IN/OUT (2014.5.25)

ウィーク・デイにオールスタンディングのライヴ二連続に参戦するのは、肉体的には相当なダメージになると痛感する今日この頃です。


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「ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢」@原美術館 再訪14.5.25

原美術館原美術館で開催中の展覧会があまりにも面白かったので、今回は、美術館メンバー向けイベント、作者自身によるガイドツアーに参加してきた。

美術館の閉館時刻、17時に申込者集合。ただし、作者のNicolasさんが、まだ品川駅から向かっている途中とのことで、学芸員の方が、最初の作品のバック・グラウンドなどの説明を始める。どうやら、フランス人のNicolasさん、時間が押すのはよくある事のようで、「ニコラ待ち」と言う言葉が美術館スタッフの間で定着しているようだ。

ということで、やや遅れて到着したNicolasさん、細身の、いかにも繊細そうな方だ。ここから、彼自身の解説により、展示を一点ずつ観ていくのだが、これが、予想を遙かに超えた、刺激的で面白いものだった。

原美術館この展覧会を観るのは、これで三回目になるのだが、日本のアニメ、特撮番組、あるいはTVゲームの影響に目を奪われていたのが、いかに表層的な見方だったのかを思い知らされた。作者が、それぞれの作品に込めた、何層にも積み重ねられた仕掛け。見方によって、それら様々なレイヤーを楽しむことが出来る、複雑かつ精緻に構成された展示になっていることに、つくづく感嘆。特に、ギャラリーIに展示されている「死、そして再生 - ユニコーンの皮」と、以前、国立新美術館で観て圧倒された「貴婦人と一角獣」との関連、そして、展示室自体の構造を巧妙に取り入れた構成を説明されたときには、上質のミステリの謎解きシーンに居合わせたような興奮を覚える。

もっと分かりやすいところでは、冒頭の紙芝居ビデオのナレーションが、Nicolasさんのお子さんだったとか、木の下で夢見ているポリフィーロに、最初は顔を描いていたのだが、どうしても気に入らず、消してしまったとか、製作秘話のようなものが聞けるのも楽しい。

美術館のメンバーになっておいて良かったと、つくづく思わせてくれるイベントだった。6月には、ちょっとした追加の展示も用意されるようなので、この予備知識を持って、また、再訪しよう。



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"Last Vegas"14.5.24

Michael Douglas、Robert De Niro、Morgan Freeman、Kevin Kline。アカデミー賞受賞俳優が4人勢揃いした映画を観てきた。この4人、共演は初めてだそうだが、プライベートでは、結構、親交があるらしい。

ニューヨークの下町で少年時代を過ごした親友 4人。それから58年が過ぎ、70歳に手が届きそうな年齢になった彼らが、Michael Douglasの結婚(相手は、30歳以上年が離れた若い女性)を機に集合。バチェラー・パーティーを繰り広げる、というお話。若者のバチェラー・パーティーだと、"The Hangover"のようなハチャメチャな騒動になるところだが、そこはご老人。4人それぞれ背負ってきた人生の重み故に、単なる馬鹿騒ぎにはならず、ちょいとほろ苦い展開に。

ウェルメイドなコメディだと思う。ただ、笑いのセンスがあまりにも凡庸。4人の超大物スター達も、存在感と、ちょっとした小ネタ(De Niroがボクサーばりのパンチを繰り出すとか)で勝負するだけで、軽く流した演技のように見えてしまう。これだけのビッグ・ネームを揃えたのだから、もう少し仕掛けが欲しかった。ちょっと、期待外れだった。

また、日本版のポスターや公式サイトのトップ画像が謎。4人の並び順が、写真と文字で一致していない。何故、一瞬、混乱するようなレイアウトにしたのか? 文字の場合、役の大きさ順に並べるという興行界の鉄則があるのかもしれないが、だったら、米国のオリジナル・ポスターと同じ写真を使えば、こんな問題は起きないのだ。何を考えているのだろう?



そして、肉体的なダメージを蓄積したときの痛飲はいかんと、今更ながら実感。