IN/OUT (2010.3.28) |
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早川書房のポケミスで、P. D. ジェイムズの新しい翻訳本「秘密」(原著は2008年発表)が出ているのを見つけ、早速購入。前作「灯台」が最後かと思っていただけに、まさかの新作。恐るべき 90歳の現役作家です。 書籍の購入は、アマゾンで指名買いすることが多くなっていますが、やはり、リアル書店に出かけないと、見落としてしまう本があるということですね。 最近のIN「祝★還暦 ラジニカーント、『ヴィーラ~踊るONE MORE NIGHT!』」 (10.3.22)タミル映画界のSUPER ☆ STAR、Rajinikanth 兄貴が、2009年12月12日に還暦を迎えたことを祝う特別上映を観に、シアター・イメージフォーラムに行ってきた。 この映画、以前、この映画館で「踊る! 兄貴祭り」が開催されたときにも観ているのだが、やはり還暦祝いとなると、駆けつけない訳にはいかないのだ。さらに、共演がMeena嬢(「ムトゥ 踊るマハラジャ」のヒロイン役!)なのである。 映画自体は、兄貴が歌って、踊って、悪党を叩きのめして、美女にモテモテ、というお決まりのパターン。中でもこの作品は、ご都合主義の突き抜けぶりが尋常ではない。落ち着いて考えれば、登場人物全員が性格破綻しているような展開なのだが、映画鑑賞中は、兄貴がひたすらカッコ良く見えてしまうのが、インド映画マジックである。本国では40万人を越えるファンクラブ会員数を誇るSUPER ☆ STARのオーラは凄いのである。 アート系の単館という印象が強いシアター・イメージフォーラムだが、何故か、Rajinikanth 兄貴の映画に関してはネジが緩むみたいで、この特別上映でも、二人で来場すると割引になるサービスに付けた名前が これだけ祝賀ムードに溢れているのに、三連休最終日のレイト・ショーの館内にいた観客数が十人にも満たないというのが、いささか残念だったのである。 "Michel Camilo & Chucho Valdés "Piano Masters" at Blue Note Tokyo" (10.3.27)ドミニカ出身のMichel Camiloとキューバ出身のChucho Valdés。二人の凄腕ピアニストの共演を観てきた。 向かい合わせに置かれたグランドピアノ。向かって左にMichel Camilo、右にChucho Valdés。お互いに、相手を伺うような静かな出だしから、超絶技巧の応酬にヒートアップしていく演奏。Chucho Valdésを観るのは初めてだったが、Michel Camiloのようなパワーを前面に押し出すというより、流れるようなスピードが印象的だ。二人の絡み合いは、競演というよりは、共演。超高速の指使いが見事にシンクロする様子に、こちらも高揚してくる。 途中、ジャズ・ヴォーカリストであるMayra Caridad Valdés(Chuchoの妹)が、ベース、パーカッション、ドラムスのバックバンドを引き連れて登場。堂々たる体型の彼女が歌い出したのが、「ベサメ・ムーチョ」。もちろん、これがラテンの名曲であることは理解しているのだが、どうしても私の脳内では「ムード歌謡」。Michel Camilo伴奏のムード歌謡という、奇跡の光景が繰り広げられたのである。 Mayra退場後もバンドが残り、ラストはセッション大会。ここでは、ピアノよりもパーカッションとドラムスのソロ合戦が大盛り上がり。リズム隊が入って、一気にエンターテインメント性が高まったところで本編終了。ピアノデュオに戻って、アンコール。 二人の共演の凄さだけでなく、予想していなかったヴォーカル & リズム隊の投入によるエンターテインメントもあり、とても満足度の高い公演だった。 「六本木クロッシング 2010展:芸術は可能か?」 (10.3.27)ブルーノート東京での公演終了後、六本木ヒルズに移動。森美術館に行ってきた。この日開催されている六本木アートナイトの一環で、なんと午前6時までオールナイトで開館しているので、ブルーノートの2nd Showの後でも問題なしに鑑賞できるのである。 ただ、予想外だったのが、その混雑ぶり。夜の11時だというのに、チケット売り場には長蛇の列。美術館の中の混み具合もかなりのもので、展示室内で行われているパフォーマンスは、入場制限のため観ることができなかった。 展示の方は、日本の現代美術。勢いのある作品が多い一方で、自己満足的な感じを受ける作品も多かったが(オーディオ・ガイドを聴かないと、作品の意味が理解できない)、全体としては楽しめる内容だった。 美術館の外でも、六本木のあちこちで、夜通し、アートパフォーマンスが繰り広げられているということだったが、体力の限界を感じ、美術館だけで帰路へ。 それにしても、ハヤカワのポケミス、息が長いですね。早川ミステリ文庫が刊行されてから、すっかり影が薄くなったと思っていましたが、1953年以来、地味な装丁を変えることなく、いまだに毎月一冊のペースで刊行が続いているとのこと。このシリーズの長寿命自体が、ミステリか。 |