2020年。コロナ影響でソロ公演もままならない1年でしたが、年末の鎌倉公演は無事、開催されました(有料配信も有り)。
2020年、コロナ影響で、予定されていた公演が次々とキャンセルされた中、今年で19回目になる、年末恒例、鎌倉芸術館でのライヴは無事開催。開演前の客入れの音楽は先日のさとがえると同じく Frank Sinatra。ピアノは、矢野さんとの相性抜群、鎌倉芸術館が誇るSTEINWAY。
1曲目「そりゃムリだ」を聴いた瞬間、このホールの響きの良さを改めて認識。ピアノもヴォーカルも、実にクリアに美しく響くのだ。ブルーノート東京のジャズクラブ・サウンドも良いが、それとは方向性が違う、これぞコンサートホールという端正な音響。今年もここで開催されて、そして来ることが出来て本当に良かった。
2曲目から4連続で糸井重里作品が並ぶ。「自転車でおいで」や「ニットキャップマン」では、歌詞が怪しくなった箇所もあったのだが、そのリカバリーが正に名人芸。ライヴの醍醐味だ。
現在、大接近中の土星と木星の話題から「Welcome to Jupiter」。歌詞に出てくる「金星」を「土星」に替えての歌唱。続いて、久しぶりに聞く「Hard Times, Come Again No More」。しみじみと良い歌だ。この曲は、先日開催されたファンクラブ・イベントで歌われたというのを行った人から聞いていて、羨ましく思っていたところだったので、なおさら嬉しい。
「ねむいいね」は、前の週末に出演した「おやすみ日本 眠いいね!」のオープニング・テーマ。スタジオで生演奏するためにすごく練習したので、ということでご披露。こういう、通常の公演では演奏されそうに無い曲も演ってくれるのは、鎌倉ならではだと思う。
通常のポップ・ソングの大半が恋愛の歌だが、それだけが人間関係じゃ無いという話しから、父の歌(父)と母の歌(愛について)。
この辺りから、終盤戦。最近のコンサートでは、このタイミングで「津軽海峡・冬景色」や「いい日旅立ち」をぶち込んでくる構成が多いと思うのだが、今回は「青い山脈」。1980年の「ごはんができたよ」収録曲だけに、これまで歌い込んできた歴史が違うと感じさせる完成度のカヴァー・アレンジだ。私も大好きである。
「もう1曲、変な曲」ということで演奏が始まった「ROSE GARDEN」。バンドでも、弾き語りでも、毎回、新鮮でスリリングなアレンジを聴かせてくれる曲だが、今回は特に、力強さと技巧、そして軽快さのバランスが秀逸だと感じた。
本編ラストが「ひとつだけ」、アンコールが「ラーメンたべたい」という鉄板構成で全編終了。しかし、ありがちな選曲というのではなく、こういう状況下で開催された、2020年最後のライヴだからこその説得力を持った選曲。そして熱演だったと思う。
ホールの音響の良さ。会場のピアノと矢野さんの相性の良さが導き出す親密感溢れる演奏と歌唱。他会場とは一線を画す(マニアック寄りの)選曲。今年も、鎌倉芸術館ならではのパフォーマンスを堪能することが出来、本当に嬉しい。半分しか観客を入れないというのは、ホールとしては辛い決断だったと思うが、よくぞ開催してくださった。来年も、無事に(出来ればフルキャパで)開催される事を願うばかりだ。ただ、テレビ収録や配信用のカメラが入ると、矢野さんのMCが硬くなりがち、というのは今回も当てはまったと思う。グダグダ気味の脱線したMCが懐かしいと言うのは、贅沢な不満かな。