八ヶ岳高原ロッジで、2017年9月9日(土)、10日(日)の二日間、石川さゆりさんと共演するコンサートが開催されました。私は、9日(土)に参加することができました。
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メンバー |
2017年9月9日(土):八ヶ岳高原ロッジ |
2017年9月10日(日):八ヶ岳高原ロッジ |
第一部は、珍しく洋服で。第二部は、お着物で(帯には、猫とネズミの絵)。
* は、矢野さんのソロ弾き語り
このホールには、2011年の冬にも来たことがあるが、爽やかな高原の中、木の温もりのある、実に素敵な場所だ。キャパは250席。六角形で音響も素晴らしい(今日も、お二人のヴォーカルがとても綺麗に響いていた)。会場に着くと、まずは、座席の抽選。その場で、係員が差し出す座席番号が記された紙から一枚を選ぶという、ガチの抽選である。私は、かなり隅っこの場所が当たったが、まあ、小さい会場なので問題は無い。ロビーでは、ウェルカム・ドリンク(赤・白・ロゼワイン、オレンジとアップルジュースなど、中々充実)が振る舞われ、さすが高級リゾートだ。
矢野さんと石川さん、どちらも洋装で登場。まずは、X - Cross III -から一曲。会場の過半を占めているのではないかと思われる石川さんのファンの熱い手拍子、そして、歌唱が終わるやいなや、ピアノの余韻お構いなしに始まる盛大な拍手に、矢野ファンとしてはアウェイ感を覚える…。
ここからは、昭和歌謡名曲集。曲毎に、一番を矢野さんが歌って二番が石川さんだったり、その逆だったり。正調歌謡曲という感じの石川さんと、(普段のソロ公演の時ほど崩してはいないが)変化球の矢野さんの対比が面白い。なお、この日の観客は、最高齢92歳を筆頭に、かなり高めで、1967年頃の曲が続いても、皆、知っているのだ。
一曲ごとに、その曲にまつわるあれこれのトークが挟まるのだが、プライベートでも仲の良いお二人だけに、脱線気味に長くなりがち。なかにし礼氏作詞の作品が続いてからの「今日は、印税で儲かってるわね」との矢野さんの超現実派発言や、「あなたならどうする」の歌詞に出てくる究極の三択「泣く・歩く・死んじゃう」の真意を石川さんが直接なかにし礼氏に電話して確認した話や(因みに、泣く=感情的な対応・歩く=行動的な対応・死んじゃう=無気力な対応、を意味しているらしい)、小田和正氏が島倉千代子さんのファンだという話などなど。
ザ・ピーナッツの曲で第一部終了。休憩時間にも、フリー・ドリンクのサービスがあるところが、流石だ。
第二部。着物に着替えた矢野さん登場。我々は、矢野さんが着物姿でピアノを弾くという歴史的瞬間(と、矢野さん自身、評していた)に立ち会う訳だ。いささか苦しそうではあるが、ソロで「ひとつだけ」。続いてもソロで、石川さんのリクエストだという「津軽海峡・冬景色」。ブルージーな間奏に、英語詞までぶち込んでくる、矢野版「津軽海峡」に、小さく笑い声を上げていたのは、恐らく、石川さんのファンだろう。矢野ファンとしては、こう来たか!と興味津々で聞き入る。出だしこそ、やや無理矢理な印象もあったのだが、後半、どんどんヒートアップしていく演奏を、堪能。演歌界の大御所と共演するからには、こういう異種格闘技戦的なチャレンジを期待していたので、これが聴けたのは、今日の大収穫だ。
ここで、やはり着物に着替えた石川さん、登場。「津軽海峡・冬景色」の歌詞について、阿久悠氏が、演歌の世界に初めて自立した女性を登場させたものだという、目からうろこの解説をされ、さすがベテラン演歌歌手だと感心した。
石川さんと歌う「春咲小紅」は、二人のハーモニーが美しい。本編ラストは、昨年の「ふたりでジャンボリー」でも披露した「飢餓海峡」。ど演歌に対して、完璧なまでにドラマチックなピアノを被せる矢野さん。見事なコラボレーションだ。
アンコール一曲目は、X - Cross III -から。そして最後は、歌詞を書いた模造紙を掲示し、石川さんがリードし、矢野さんが伴奏し、会場みんなで歌うという趣向で、「涙くんさよなら」。
二人の化学反応という意味では、やや物足りない感じも残ったが、素敵な雰囲気と良質の音響に恵まれたホールにお二人の歌声が響くだけで、十分に楽しい公演だった。また、こういうスタイルの共演には慣れていないと思われる石川さんを、矢野さんのピアノが臨機応変にサポートするところも聴きどころだったと思う。
コンサートが終わると、外は大雨。高原の星空を期待して、天体望遠鏡を持参してきたという矢野さんは、がっかりしていただろうなぁ。