IN/OUT (2010.10.24)

近くの水辺に、今季初めて、ユリカモメの群れが姿を見せていました。異常気象が騒がれながらも、今のところ、大きな季節の流れが狂うまでは至っていないということですな(現在、J.G.バラード「狂風世界」@ 東京創元社 2010年復刊フェア を手に取ったところ故の感想か)。


in最近のIN

MICHEL CAMILO BIG BAND -CARIBE- @ Blue Note Tokyo10.10.23

Michel Camiloの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

このクラブで彼の公演を観るのは三回目。2009年はトリオ、今年の3月には、Chucho Valdésとのピアノ・デュオだった。そして、今回はビッグバンドを率いての登場である。構成は、ドラムのCliff Almond、ベースのAnthony Jacksonに加えて、パーカッション 1名、トランペット 4名、トロンボーン 4名、サックス5名。もちろん、ドラム&ベースは「元祖さとがえるトリオ」のリズム隊でもある。

初めはピアノだけで演奏が始まり、そこにパーカッションが絡み出す。そして、爆発するかのようにブラス隊が加わるや、もう楽しい!の一言。トリオ演奏の時のような緻密さではなく、荒削りだけどブラスの勢いを最大限に活かしたようなアレンジ。Camiloも、ピアノに集中するだけでなく、時にはステージ中央に出てきて指揮をするなど、楽しんでパフォーマンスしているようだ。

どのプレイヤーも、ひとたびソロを取るや、見事に印象的な演奏を披露してくれて、手練れのミュージシャンが集結したという感じのバンド(1994年に、ドミニカ共和国で行われたビッグバンド公演を再現したメンバーらしい)だが、特にパーカッションのGuarionex Aquinoの活躍が目を惹く。普通のパーカションだけでなく、鳥や虫の鳴き声、羽ばたきの音などの自然音を再現する器用なパフォーマンス(ラテン版江戸家猫八みたい)を見せてくれた。こういうSE的な音を機械に頼らず、プレイヤー同士のアイコンタクトの中で築いていくのを観られるのも、ライヴの醍醐味だ。

Cliff & Anthonyのお馴染みのリズム隊は、さすがの安定感。矢野顕子と一緒にトリオ演奏している時のような個々の見せ場は少なかったものの、ビッグバンドのサウンドをしっかりと支える素晴らしいテクニックを見せてくれた。もちろん、そこに絡むCamiloのピアノは、相変わらずの超絶技巧。もう、お腹一杯である。

高い割に、あまり美味しくないと思っているブルーノート東京の食べ物だが、この日は良い生牡蠣もあり、色々と満足度の高い公演だった。



因みに、ブルーノートでの演奏が始まり、暑くなってきたので上着を脱いだら、隣の席の見ず知らずの人とお揃いのような縞模様。二人並んでボーダーズ状態になり、ちと気恥ずかしかった今日この頃です。