IN/OUT (2017.7.16)

梅雨明けしないまま、連日の猛暑。この蒸し暑さは、熱帯のシンガポールよりもたちが悪いと思う、今日この頃です。


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赤坂で肉骨茶を食べる17.7.13

赤坂に、肉骨茶の専門店が出来たということで、元シンガポール駐在員が久しぶりに集合した。肉骨茶=バクテーは、豚のスペアリブを、胡椒を効かせた漢方風スープで煮込んだシンガポールのソウル・フード。赤坂の店は、予想よりも本格的に美味しかったのだが、本来、港湾労働者のガッツリ朝食だったメニューを、冷房の効いた綺麗な店で食べるのは、ちょっと雰囲気が違うかも…。この店は、肉骨茶だけに特化しているので、果たして日本に根付くのか、ちょっと心配でもある。

一軒目の店が、本当に肉骨茶しかなかったので、元駐在員一行は、二軒目、赤坂Bizタワーにあるシンガポール料理屋へ。ここで、サテー、大根餅、空心菜、ラクサ、チキンライスと、中々レベルの高いシンガポール料理を満喫。帰任後、十年以上会っていなかった人達とも、シンガポール話題は尽きず。日頃、固有名詞をすぐ忘れてしまうようになったことを嘆く私も、当時のローカル・スタッフの名前などは、何故か、スラスラ出てくるのには、我ながら吃驚。


「アルチンボルド展」@ 国立西洋美術館17.7.16

国立西洋美術館16世紀後半に活躍したイタリア生まれの画家 アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)の展覧会を観に、国立西洋美術館に行ってきた。

写実的に描かれた野菜や魚などを組み合わせて人の顔のように見せる、「寄せ絵」と呼ばれる肖像画で有名な画家だが、「寄せ絵」自体は、その見た目のインパクトから、あちこちで模倣されている。それでも元祖の実物が持つ迫力は、やはり生で見てこそだと感じる。自分自身の自画像を「紙」だけで構成した「紙の自画像 <紙の男>」を見ても、彼が筋金入りの「奇想の人」だったことが伝わってくる。

彼の作品の魅力もさることながら、それ以上に感銘を受けたのは、展覧会の構成自体だ。彼が影響を受けたレオナルド・ダ・ヴィンチの素描や、同時代の他の画家の作品や工芸品も並べることで、アルチンボルドの世界を重層的に捉えることが出来る。一方で、後世に自分の名声を残そうと伝記を書かせという逸話や、宮廷画家として、如才なく、貴族達のご機嫌を取っている様子からは、彼の人間臭さも伝わってくる。

オーディオ・ガイドの解説も秀逸。素人では気づかないような、彼の作品に隠されたメッセージを、分かりやすく教示してくれる。アルチンボルドの絵は情報量が多く、鑑賞に当たって、このガイドは必聴だと思う。周囲のオーディオ・ガイドを付けていない人達が、ピントのずれた会話をしているのが聞こえてきたりすると、せっかくの機会なのに勿体無いなぁと思ってしまう。



現在進行形の事はど忘れしても、昔の事は覚えているというのは、冷静に考えると、典型的な老化なのかも…