IN/OUT (2021.3.14) |
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緊急事態宣言と言っても、飲食店への時短要請以外、特に取り締まりがされている訳じゃ無い。結局、春になって気温が上がって自然に沈静化するまで時間稼ぎしているだけ、という気がしてきた今日この頃です。 最近のIN「シン・エヴァンゲリオン劇場版」 (21.3.13)「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」4部作の完結編を観てきた。 オリジナルのTVシリーズ(私が見始めたのは再放送からだが)から26年。新劇場版の第一作「序」から14年。紆余曲折はあったものの、これで大団円である。TV版のラストにモヤモヤし、旧劇場版2部作のラストに絶望し、それでも見捨てずにいたけれど、新劇場版「Q」でさらに途方に暮れた私のような人は多いと思う。そういった人達の殆どを唸らせる着地は見事の一言(私は未読だが、恐らく漫画版の読者にとってもそうだろう。パチンコ版のファンの反応は知らんけど)。リアルタイムでは多くの人を困惑させたTV版の最終2話、旧劇場版の乱暴なラスト、Qの理不尽さ、さらには、いつの間にか消えてしまった「新世紀」の文字、等々、皆が釈然としない想いを抱いていたあれやこれやに落とし前を付け、全てが必然だったと納得させる庵野監督の豪腕ぶりは驚異だし、こんな作品に四半世紀も関わっていたら、そりゃぁ神経すり減らすよなぁという想いを抱く。伊吹マヤ、日向マコト、青葉シゲルといった脇役にも用意された胸熱シーンや、随所に仕込まれた伏線回収に思い至る度に、あぁ、見続けてきて良かったとしみじみする155分間だ。 また、画面自体が持つ力強さが尋常では無い。庵野監督は、色々な現代美術を見ているのだろうなという箇所も多い。中でも、佐藤雅晴っぽい映像は(監督が参考にしたのかどうかは分からないが)印象的だった。 ただし、庵野監督の作家性が全開の設定とストーリーは、いささか苦手である。風呂敷を拡げすぎというか、「Star Wars」と同じく、父子喧嘩が周囲を巻き込みすぎというか…。 "Vivarium" (21.3.13)Jesse Eisenberg主演の映画を観てきた。 新居を探す若いカップルが、不動産屋に新興住宅地を案内される。全く同じ外観の家が建ち並ぶ不思議な雰囲気の場所だ。しかし、内見を終わらせ帰ろうとすると、不動産屋の姿が消えている。しかたなく、二人で車で帰ろうとするのだが、どこをどう走っても住宅地から抜け出せず、元の家に戻ってきてしまう。仕方なくその家で過ごすことにした二人の前に段ボール箱が届く。中に入っていたのは赤ん坊。という不条理劇だ。 周囲に並ぶ家に人の気配は無い。食料は何者かによって届けられるが、味がしない。仕方なく面倒を見ることにした赤ん坊は、物凄い勢いで成長していく。細かいことは省きながら進む物語は、「The Twilight Zone」や「The Outer Limits」といった1960年代米国TVドラマの趣きだ。ラストのブラック・ユーモア的オチも、あの手のTVドラマっぽい。とは言え、主人公達がこの状況を受け容れてしまう心理は、もう少し丁寧に描写しても良かったと思う。 地味な展開だが、奇妙な味の映画として中々良く出来ていると思う。ただ、映画の冒頭で、カッコウの托卵についての映像が流れる。これが、ある意味ネタバレで、オチの予想が付いてしまうのは、製作陣の親切心なのか、観客の理解力を馬鹿にしているのかは謎である。 エヴァ人気はすさまじく、映画館は超満員。劇場内は整然としているからまだしも、物販の辺りは完全な密。TOHOシネマズの飲食物売り場は、もう少し導線を改善できないものか。 |