IN/OUT (2021.1.10)

緊急事態宣言下の三連休です。


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"SAVE LIVE MUSIC RETURNS" Hiromi ~PIANO QUINTET~ @ ブルーノート東京、and more...21.1.4

コロナ禍に苦しむライヴ業界のためにと、上原ひろみが昨年の「SAVE LIVE MUSIC」に続き企画した「SAVE LIVE MUSIC RETURNS」。3種のシリーズで18日間・36公演に挑むというものだが、その第一弾、「PIANO QUINTET」と銘打たれたシリーズは、上原ひろみのピアノと弦楽四重奏(西江辰郎(1st ヴァイオリン)、ビルマン聡平(2nd ヴァイオリン)、東条慧(ヴィオラ)、向井航(チェロ))の共演である。初日 1st Showと元日の公演に続き、最終日 2nd Showを観に、ブルーノート東京に行ってきた。

今回の席は、ちょうど第一ヴァイオリン・第二ヴァイオリンの正面。ピアノを弾く手元は見えないが、プレイヤー間のアイコンタクトが良く見える席だ。常に全力で、その日・その場所でしか産まれない音楽を探究するひろみ嬢のライヴは、どのステージも素晴らしいのは無論だが、それでも、最終日の最終公演は特別だろうということで押さえたチケット。期待に違わず、演奏はキレッキレ。ピアノが跳ねている。比喩的にじゃなく、物理的に跳ねている。これまで以上にダイナミック・レンジの広い音。ワクワクした表情のひろみ嬢。さらに弦楽四重奏組もニコニコ。すっかり一体感・信頼感が醸成された5人が、最後のステージを楽しんでいる雰囲気が伝わってくる様子に、こちらも大興奮。本当に、素晴らしいパフォーマンスだった。

彼女のライヴは、ソロ、トリオ、ハープとのコンビ、矢野顕子との共演など、様々なパターンを観てきたが、この弦楽四重奏と組んだクインテットは、それらの中でも最高と言って良いほどのハマり具合だ。組曲「Sliver Liner」も超が付く名曲。音源化熱望である。

しかし、ここに来て、緊急事態宣言発令が現実味を帯びてきてしまった。個人的には、次のシリーズ「SOLO」でどのような曲を採り上げるか興味津々だったし、シリーズ最後の「DUO」での熊谷和徳との共演をこれまで観たことが無かったので超期待していたのだ。

ここで、上原ひろみの決断力・行動力が遺憾なく発揮。1月5日に、1月6日~10日に予定していた「SOLO」公演、及び、1月12日~17日予定の「DUO」公演とも、延期とする決定が下された。チケットは返金。1st Showだけなら20時前には終了するので観られるかもと、邪な希望を持っていたのだが、ひろみ嬢は「観れるお客さんと観れないお客さんと出てきてしまうのは、やはりフェアじゃないと思いました」とキッパリ。公演を楽しみにしていた者にとってはショックだが、それ以上にご本人には辛い決断だったと思う。それを、瞬時に下した彼女の侠気に、さらに惚れ直すのである。



昨年の緊急事態宣言よりも、感染者数は桁違いに増えており、遙かに危機的状況だとは思うのですが、なぜか、20時までなら飲食店や商業施設などの営業はOKという謎の基準。ウィルスが夜行性なのだ。という冗談では済まないと思います。経済との両立を探る中で、100%、皆が納得できる指示を出すことは不可能だとも理解しますが、果たして一ヶ月後に効果が出るのか。出たとしても、その後、また緩んで再々拡大みたいなことにならないのか、スタート早々、荒れ模様の2021年になってしまいました。