IN/OUT (2015.9.13) |
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職場の近くに、またもや「バル」を名乗る店が増えました。最近、新装開店する飲み屋のかなりの割合が「バル」を名乗っているような気がします。「街バル」なんて、なんとも不思議な日本語まで出来ているようで、何だかなぁという気がする今日この頃です。このまま定着するのか、そのうち「カフェバー」みたいに死語に近くなるのか。 最近のIN"Kingsman: The Secret Service" (15.9.12)Matthew Vaughn監督の新作を観てきた。 "Kingman"は、表向きは、Savile Rowの高級スーツ店。裏では無国籍のスパイ組織。組織を構成するのは、"Arthur"をリーダーに、"Lancelot"、"Galahad"など円卓の騎士の名前をコードネームとする上流階級出身者のみ(007シリーズにおける"Q"の役割を務めるのは、当然"Merlin")。高級スーツに身を包み、先端からナイフが飛び出す靴や、特殊銃弾を発射できる防弾コウモリ傘など、昔懐かしのスパイ映画に登場していたようなガジェットを駆使して、正義のために戦う。 映画は、死亡したエージェントの代わりとしてスカウトされた若者達を選抜するための特訓と、Samuel L. Jackson扮するIT長者が画策する恐るべき陰謀を阻止しようとするKingsmanの活躍を並行して描く。Galahadのコードネームのエージェントを演じるのは、正当派二枚目俳優の印象が強いColin Firth。いかにも英国紳士らしい台詞回しと身のこなしを見せつつ、Matthew Vaughn監督独特のスピード感溢れるアクション・シーンをこなしているのが、カッコ良し。 設定から分かるように、007やナポレオン・ソロなど、60~70年代頃のスパイ映画へのオマージュに溢れた作品である。アナログ感溢れる秘密兵器も楽しいし、Colin FirthとSamuel L. Jacksonの台詞の応酬は、昔の007が、荒唐無稽な世界征服作戦を目論む悪役と秘密基地の中で繰り広げていた洒落た会話を捻ったようで、ニヤリとさせる。ラストは、主人公が美女とムフフという展開になるのも、007のお約束。そこに、労働者階級出身の若者が、紳士のスパイに成長していく物語が加わる。 米国南部のキリスト教原理主義者の教会での虐殺シーンや、アメリカの典型的IT長者でエコが大好きSamuel L. Jacksonと、彼が企む陰謀の描き方など、毒気もたっぷり。英国出身のMatthew Vaughn監督ならではの皮肉が効きまくった演出が見所。 さらに、監督の映像及び音楽センスの良さには、毎回、感心させられる。この映画でも、冒頭とラストで、ラジカセから流れる音楽や、教会での虐殺シーンにかかるBGMなど、その選曲センスに感心するし、単に速くて派手なだけで無く、何が起こっているのか観客に理解させつつ、主人公が「見得を切る」所作を押さえたアクション・シーンの演出も見事。ラスト近く、Tarantinoだったら、血みどろスプラッター大会にしそうな展開があるのだが、Matthew Vaughnは、巧みにそれを回避。 若干、スピード感にかける気がするところもあったが、Matthew Vaughn監督 & 原作のMark Millar("Kick-Ass"も手がけているコミック原作者)の特質が良く現れた作品だった。 なお、この映画には、Mark "Luke Skywalker" Hamillが出演しているのだが、一瞬、分からなかった。Star Warsの新作にも出演しているそうだが、あの容姿で大丈夫かしらん? 「70'sバイブレーション! ~横浜でダージリン・スペシャル~」 (15.9.13)横浜赤レンガ倉庫を中心に開催されていた、1970年代のカルチャーにスポットを当てたイベント「70'S VIBRATION」。その最後を飾る音楽イベントを見に、神奈川芸術劇場に行ってきた。 中心は、Dr. kyOnと佐橋佳幸によるユニット、ダージリン。元々、彼らが西麻布の「音楽実験室・新世界」で不定期開催しているイベント「ダージリンの日」が横浜に出張してきたという体のイベントである。今回は、複数のゲストを招いて、1970年代の楽曲のカバーを披露してもらうという趣向。 日本でもトップクラスの売れっ子ギタリストの佐橋佳幸と、キーボーディストのDr. kyOn。この二人だけでも圧倒的な演奏能力ではあるが、今回はゲスト多数のイベントなので、サポートとして、ベースの渡辺等、ドラムスの上原裕、ペダル・スティールの駒沢裕城という、超豪華なメンバーが参加。 まず、登場したのは尾崎亜美。Carole Kingの"You've Got a Friend"、Simon & Garfunkelの"Bridge over Troubled Water"、ユーミンの「卒業写真」、そして、ご自身の「マイピュアレディー」。好きな曲ばかり。バンドの演奏もさすがの安定感だが、駒沢裕城と二人だけで演った「卒業写真」は胸に迫る演奏。そして、個人的には「マイピュアレディー」をご本人の歌唱で聴けたのが嬉しい。ただ、この人、喋り始めると、昔のままの「不思議ちゃん」。そのギャップも楽しい。 続いて、今日のゲストの中で最年少、曽我部恵一。ガロの「学生街の喫茶店」、はっぴいえんどの「空色のクレヨン」「はいからはくち」、そして、自身の娘さんが誕生したときに作ったという曲「おとなになんかならないで」を、最近、お子様が誕生した佐橋佳幸に向けて。他のゲストもその話題に触れることが多く、国民的女優を嫁にもらうと、こうなるということか。 次のゲスト、鈴木慶一になると、演奏曲がかなりディープになってくる。Crazy HorseやGreatful Deadのカバーに、Four Joe Halfの曲など。とにもかくにも、駒沢裕城と鈴木慶一、さらに上原裕が一堂に会するというのは壮観だ。 ゲスト最後は、金子マリ。彼女も一曲目にCarole Kingのカバーを選択。"It's Too Late"。歌っているときのオーラは本当に凄いのだが、喋り始めると、滑舌の悪いおばちゃんという感じで、自由奔放に喋りまくる。佐橋佳幸との会話の中で名前が挙がった難波弘之が、観客として会場に居ることが分かり、彼も舞台に引っ張り上げる。そのまま、Dr. kyOnと一緒にキーボードを弾く羽目になり、Carly Simonの"You're So Vain"。ちゃんと弾けてしまうところが、さすがベテラン・キーボーディスト。そして、金子マリの最後の曲は、なんと憂歌団の「おそうじオバチャン」。一応、1970年代縛りがあるとは言え、これだけ、各ゲストが好き勝手な選曲してるとは。まあ、その辺の雑然としたところも70年代っぽいか。 最後にダージリンの二人だけでしっとりと締めて、終了。1970年代の音楽の中でも、かなり偏った取り上げ方だったような気もするが、元々の楽曲のクオリティが高い上に、演奏者が実力者揃いなので、聴き応えのあるライヴだった。客入れの時には四人囃子の「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」が流されていたので、その辺の曲も演ってくれないかと期待したのは、流石に無理だったが(やはり、私にとって70年代音楽と言えばプログレだ)。でも、難波弘之が、飛び入りじゃ無くて、最初からメンバーに入っていたら、プログレを演る可能性もあったかな。 映画館のついでに、日本橋三井ホールで開催中の「アートアクアリウム 2015」を覗いてきました。ただ、人が多すぎて、じっくり見る気合いが起きず。やはり、私としては、品種改良を突き詰めた金魚の展示より、普通の水族館の方が共感するな。
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