IN/OUT (2021.7.25) |
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東京オリンピックが開幕しました。コロナ問題が無かったとしても、無観客であまり騒ぎすぎないぐらいの方が、酷暑の中のスポーツ大会としては結果的に良かったという気がします。 それにしても開会式。長くても2時間ぐらいで、入場行進・開会宣言・聖火点灯だけにして、余興は無しで良いじゃないかと思っていたのですが、上原ひろみ嬢の登場を観て、これはこれで良かったなと手のひらを返す、今日この頃です。 最近のIN"Promising Young Woman" (21.7.22)第93回アカデミー賞で脚本賞を受賞した映画を観てきた。本作の監督でもある Emerald Fennellの手による脚本である。 酔っ払った女性に近づく送り狼(古い言い回しかな?)に鉄槌を下すべく、夜毎、バーに繰り出しては泥酔したふりをして、自らを囮にする事を繰り返す。そんなエキセントリックな女性が主人公。正直、あまりに極端な行動で感情移入するのが難しいのだが、その裏には、7年前、彼女が医学生だった時に起きた事件が影響していることが、徐々に明らかになってくる。その結果、彼女が抱え込んだ罪悪感は、復讐心に繋がっていくのだが、その行動は、まるで自分の死に場所を探しているかのようだ。そこには、不幸になる未来しか見えない。しかし、ついに、まともと思える男性と巡り会い、彼女の心に平穏が訪れそうになるのだが… ハードで、キツく、見終わった後にズシンとした重苦しさが残る作品だ。ラストにスカッとしたという感想も聞くが、私には、そうは思えない。自らの恥ずべき行動を暴かれた時の、男性の情けない姿を容赦なく描写するのは、女性監督だからこそだと思う。 全体に重い映画ではあるが、今の時代、観るべき作品だろう。なお、挿入歌のセンスが、皮肉も効いていて秀逸なのも特筆ポイントだ。 「暗やみの色」@日本科学未来館 ドームシアター (21.7.22)2005年に初上映されたプラネタリウム作品が、音楽を担当したレイ・ハラカミの没後10年を機にリバイバル上映されているのを観に、日本科学未来館に行ってきた。 この作品は、プラネタリウム・クリエーターの大平貴之らが監修。谷川俊太郎の詩「闇は光の母」をフィーチャーし、ナレーションと詩の朗読にクラムボンの原田郁子を起用。そして、音楽はレイ・ハラカミ。投影するのは、大平貴之が開発した当時の最先端投影機「MEGASTAR-II cosmos」。というものだ。 内容は、「見えるもの、見えないもの」をキーワードに、夜空を、赤外線、電波、X線などで観る。さらには、それでも見えないダークマターについても言及するという、中々に高度な物。もうちょっとアート寄りの作品を予想していたのだが、意外にも硬派なプラネタリウム作品だった。さすが、科学未来館の上映作品。 一方、MEGASTAR-II cosmosが映し出すリアルな星空と、エレクトロニック・ミュージックでありながら、水彩画のようとも評させるレイ・ハラカミが創り出す独特の音色の相性の良さは、予想通りだ。レイ・ハラカミの作品としてサウンドトラックのCDも発売されたのだが、やはり、プラネタリムで映像と共に鑑賞するのが正解だと実感。 なお、現在、日本科学未来館は、完全予約制になっている。いつもの夏休みなら、子供連れで賑わう上に、オリンピックが予定通りに開催されていたら、さらなる混雑が予想されたお台場。しかし、4連休の初日に訪れたのだが、「閑散」と言っても構わないような雰囲気だったのが、個人的には、非常にありがたかった。 「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ with special guest 小野リサ」@ブルーノート東京 (21.7.23)エリック・ミヤシロ率いる、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。 総勢18名、メンバー全てがトップ・ミュージシャンの、まさに「オールスター」のビッグ・バンドなのだが、今回の私の目当ては、ドラムスの川口千里とゲストの小野リサである。 「天才少女ドラマー」として名を馳せた川口千里も、既に24歳。それにしても、この若さでブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラに抜擢されるのは(さらに、8月には、自らがリーダーを務めるバンドでブルーノート東京のステージ立つ予定)、流石だ。彼女のプレイを観るのは初めてだが、なるほど、パワフルで硬質のドラミングに若い力強さが溢れている。あと、やはり初めて観たピアノの宮本貴奈も好印象。 このバンドのオリジナル曲、Stevie Wonderのカバー曲と披露した後、今年の4月26日に急性心不全で亡くなった、T-SQUAREの和泉宏隆の作品、「宝島」と「Omens of Love」を、T-SQUAREの元メンバー・本田雅人を中心にメドレーで演奏したのが熱い。和泉宏隆が亡くなる直前、4月3日に「THE SQUARE Reunion」の公演を観ることが出来たのは、今となっては、良かったなと思う。あの時は、全く、そんな気配の無い素晴らしい演奏を披露していたのだが…。 コロナ禍の生活で肥ったことを自虐気味に語っていたことが、今となっては悔やまれる。 さらに、今年の2月9日に亡くなったChick Coreaの「Spain」と、追悼曲が続いた後、ゲストの小野リサ登場。「The Girl from Ipanema」、「Goody Goody」、「When You Wish Upon A Star(ソロ演奏)」「マシュ・ケ・ナダ」などなど、ボサノバ&サンバの名曲の数々。彼女の繊細な声質は、ホーン主体のビッグ・バンドと相性が悪いのでは思いきや、熱いビッグ・バンド・サウンドの上を涼やかな風が吹き抜けるようなイメージで、とても良い感じだ。 小野リサが捌けて、本編最後は、Weather Reportの「Birdland」。バンドメンバー全員のソロ回しが楽しい。皆、工夫を凝らしたアドリブを仕掛けたり、エリック・ミヤシロが無茶振りしたり。全員がとても楽しそうだ。そんな中、川口千里の、全体を上手くまとめるドラムスにも感心。そして、再度、小野リサを呼び込み、アンコール扱いで、Astrud Gilbertoの(小野リサ自身もアルバムで採り上げている)「Look To The Rainbow」。これで全編終了。 音楽の楽しさに満ち満ちた公演だった。管楽器メインのビッグバンドと言うことで、メンバーの感染チェックなど、相当、慎重に準備してきた上でのライヴ開催だったようだ。メンバー及びスタッフの方々の尽力に敬意を表するのである。 "Darbar" (21.7.24)タミル映画界のSUPER STAR = Rajinikanth主演最新作を観てきた。邦題は「ダルバール 復讐人」。 Rajniも既に70歳。SNSなどで観る姿は、頭がすっかり禿げ上がったお爺さん。一時、映画界を引退し、政界進出することを計画していたようだが、結局、新党の結成は断念。俳優業を続けながら、これまで通りの社会貢献活動も継続している。 このような段階に達したベテラン俳優なら、多くの場合、年相応の渋い役に撤すると思うのだが、そこは、我らがSUPER STAR。今回の作品でも、愛する者を奪われた悲しみから暴走し、悪者どもを殺しまくるムンバイ市警察本部長役を、全編、キメキメのアクションで熱演。カツラもバッチリ装着し、非の打ち所の無い格好良さを見せつける一方で、娘を溺愛する親馬鹿ぶりと、美女には滅法弱いというお茶目さもタップリ楽しませてくれるサービスぶり。もう、昔ながらのRajni作品の魅力、全部入りだ。 ただ、アクションなどに往年の切れ味が無くなっているのが寂しい。ラブコメ的展開も、さすがに年齢的にキツい。それを補うためか、バイオレンス描写にやり過ぎ感が強いし、設定の粗さも目立つ。というか、物語としては、完全に破綻していると思う。一般映画として評価するなら、その結果は壊滅的だろう。普通の善男善女には全くお勧め出来ない作品だ。 しかし、Rajniに心服する者には、70歳になっても、このような作品を届けてくれるSUPER STARへの感謝の念しか無いのだ。意外に、同好の士は多いようで、新宿ピカデリーは、(コロナ対策で、席は一つ飛ばしだが)ほぼ満席に近かった。 先週の日曜、新型コロナ・ワクチン接種の1回目を行いましたが、その直後は、注射跡の疼痛以外は目立った副反応は無し。しかし、接種後 30時間ほど経過したところで、37.5度まで発熱。その後、48時間後までには、発熱も疼痛も治まるという経過でした。まあ、これぐらいの反応があった方が、ワクチンが作用している実感があるという感じ。 ただ、2回目の方が副反応は(モデルナ製は特に)強く出るらしい。1回目の接種直後に、4週間後の日曜の予約を入れたのですが、今回のような時間軸で推移するなら、日曜では無く土曜の接種の方が仕事への影響は少なかったかな。 |