IN/OUT (2010.2.7)

杉花粉がちらほら飛散し始めたと確信する、今日この頃です。


in最近のIN

"Invictus"10.2.6

Clint Eastwood監督の新作を観てきた。邦題は「インビクタス/負けざる者たち」。

間違いなく、マイ・パーソナル・ベストの一本だ。上映中、涙腺開きっぱなしである。EastwoodとMorgan Freemanの鉄板コンビなので、それなりに良い作品だろと予想はしていたが、まさかここまで魂を揺さぶる作品だったとは。

1995年、自国開催のラグビー・ワールドカップで南アフリカが優勝した実話を描いた作品だ。実話だから、予想外の展開や驚愕のどんでん返しが有る訳ではない。むしろ、物語自体は、非常にシンプル。映像や演出にも、奇をてらったところはない。後半のスローモーションの多用以外は、淡々としたペースでエピソードをつないでいくだけだ。それなのに、この魂の揺さぶられようは、どうしたことだろう。

Morgan Freemanが演じるMandela大統領の真摯な言葉が胸を打つのだ。27年間、獄中にいながら、かつての敵=白人を赦し、国を一つにまとめようとする、信念を貫いたブレない姿勢が、圧倒的な感動を呼ぶ。また、ラグビー・チームの主将に扮したMatt Damonの演技も見事だ。あれだけ個性的な俳優なのに、この作品では、ある意味、個性を殺して実在のキャプテンになりきっている。Mandelaと魂でつながった男の姿を見事に演じている。

アパルトヘイト後、復讐の念を抱く黒人と、彼らの報復に恐怖心を募らせる白人。国の発展のため、民族の融和を願うMandela大統領の姿を、ラグビーと大統領警備スタッフを通じて描くという着想も素晴らしい。

もちろん、ここで描かれたような美談で南アフリカが抱える問題が解決した訳では無い。都市部の治安問題をはじめ、多くの課題がいまだに存在している。それでも、かの国の将来に希望を持たせる、力強い作品だ。

実在の偉人の映画化の上に、人種融合という重いテーマをもった作品だけに、簡単な映画製作ではなかったと思う。しかも、米国人であるClint Eastwoodにとって、ラグビーは馴染みの薄いスポーツのはずだ。それを、堂々たる演出で描ききったEastwood。本当に、恐るべき79歳だ。とにかく、観るべき作品だ。まだ、興奮している。



屋外よりも、特定の会議室で花粉の存在を察知することがあるのは、古い空調が集塵効果を発揮しちゃってるのでしょうか?