ブルーノート東京、金曜日の2ndと土曜日の両セットに行くことが出来ました。
誤りのご指摘、追加情報等あれば、送って頂けると助かります。
2021年9月3日(金):ブルーノート東京 |
2021年9月4日(土):ブルーノート東京 |
2021年9月6日(月):ビルボードライブ大阪 |
2021年9月7日(火):ビルボードライブ大阪 |
緊急事態宣言下、1st Showの開演が17時に早まったため、残念ながら19時30分開始の2nd Showのみ参戦。(が、1stのセットリストを、後日、morinoriさんに送っていただき、追記しました。ありがとうございます)
ピアノは、C. Bechstein。1曲目から、ピアノも歌唱も良い感じ。2曲目以降は、新アルバムからの曲も多く取り上げたのだが、つい先日、バンドで演ったばかりの曲を、バンド・アレンジの良いところも残しつつ、弾き語りらしい工夫を入れて演奏できてしまうところ、流石だ。特に、4曲目「Nothing In Tow」が沁みる。急に涼しくなった夏の終わりに聴くと雰囲気倍増だ。
MCでは、謙遜しない新アルバム紹介や、大気圏再突入よりも難しい日本入国の話など。
新アルバム以外からの選曲に「終りの季節」が入っていたのは、個人的にとても嬉しい。1st Showでは「SUPER FOLK SONG」を演ったらしいのだが、2ndでは「Returned」。やはり、1stにも参戦したかった。
ピアノも歌唱も、とても充実した演奏が続いたのだが、圧巻は本編ラストの2曲。まさに「歌い上げる」という表現がピッタリくる「音楽はおくりもの」。そして、素敵なアレンジに熱唱が重なる「GREENFIELDS」。素晴らしかった。
アンコールで登場した矢野さん。客席に向かい「ラーメンたべたい」か「ひとつだけ」、どちらが良いか問いかける。2曲やるのは、加齢による体力の衰えから無理とのこと。しかし、観客は、当然、両方を希望。結果、「メドレーにしてみようか。私に出来ない事は無い!」。まずは、「ラーメンたべたい」そして、巧みにつないで「ひとつだけ」、そして「ラーメンたべたい」に戻って、ラストをカッコ良く決めて、全編終了。いやはや、楽しくも凄いものを見せていただいた。
ソロ公演 二日目にして最終日。今年もコロナ禍に見舞われた夏の矢野顕子祭りだが、ブルーノート東京のバーテンダーは、ノンアルコールという制約下でも、しっかりオリジナルカクテル「すれちがう夏」を用意。他にも、安心感のある感染対策や、配信の充実など、ブルーノート東京の努力には、頭が下がるのである。
さて、1st show。ゆったりしたアレンジで始まった「夏が終る」。そして「遠い星、光の旅。」に続く。星座や星の名前を列挙するこの新曲を聴いたとき、すぐに思い出したのが谷川俊太郎氏作詞の「夏が終る」だったという人は、私だけでは無いと思う。矢野さん自身もそれを意識していたのだろうか。
今回の私の席は、ピアノの正面。「屋根」からの反響音がよく聞こえるポジションだったのだが、改めて、C. Bechsteinの音色の豊潤さに驚いた。実に美しく、豊かに響いてくる。矢野さんの手元は見えない角度だが、音を楽しむにはベストの場所だ。
ピアノ・ソロでの「わたしのバス(Version 2)」。力強い演奏。やっぱり、この曲、好きだ。ヴォーカルに掛けられたリバーブも効果的で、今日は、PAもGood Jobである。演奏後に、バスの運転の話をする矢野さん。しかし、観客は食いつかず…
奥田民生氏の「野ばら」。矢野さんは、とにかくこの曲が好きということだ。で、もう1曲、奥田民生作品「すばらしい日々」。実に刺さる演奏だ。
「Nothing In Tow」も「音楽はおくりもの」も、充実の演奏&歌唱。そして、本編ラストに「ひとつだけ」。アンコールに「ラーメンたべたい」という鉄板の布陣。しかし、鉄板曲でも、新しいアレンジになっているところが、矢野さんの凄さだ。
大満足の1stに続いて、2nd show。昨日も演った「そりゃムリだ」も、1stでも演った「遠い星、光の旅。」も、どちらも全く違うアプローチのアレンジに変わっていることに驚く。というか、この日の演奏は、全て、アレンジや歌唱に新しい工夫を凝らしていて、そのどれもが素晴らしく。両セットとも参戦して大正解だったと思う。
新アルバムの中でも、特に私のお気に入りの「Nothing In Tow」も「わたしのバス(Version 2)」も、1stを超えてくる熱演。そして、2nd showのお客様の中には、本物のバスの運転手さんがいらっしゃったのも楽しい。
それ以降も、新たな工夫に満ちた演奏が続く。特に、本編ラストの「ひとつだけ」とアンコールの「ラーメンたべたい」。1stでも驚いたが、2ndでさらに驚くアレンジになっている。尽きぬアイディアと向上心。つくづく凄い。この後のビルボードライブ大阪公演が、平日で行けないのが残念。
アルバム製作からお披露目ライヴと続いたバンド活動の充実が、今回のソロ公演の充実にも繋がったのかもしれない。というか、バンドの熱気をクールダウンするような、しっとり系のソロ公演になるのかと思っていたら、予想を良い意味で覆す、創意工夫に満ちた超充実のライヴだった。ご本人は、体力の衰えのようなことを冗談めかして話していたが、我々から見れば、超人的な創作意欲と表現力に驚くばかりである。ブルーノート東京というハコの魅力も含め、実に良いライヴ体験だった。