2020年、コロナ影響で夏のトリオ公演は無し。しかし、冬にソロ公演が1日だけ行われました。
2020年。コロナ禍のため、ブルーノート東京では恒例の夏の矢野顕子祭は開催できず。代わりに、冬、さとがえるの時期に、1日だけのソロ公演となった。あのトリオが観られなかったのは残念至極だが、厳しい状況が続く中で開催にこぎ着けてくれた関係者の皆さんの努力と熱意に感謝である。
恒例のスペシャルドリンク。今回は「好きなタイプだわっ。」。さらに、スペシャルメニューに「ラーメン "NIBOSH & YUZU"」と「栗のシュープリーズ」。お洒落ジャズクラブで、多くのお客様がラーメンをすするという意外な光景が出現したのである。
1st show開演。ピアノはSteinway。1曲目「電話線」から、良い具合にリラックスした演奏だと感じる。ブルーノート東京でのソロ公演は、実は初めてということで、ふさわしい選曲に悩まれたそうだが、結局「弾きたい曲を弾く」ということになったそうだ。
5曲目が終わった後、ピアノをつま弾きながら「宇宙に行くことは地球を知ること 」のPR(「相方が国際宇宙ステーションに行っちゃったので、一人でプロモーション」とのこと)。そして、その流れのまま「Welcome to Jupiter」。
「いい日旅立ち」は、いつも以上に奔放な演奏。ここで一気にギア・アップした感じで、本編ラストの「ROSE GARDEN」も熱演。アンコールは鉄板曲 2連発。
前半は、比較的リラックスした雰囲気の演奏。それが終盤になると奔放さが増してきたと思う。いつものソロ公演とはちょっと手触りが違う「ジャズ・クラブ仕様の矢野顕子」という印象の1st Showだった。
2nd Show。先ほどの終盤の熱量をそのまま繰り越してきた感じだ。3曲目からは、カバー作品の連打。中でも「トランスワールド」の演奏がとても良かった(矢野さんは、曲のタイトルを忘れていたようだが…)。また、合間には、先日のさとがえるコンサートのバンドに「暗闇坂 4」という名前を付けたなどの緩い話しも。
今回は、曲の前に話し出すと長くなると言う事で、「Welcome to Jupiter」の間奏中に書籍のPR。そして、「津軽海峡・冬景色」の圧倒的熱量の演奏の後、「ラーメンたべたい」で本編終了。
アンコールで登場した矢野さん。先ほどの「ラーメンたべたい」は、本来、アンコールの曲だったのを間違えて演奏しちゃったとのこと。どうしようかと迷った結果、歌詞カードが無くてもOKの「いもむしごろごろ」。これは、嬉しいハプニングだ。演奏開始直後、無謀にも手拍子を打ち始めるお客様もいたが、矢野さんはやんわりと「無理しなくて良いですよ」と制止。そこからの演奏が素晴らしかった。本当に良いものを聴かせていただけて、ラッキーだ。そして、「ひとつだけ」で全編終了。2nd Showの方は、すっかりエンジンが温まった矢野さんが飛ばしきったという感じだ。
結果的には、ブルーノート東京という比較的小さなハコで、ソロ・ライヴを間近で堪能できる貴重な機会となった。禍転じて福と成す、という気もするし、やはり、矢野さんのライヴは、バンドとソロが車の両輪のように、両方有ってこそだと再認識もした。そして、来夏は、是非、トリオに戻ってきて貰いたいとも熱望するのである。