昔は、2010年なんて「SF的な未来」だと感じていたのに、あっという間に最後の日曜日。未来じゃなくて現実として、色々とあった一年でした。
最近のIN
Mark Millarのグラフィックノベルの映画化作品を観てきた。
主人公のDaveは、冴えない高校生。何の特技もない彼が、正義感だけで覆面ヒーローになってみる。キック・アスと名乗り、悪者にボコボコにされながらも立ち向かう姿はネットで話題に。そんなアマチュアのスーパーヒーロー=キック・アスが、本気でギャング団に復讐を図る覆面親子、ビッグ・ダディとヒット・ガールに出会い、物語は本気のバイオレンスへ流れていく。
何よりも、キャスティングが見事だ。主人公は、超能力を蜘蛛から授からなかったPeter Parker = Spider-Manという感じだが、その青春っぶりは、Peterよりもずっと健全なような気がする。そんな彼を演じるAaron Johnsonは、"Nowhere Boy"で、若き日のJohn Lennonに扮していたそうだ。その映画は未見だが、きっと似合っていたんだろうなと思わせる青春演技だ。一方、自分を罠にはめ、妻を死に追いやったギャングに復讐するため、娘を殺人マシーンに仕立て上げたマッドな父親=ビッグ・ダディに扮するのが、実生活でも筋金入りのアメコミ・オタク(しかも、変態)のNicolas Cage! 娘を特訓するシーンは、まさに彼の変人ぶりがはまっている。そして、小学生でありながら、悪人を殺しまくるヒット・ガールを演じたChloe Moretzが素晴らしい。全世界のアメコミ好きが萌えたに違いないキュートさだ。しかし、ローティーンの女の子にこんな演技をさせるとは、ハリウッドは鬼畜である。
冷静に見るととんでもない殺戮劇(実際、暴力描写も半端じゃなく、R15+指定。ということは、完成した映画をChloeちゃんも観られないのか?)なのだが、最終的には見事な青春ヒーロー物になっていて、見終わった後は爽快。くどくならない笑いのセンスも優れていて、実に良く出来た映画だった。
ということで、2010年のINを振り返ってみる。
映画では、
* 映像美の、"The Imaginarium of Doctor Parnassus"
* 圧倒的な感動。"Invictus"
* 小品ながら見終わってからもずっと記憶に残る、"Up in the Air"
* 再見ながら、Rajni兄貴はやっぱり最高!『ヴィーラ〜踊るONE MORE NIGHT!』&『チャンドラムキ 〜 踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター』
* ラスト12分間に興奮した、"Le concert"
* 筋金入りのB級魂。"Machete"
* そして"Kick-Ass"
やはり、"Invictus"が突出していると思うが、今週観たばかりの"Kick-Ass"も良かった。そして、作品としての評価はともかく、その後、DVDも買って繰り返し観てしまったRajni兄貴は、個人的主演男優賞。
コンサートでは、
* Marty Friedmanを従えての「天城越え」が最強。"2010 阿密特/張惠妹世界巡廻演唱會"
* Patの狂気に瞠目。パット・メセニー《オーケストリオン》
* 問答無用のエネルギー。ワールド・ビート2010[スタッフ・ベンダ・ビリリ特別公演]
* ビッグバンド全員が超絶技巧!MICHEL CAMILO BIG BAND -CARIBE-
などが印象深い。
もちろん、ベストは、追っかけツアーを敢行した矢野顕子の「ここが音楽堂!」弾き語りツアーになるが。
今年も原美術館にはお世話になった。「ヤン フードン - 将軍的微笑」、「WILLIAM EGGLESTON: PARIS - KYOTO ウィリアム エグルストン: パリ−京都」、「ヤン富田 Concert at Hara Museum of Contemporary Art」、「崔在銀 展 - アショカの森」、"An Evening of Odissi Dance at Hara Museum"という充実の企画と、カフェダールのアメリカン・レモネードにくつろがしていただいた。
来年も沢山のINに出会いたいものです。
|