IN/OUT (2010.10.17)

収納場所を取るような大きなモノは自制できても、小型で気の利いてそうな調理器具を見つけると、ついつい使用頻度も考えずに買ってしまうことが、ままある訳で。エビの皮むき、中々の優れモノです。


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ワールド・ビート2010[スタッフ・ベンダ・ビリリ特別公演]10.10.11

Staff Benda Bilili他、三組のアフリカ・ミュージシャンが出演するイベントを観に、日比谷野音に行ってきた。

三連休の最終日、前日までは天候が不安定だったが、この日は晴天。汗ばむぐらいの陽気で、野音日和である。「外れのないプロモーター」プランクトンでチケットを押さえたら、席は前から三列目のほぼど真ん中で通路に面した所という、ほぼベストのポジション。缶ビールとコンサートグッズを購入し、早速着席。もっとも、この席、会場がヒートアップすると、警備員の制止を振り切って踊りに来る面倒くさい奴らが現れるので、結構、鬱陶しいことが後々判明するのだが…

15時半、定刻通りにMCのPeter Barakanが登場。まずは一組目のJustin Adams & Juldeh Camaraのステージが始まる。Justin Adamsはイギリス生まれの白人。Robert Plant Bandのギタリストでもある。Juldeh Camaraはガンビア生まれ。リッティという伝統楽器を弾く。このリッティ、一弦フィドルとも呼ばれている擦弦楽器だが、フィドルのように首と肩の間に挟むのではなく、脇の下に抱えて演奏する。

演奏は、非常にスリリングだ。特に、最初はアフリカの伝統楽器を弾いていたJustin Adamsが、エレキギターに持ち替えてからのノリが強烈。楽曲自体は民族音楽的なもので、明確なサビがあるポピュラーミュージックではなく、むしろインプロビゼーションが続くような感じなのだが、リティの音が一弦とは思えない表情を持ち、それが歪みを効かせたギター・サウンドと絡むさまが何ともカッコ良い。ほんと、凄いモノを見せつけられた。演奏後登場したPeter Barakanも「カッコ良かった〜! CDで聴くより遙かに凄いっ!!」と興奮気味だった。

二組目は、ブルキナファソ出身のシンガー・ソングライター Victor Dėmė。アコースティックギター、ベース、伝統楽器の撥弦楽器とパーカッションの4人のバックバンドを従えての演奏。デビューしたのが48歳という苦労人だそうだ。演奏の方は、意外に普通っぽいフォーク・ソング調だったり、哀愁の歌謡曲風だったりするメロディー。ただし、そこに伝統楽器が加わることで独特の躍動感がプラスされている。会場はスタンディングでの盛り上がりとなったが、個人的には、やや意外性に欠けたかな、という感じ。

そして、最後にメイン・アクト、Staff Benda Bililiが登場、あの映画で観た通りの姿の8人が登場。会場は最初から総立ちである。演奏も凄い。前列に並ぶ5人のヴォーカル(4人が車椅子、1人が松葉杖)の、力強く、陽気なパフォーマンス、パワフルかつ見事なテクニックでリズムを支えるドラムスとベース、そして、バンドのサウンドにスパイスを効かせるのが、空き缶に一本の弦を取り付けただけの自作楽器を弾く最年少、ロジェ。彼だけは、他の底抜けに陽気なメンバーとは少し違った、いかにも天才肌っぽいノリに見える。

歌詞の内容が後ろに投影されたのだが、歌われているのはポリオのことだったり、若者にギャング団に入るな、賭博はするな、働け、と語りかける内容だったりと、本当にキンシャサのストリートに根ざした、深刻な内容を含む言葉なのだが、曲調自体はどこまでもポジティブ。この前向きなパワーこそが、コンゴの路上で歌っていた身体障害者を中心としたバンドが、ワールド・ツアーを成功させるまでになった原動力なのだろう。

ということで、彼らの演奏は徹頭徹尾、熱い。歌詞に技巧をこらしていなくても、演奏している楽器が空き缶製だったり、手作りの木箱をバスドラ代わりにしているドラムセットでも、そんなことは関係ない。ましてや、メンバーの過半数が身体障害者ということすら忘れてしまう。純粋に会場をヒートアップさせることにかけては、世界最強のバンドかもしれない。

アンコールの最後の曲("Tonkara"=段ボールというタイトル)で、本日の他の出演者も登場し、賑やかに大団円。最後にPeter Barakanが「また、やりましょう!」と叫んでいたが、次回があるなら万難を排して駆けつけたいと思わせる、実にパワフルなイベントだった。



まぁ、一年の内、何回、大量のエビを下ごしらえする機会があるのかと冷静に考えると、無駄遣いになるのかも。そう言えば、バーニャカウダ専用の陶器ポットも、活躍の機会は限られてるなぁ…