清水ミチコのライヴを観に、メルパルク東京ホールに行ってきた。
恒例の年始の武道館ライヴは2021年にも予定されているのだが、その「追加公演」を先に演ってしまうという企画である。会場のメルパルク東京ホール(かつての「東京郵便貯金会館」の名前の方がしっくり来るな)は、清水ミチコが若かりし日、弟のイチロー氏と共にタモリの「ラジカル・ヒステリー・ツアー」のライヴで訪れ、「タモリのような、音楽と物真似とお笑いを融合した芸をやりたい」と誓い、プロを目指した思い出のホールということだ。
観客席は、完全な1席飛ばしではなく、2人連れの場合は2席連続の座席で、その両脇を一つ空けるという並びになっている。公演中も観客はマスクを付けたままで、声を出すことを控えるため、観客席からのリクエストを募るなどコール&レスポンス的な事が出来ない。それ以前に、声を出して笑うことも憚られる状況だ。お笑いの演者としてはやりづらいだろうと思うが、これがニュー・ノーマルである。私の座席は、舞台向かって左側の前方。ピアノを弾く手元が見える良い角度だ。
オープニングのビデオ・ネタは、当然「あの人」。そこは予想通りだが、笑いの切り口が流石だと思う。ご本人登場一発目は、ダンサー(光浦靖子の妹さん!)を従えた歌唱。ここから、一気に清水ミチコ・ワールド。
ステージ中盤には、ゲストのU-zhaanが登場。皆が知っている4拍子の歌を、5拍子や7拍子で演奏するというド・マニアックネタ。さらに、実弟イチロー氏も登場。偽矢野顕子・偽細野晴臣 & U-zhaanという、ある意味超豪華メンバーでの演奏。さらに、私の大好きな「Spain」ネタも演ってくれて嬉しい。この三人の演奏、ミュージシャンとしてのレベルが、ガチで高い。
定番「瀬戸内寂聴」ネタには、今年、大ヒットしたあの曲を絡めるなど、新しい工夫もたっぷり。「作曲法」には、今、大人気のあのバンドが新登場。終盤には「高輪ゲートウェイ」をこう使うか!という新ネタも登場し、つくづく才気溢れる人だと思う。こういうのがあるから、何度もライヴに足を運ぶのだ。
自分で付けるのも、人が付けているのを見るのも嫌いだったマスクにも、仕方なしに慣れてしまった2020年。特異な1年として記憶に残るのか、新しい時代への転換点として記録されるのか。とにもかくにも、来週は2021年です。