IN/OUT (2020.11.8)

欧州での新型コロナウィルスの感染再拡大に比し、日本はマシと捉えるべきか、日本は無頓着すぎると見るべきか、判断に悩む今日この頃です。


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”The Hunt”20.11.3

富裕層による「娯楽としての人間狩り」をテーマにした映画を観てきた。

映画の冒頭で残虐なシーンが連続し、第一印象はしんどい。しかし、そこからのストーリーが次々と予想外の方向に進む。「人間狩り」というテーマ自体は既に手垢の付いた感じだが、この一筋縄ではいかない展開に目が離せない。

本国アメリカでは、トランプ大統領がツイッターで批判し、一時、お蔵入りしかけた「問題作」だ。SNS が嘘と真実の境界を曖昧にし、陰謀論が安易に拡散する今の状況。そして、トランプ支持派と反トランプ派に分断された米国。そうした現状を悪意あるブラックジョークで描いており、気分を害する人が多いのも頷ける。ただ、悪意は両陣営に注がれているし、主義・主張をアジテーションするのではなく、風刺に撤した映画だと思う。

ラストの着地も巧みで、悪趣味な残酷描写に目をつぶれば、中々どうして、良く出来た映画だ。ここまでエグい描写にする必要は無かったように思うが、映画に込められたブラックユーモアを理解できない子供の観客を拒絶するために、敢えてレーティング引き上げたのか、というのは深読みのし過ぎかな



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"Stockholm"20.11.7

誘拐事件などで人質になった人が、犯人に対し好意的な感情を抱くことを指す「ストックホルム症候群」の語源となった事件を描いた映画を観てきた。邦題は「ストックホルム・ケース」。何故、原題に無い「ケース」を足したのか、意味不明だ…

描かれるのは、1973年。ストックホルムで起こった銀行強盗の人質立て籠もり事件だ。大筋は、現実の事件をなぞっているし、実際にあったエピソードも散りばめられているが、独自の脚色部分も多い。

問題は、その独自の脚色部分だ。モデルになった方々の了解を取ったのか、心配になる。徹底的に嫌な奴として描かれる警察署長や無能なスウェーデン首相はもちろん、Noomi Rapace演じるヒロインにしても、実在の一般市民の描き方としては無神経ではないだろうか。この手の映画でお約束の、エンド・クレジットで映される実際の映像というのが無かったのも、そのせいかもしれない。また、Ethan Hawkeが演じるちょっと間抜けな銀行強盗が「アメリカかぶれ」という設定も、あまり意味が分からない。これで、登場人物達がスウェーデン語を話すのであれば、強盗犯の間抜けさを強調する効果があったかもしれないが、そこは米国映画。皆、英語を喋るのである。

ただし、俳優陣の演技は見応えがあるし、人間味ある強盗と非人道的作戦も平気な警察という対照も皮肉が効いている。実話をベースにしているという事を気にしなければ、それなりに評価できる作品だと思う。



とりあえず、自分に出来ることとして、ここ数年、打っていなかったインフルエンザの予防接種を、今年は真面目かつ早めに受けてきました。