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ソロ・ライヴは、4月に「TOKYO春爛漫、」、5月に「矢野顕子 Into The Space <Version 2>を開催しているが、”リサイタル”名義の弾き語りライヴは、今年初。会場の江戸川区総合文化センター 大ホールは、キャパ 1,497席。私は初めて訪れたが(矢野さんも初めてとのこと)、昔ながらの豪華なホールという雰囲気だ(ロビーに、何気にパブロ・ピカソの絵が飾られていたりする)。
ピアノはSteinway。客入れの音楽は、Sérgio Mendes(& Brasil 66)。この日、訃報が流れた彼への弔意だろうか。
開演。1曲目「そりゃムリだ」と2曲目「ひとりぼっちはやめた」をシームレスにつなげる。最初から絶好調だ。ホールのSteinwayも良い響きだし、矢野さんの声の調子も良い。何より、一つ一つの言葉を明瞭かつ丁寧に届けようとしているような歌唱だ(この印象は、最後まで持続した)。
MCも、終始リラックスした感じ。都心近くの(ただし、高速の出口周辺に高いビルは無く、空が広い)会場の気安さかな。
「音楽はおくりもの」では、これまで聞き取りづらいと個人的には感じていた「モータウン」の歌い方が工夫され、くっきり聞こえたのが印象的だった。
「悲しくてやりきれない」の演奏後には、「ピアノ演奏に、角野隼斗さんから盗んだ(?)テクニックを使ってみた」との発言(すいません、私には分からなかった…)。そして、「次の曲は、長い間、演っていなかった曲です」と言って、演奏を始めようとキーを探っていたのだが、結局、思い出せない。ということで、この曲は見送り…。ただ、そこからの「SUPER FOLK SONG」、「自転車でおいで」の流れが素晴らしかったので、無問題だ。
「星のラブレター」は、The Boomの1989年の作品。矢野さんは、初めて演奏するつもりだったが、スタッフから「昔、演ってましたよ」と指摘されたそうだ。演奏後、歌詞カードに、「ヤノ」、「ミヤ」、「大貫」、「奥田」、「鈴木」、「全員」などの書き込みがあることを発見し、ようやくこれが、「Beautiul Songs」で演奏した曲であったことを思い出す矢野さん(この曲が歌われたのは2回目の”Beautiful Songs 2002"。ライヴ盤として発売されている”LIVE Beautiful Songs”は1回目の公演の記録なので、この曲は収録されていません)。
ここから、鉄板曲が続く終盤戦。特に、「GREENFIELDS」の熱演に、やはり大名曲だとの意を強くした。本編ラストは「ひとつだけ」
アンコール。どうせ、二択を観客に問いかけても反応は「両方」になるのだから、ということで、炭水化物セット、「ごはん」と「ラーメン」。矢野さんの素晴らしい即興アレンジで、見事なメドレーのつなぎ。これで全編終了。いつにも増して、極めて高レベルな弾き語りパフォーマンスだったと思う。大満足であるが、矢野さんが思い出せず、演奏を断念した曲が何だったのかだけが気になる……
追記:翌日の矢野さんのTwitter(現X)によれば、断念したのは「 Evacuation Plan」だったとのこと。私のメモでは、2008年~09年頃はしばしば採り上げていたが、2011年に上原ひろみさんと行った「さとがえる」で演奏された以降、記録されていない。エモーショナルで大好きな曲なので、これは、聴きたかった!