ。「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の映像、「海底軍艦の轟天号」「緯度0大作戦のα号」「スターウルフのバッカスIII世号」などの模型、「超少女明日香」や「バビル2世」の原画、等々。物凄い物量だ。周囲の若い観覧者が「あ、これは知ってる!」などと会話している中、私は、ほとんどは見ただけで名前が分かる。私のストライク・ゾーンばかりなのである。彼が「宇宙の騎士テッカマン」について記した文章など、まさに我が意を得たり、という感じ。うーん、やはり憎めない作家だ。因みに、何故か彼の実家にあった足踏み式ミシンも展示されているのだが、それもまた、私の母が使っていた物に良く似ている…。彼の方が私よりも少しだけ年上だが、ほぼ同じ物を観て育ってきたのだと実感するし、お互い、「三つ子の魂百まで」という言葉が当てはまるなぁと思ってしまう。私は、必ずしも庵野作品を全面的に肯定するものではないのだが、そう感じてしまうのは、近親憎悪的な要素があるのかもしれない…

続いて、彼がアマチュア時代に関わってきた作品が並ぶ。古くは、1981年、大阪で開催された第20回日本SF大会(通称「DAICON 3」)で公開された8mmアニメ。これは、当時のSFマニアやアニメファンの間で大評判になった作品で、私もその名前は覚えていたのだが、実際に観るのは初めてだ。そして、彼自身がウルトラマンに扮した実写自主映画「DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン」も上映されている。伝説的と言える作品を観られるのは嬉しい限りだし、これらの1970年代から80年代初期の映像から感じるのも「ザ・三つ子の魂」である。

国立新美術館そこから先は、プロになってからの彼が関わった「王立宇宙軍」、「風の谷のナウシカ」、「トップをねらえ!」、「不思議の海のナディア」、「新世紀エヴァンゲリオン」、「美少女戦士セーラームーンS」、「シン・ゴジラ」などなど、膨大な作品の画コンテ、設定資料、色指定資料、台本などが並ぶ。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の第三村のミニチュアのような分かりやすい物も有るが、全体的には、かなりマニアックな展示物だ。もちろん、この美術展に足を運ぶのはマニアックな人達ばかりなので、皆、嬉々として写真を撮っている。

国立新美術館 展示物には、もう少し工夫があっても良かったような気もするが、「シン・ウルトラマン」と「シン・仮面ライダー」の企画が進む今、タイミングの良い企画だと思う。

なお、縁起物として、美術館内のレストランで展覧会とのコラボレーション・メニューも食べてみたが、料理を持ってきたウェイターが、一々、「エヴァンゲリオン初号機とカシウスの槍のシーンを再現した、」とか「シン・ゴジラを模した、」とか「5人のEVAパイロットをイメージした、」といった説明をしてくれるのが楽しい。そして、それぞれ、イメージの再現度が高い(勿論、味も素晴らしい)のにも驚いた。飲食スペースの充実も、良い美術館の条件だ。

「国立・シン・美術館」。この展覧会にピッタリの会場である。



「新しい生活様式」という言葉を耳にする機会は減ったように思いますが、そこで謳われていたことの多くは、いつの間にか「新しい」ではなく「当たり前」になっているのだと実感する、今日この頃です。