AFTER SCHOOL HANGOUTの公演を観に、恵比寿The Garden Hallに行ってきた。彼らの公演は、これまでもブルーノート東京などで観ているが、今回は矢野顕子がゲスト出演。2017年最後のコンサート観戦にふさわしいイベントだ。
AFTER SCHOOL HANGOUTは、林立夫と沼澤尚、二人のドラマーが立ち上げたプロジェクトで、お二人の他に、ギターの鈴木茂、キーボードの森俊之、ベースの沖山優司、ヴォーカル&ギターのLeyonaと高橋幸宏がメンバー。主に、彼らが学生時代、放課後に夢中になっていた'60~'70年代にかけての洋楽カヴァーを演奏している。今回は、矢野顕子と田中和将 from GRAPEVINEをゲストに迎えての公演。
ホールのホワイエでは、例によって物販に心血を注ぐ鈴木茂氏の姿(先週行った矢野さんのコンサートにゲスト出演されたときも物販に気合いを入れていた…)。
第一部が開演。Trafic、Procol Harum、Neil Young、Bob Dylanらのカヴァー曲が続く。このバンド、単なる洋楽コピーではなく「カヴァー」という事に拘っているわけで、名曲に名うてのミュージシャン達の味付けが加わっているところがミソ。もっとも、私は、この辺りのオリジナルは守備範囲では無かったので、曲名やアーティスト名が分からない曲が多い(聴いてすぐに分かったのは、二部で演ったThe Young Rascalsの「Groovin'」とNeil Youngの「Helpless」ぐらい)。それでも、すっと耳に入ってくる心地よさ。
因みに、MCは、主に林立夫。ツッコミ役がユキヒロという感じ。林氏の「歌うことは医者に止められている」発言や、鈴木商店いじりなど、先週の矢野さんのコンサートでのMCが伏線になったネタも多く、これもまた楽し。
20分の休憩を挟んで第二部。最初の4曲ほどは、ユキヒロもドラムを叩き、林立夫&沼澤尚と共に、トリプル・ドラムになる。ただし、三人のバトルということにはならず、同じリズムを奏でる余裕の演奏(林氏曰く、まさに高校生バンド風)。それなのに、ダブル・ドラムの時とは一段違う、熱いグルーヴが伝わってくるプレイ。この何気ない凄さこそ、ベテラン・ミュージシャンの味だ。そして、ゲストのGRAPEVINE 田中和将が登場。大ベテラン勢にすっかり溶け込んだ(ベテランからは「田中ちゃん」と呼ばれていた)演奏で会場を熱くする。
田中氏がはけて、いよいよ矢野さん登場。まずは、Neil Youngの"Helpless"をユキヒロとデュエット。なんだか、ユキヒロの声が、一段と良く出ているように聞こえる。二人の仲の良さが表れているようだ。さらに、もう一曲、キーボードを弾きながらLaura Nyroの"Stoned Soul Picnic"。カッコ良い曲だ。特に、間奏での二人のキーボーディスト、ピアノ・サウンドの矢野さんとオルガン・サウンドの森俊之氏の掛け合いが心地よい。この後、矢野さんがはけて、スタンダード・ナンバー "Blue Moon"で本編終了。アンコールには、ゲスト二人も登場し、皆でThe Beatlesの"Revolution"。永遠の高校生達の余裕と遊び心溢れるサウンドが、実にカッコ良く響くイベントだった。