IN/OUT (2021.10.3)

ついに、緊急事態宣言が解除になりました。諸々の規制が緩和されるのは、有り難い限りです。もっとも、最近は街の人出もすっかり戻っていた印象で、今更感もありますが…


in最近のIN

"No Time to Die"21.10.2

2006年から続くDaniel Craig版007の5作目にして完結編を観てきた。

それまでの一話完結のスパイ映画から一転、James Bondの地獄巡りとも言えそうな苛酷な人生を追ってきたシリーズ。それを締めくくるにふさわしく、2時間43分の長尺に、アクションから人間ドラマまで、様々な要素をてんこ盛り。脇役も含めたキャラクター全員にしっかりと見せ場があるのも、シリーズ物のお楽しみ。そして、"Casino Royale"以降、ぶれること無く紡いできた大河ドラマを完結させたことは、実にお見事("James Bond will return." は、しっかり表示されるが

この作品でのJames Bondは、シリーズ中、最も真面目に見える。Léa Seydouxに一途な姿は、ほぼ、ファミリー・マンだ。以前の007映画なら間違いなくBond とムフフの展開になりそうなAna de Armas嬢扮する新米女性エージェントの活躍が、スッキリ&アッサリしているのが、いかにも今のご時世である。とはいえ、彼女のアクションシーンは、本当にカッコ良く、動作の切れもカメラワークも見応え十分。"Knives Out"で共演したDaniel Craig自身が、彼女の起用を勧めたという話も聞いたが、大正解だ。

敵役を演じるのはRami Malek。怪演を期待していたのだが、残念ながら印象が薄い。この映画の最大の弱点だろう。

一方、過去のシリーズからは全く違うキャラ付けになっている QとMoneypennyの活躍は嬉しい。この二人を主役にしたスピンアウトを作っていただきたいところだ。

あと、日本の近海に「毒草の島」があるという設定は”You Only Live Twice(007は二度死ぬ)”へのオマージュだろうか?「二度死ぬ」は、映画はかなりのトンデモ作だが、原作小説でのJames Bondは、今回の映画と同じぐらい、苛酷な運命にさらされるんだよなぁ。

ということで、お腹一杯。やや陰気な印象もあるが、大団円にふさわしい力作である。ただ、Sean Connery時代の、ほぼ全編セクハラし放題の007や、Roger Moore時代の、コメディのようなお気楽さに溢れた007が懐かしくもある。あのような世界に回帰するのは、もはや時代が許さないのだと思うと、いささか寂しい。


"CASIOPEA 3rd 21 SMOOTHLY"@ブルーノート東京21.10.3

日本を代表するフュージョン・バンド、カシオペア(英語表記のCASIOPEAは、星座のスペルとは異なる)のライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。なお、アルコールの提供が再開されたブルーノート東京だが、座席は、今のところ余裕を持たせたレイアウトを維持している。

CASIOPEAは、1979年にデビュー。圧倒的テクニックを誇るフュージョン・バンドとして一世を風靡。その後も、メンバーチェンジはありながらも活動を続け、2006年に一旦、活動休止。そして、2012年に活動再開してからの現メンバーが第3期という位置付けだ。デビューから不動のギター 野呂一生、1990年 第2期からのベース 鳴瀬喜博、第3期から加入したキーボード 大高清美、そして、今日のライヴには、スペシャルサポートドラムスという位置付けで 第1期のメンバーでもあった神保彰が参加。私は、このメンバーでの演奏を観るのは初めてだ。

ライブのタイトル「21 SMOOTHLY」。これは、フュージョンでは無く ”Smooth Jazz”を意識して、歪んだ音を出さないという趣向。つまり、野呂一生のギターでは、ディストーションなどは使わないということ。また、8弦ベースや10弦ベースを使うことで知られる鳴瀬喜博も、4弦ベースのみを使用という枠をはめている。

普段なら照明が落ちて、ミュージシャンが登場するのだが、今日は、明るいうちに4人がステージに上がり、そのまま演奏になだれ込む。ベテランらしい肩の力の抜け具合だ。

しかし、涼しい顔をして演奏しているが、4人とも凄テク。特に、ディストーショーンやアームの使用を禁じ手にした分、いつも以上の手数でギターを弾きまくる野呂一生。圧巻である。大高清美のプレイは初めて観たが(カシオペアと言えば向谷実の印象が刷り込まれている)、このバンドに抜擢されるのだから当然のテクニック。基本はオルガン奏者ということで、エモーショナルな音が良い感じだ。鳴瀬喜博は、代名詞とも言えるスラップ奏法はもちろん、喋りも達者。そして、涼しい顔でエグい演奏をすると言えば、神保彰。キレキレである。

演奏曲は、第一期、第二期のものもあり、それぞれのメンバーの作品を披露するコーナーも有りと幅広い。必ずしも熱心なファンとは言えない私も大満足。本編最後には皆大好き「ASAYAKE」も演奏。この曲は本当に、日本フュージョン史に燦然と輝く名曲だよなぁ。



改めて、ワクチンの効果を目の当たりにしたという感じです。あとは、インフルエンザにおけるタミフルのような薬が開発されれば、良いのですが。