IN/OUT (2010.10.31)

「私のお気に入り!主婦の選ぶ美味しい学園祭部門」第一位に輝く(海鷹統計部調べ)、東京海洋大学の大学祭「海鷹祭」。台風の影響で一部プログラムが変更になったものの、無事開催。今年は、アジアからの留学生のエスニック料理屋台が無かったのが残念でしたが、恒例、マグロ解体ショー → マグロ漬け丼を堪能。他にも、鯨類学研究室のくじら汁や、うみがめ研究会の亀ゼリーなど、他の学祭とは一線を画す出店。さらには、休館中のサンシャイン国際水族館からペンギン6羽がやってくる(超至近距離で触れあえる、かなり貴重な場でした)という相変わらず独自路線の、学生よりも近隣住民が集う学祭となっていました。


in最近のIN

"An Evening of Odissi Dance at Hara Museum"10.10.26

原美術館で開催中の「崔在銀 展 - アショカの森」に因んだイベントに参加してきた。

森をテーマにした崔在銀によるインスタレーションは、暴君として恐れられていた古代インドのアショカ王が、やがて仏教に帰依し、国民一人一人に5本の木を植えることを提唱したという故事にインスパイアされたものだそうだ。そこで、アショカ王と縁の深い、東インド発祥の古典舞踊「オディッシー」の第一人者、Radhika Jha(ラディカ・ジャー)を招いて「インド古典舞踊オディッシーの夕べ」が企画されたのである。

通常の開館時間終了後に集合。舞踊公演の前に、学芸員による展覧会の解説が20分ほどあった。作者のバックグランドや作品に込められた意図を改めて聴くことで、展覧会の印象がより鮮明になったようだ。会期中に、あと何度か足を運ぼうと思う。

そして、メイン・イベント。当初は、中庭で行われる予定だったのが、前日までの雨の影響で、ホールに場所を移しての開催。結果、中庭に面したガラス窓を背景にした舞台となったことで、ガラス越しに見えるライトアップされた芝生や、木枯らしに舞う木の葉などが、素敵な舞台美術のようになり、とても効果的だ。

民族衣装に身を包んで登場したラディカ・ジャーは、予想よりもはるかに小柄な女性だった。初めに、手の所作に込められた意味などを説明してくれたのだが、その話しぶりからも、誠実に古典舞踊に取り組んでいる人柄がにじみ出てくるようで好感が持てる。

伴奏は、シタールのDr. Chandrakant Sardeshmukh(Dr. チャンドラカント・サルデシュムク)、パーカッションのJitendra Kumar Swain(ジテンドラ・クマール・スワイン)、歌と手風琴のSaroj Kumar Mohanty(サロジ・クマール・モハンティ)。踊りの前に、まずはシタールとタブラによる演奏が披露されたのだが、これが踊りの伴奏を遙かに超えたクオリティ。二人の奏者がアイコンタクトを交わしながら、どんどん盛り上がっていく演奏。シタールとタブラの音色が大好物の私としては、これだけで至福のひとときである。

そして、歌が入り(これまた、豊かな響きの良い声なのだ)、両足に鈴を装着したラディカ・ジャーが踊り始める。抽象的な動きだけでなく演劇的な要素もあり、全身のダイナミックな動きと、繊細な指先の表現、そして豊かな表情。もちろん、ボリウッド映画のダンスとは全然違うものだが、古典という言葉から想像されるような堅苦しさや小難しさはなく、本当に引き込まれる踊りだ。元々は、大衆芸能的な要素のある舞踊なのかもしれない。

ということで、一時間半ほどの公演を堪能した。踊りも音楽も、ものすごくレベルが高かったと思う。それを、雰囲気のある小ホールで至近距離で体感することができたのは、とてもありがたいことだ。しかも、このイベントは、原美術館のメンバーシッププログラムとして行われたため、無料(同時期、このメンバーで何カ所か公演を行っているようだが、調べたところ、青山では5,500円!)。カフェでは無料の赤ワインやチャイ、軽食がふるまわれるというアットホームな雰囲気で楽しむことが出来た。18時にドア・オープンというサラリーマンが参加するには厳しい時間設定だったが、無理して来た甲斐のある、素晴らしい催しだった。大満足である。



ちょうど、インドから一時帰国中の知人と会う機会もあり、インド熱が高まった一週間。ラジニ兄貴のDVDを引っ張り出して鑑賞。勢いで、未見だった作品も一本追加発注。古典舞踊のインド、駐在員から聞くインド生活、そしてラジニ兄貴のインド映画。つくづく、奥深い国です。