IN/OUT (2012.12.30) |
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一応、正月休み。既に、休み明け後の仕事を考えて憂鬱になったりもしてますが… 最近のIN「MU [無] - PEDRO COSTA & RUI CHAFES」 (12.12.24)ポルトガルの二人の芸術家、映画監督のペドロ・コスタと、彫刻家のルイ・シャフェスが組んだ企画展を観に、原美術館に行ってきた。「無」というタイトルは、二人が敬愛する映画監督、小津安二郎の墓碑に刻まれた文字に触発されたもの。 映像作品が5点と彫刻作品が5点。二人が実際に原美術館を見てプランを練ったそうだ。確かに、二人の作品がただ並んでいるのでは無く、美術館の元個人邸宅だった空間と一体となって初めて、全体が完成するという印象だ。 ただし、一見、分かりづらい展示でもある。特に、ペドロ・コスタの映像は、固定されたカメラで、黒人男性が暮らしているアパートの一室を延々と映すだけだったりして、意図が読み取れない。幸い、訪れた時、美術館スタッフによるギャラリー・トークが開催されていて、その映像の背景(アフリカの西にある火山島からなる国、カーボベルデからの移民の話)を聞くことができ、理解が深まった。空間そのものを感じ取ってもらいたいということかもしれないが、この辺の説明は、どこかに掲示しておいても良いと思う。 なお、常設展示の奈良美智「My Drawing Room」が、今年も期間限定のクリスマス・ヴァージョンになっている。これも楽しい。 2012年のIN (11.12.25)ということで、今日が最後の日曜日。金環食があった2012年を振り返ってみる。 旅行に行ったのは、鶴岡の加茂水族館訪問ぐらい。派手さは無かったが印象深い水族館と鶴岡の町並みだった。 御年92歳、P. D. ジェイムズの新作「高慢と偏見、そして殺人」を読むことができたのが、書籍関係のベスト。「解錠師」の読後感の爽やかさ、「ミステリウム」の不穏な雰囲気も記憶に残る。年々、読書量が落ち続けているが、しばらくは新規導入したKindleで、クリスティの旧作再読にはまりそうだ。 映画だと、Rajniの「ロボット完全版」。圧倒的なエンターテインメント大作。ただし、無残に切り刻まれた「ロボット日本版」は、今年最大の駄作である。「ロボット」のヒットを受けて公開されたRajniの旧作"Sivaji"も楽しかった。他に、"Tinker Tailor Soldier Spy"の渋さに唸った。Sintok 2012 シンガポール映画祭での"Sandcastle"は、意外な拾い物。Woody Allenの"Midnight in Paris"の職人技に感嘆。バットマンや007やエイリアン関連の大作は、それぞれ堪能したのだが、期待値が高かったこともあり、ベストの評価とはならないかな。 ライヴは、懐かし曲乱れ打ちのTrevor Horn featuring Lol Creme and Ash Soanと、圧倒的楽しさの"WILL LEE'S FAMILY featuring STEVE GADD & CHUCK LOEB"が、甲乙付けがたいベストか。他にも、YES、上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト、The Chieftainsなどが印象深い。もちろん、矢野顕子がKate Bushの物真似を披露したことは、その出来云々を超越したビッグ・ニュースなのである。 展覧会だと、原美術館の"Jean-Michel Othoniel: My Way"が非常に印象深かった。横浜美術館の「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」の充実ぶり、東京都現代美術館の「館長 庵野秀明 特撮博物館」の楽しさ、国立新美術館の「リヒテンシュタイン」のゴージャスさも忘れがたい。 最後に、今年も製菓研究は継続中。 ま、とにもかくにも一年終わり。来年も素敵なINを集めたいものです。 |