IN/OUT (2012.4.22)

近所のスーパーが、これまで毎月1回、ポイント10倍デーを設けていたのを、毎月2回のポイント5倍デーに変更。お得度合いは変わらないと主張したいのかもしれませんが、この日にまとめ買いを目論んでいる私には、獲得ポイント半減となる訳で、してやられた感に打ちひしがれる今日この頃です。


in最近のIN

YES live at 渋谷公会堂12.4.18

私の偏愛するプログレッシブ・ロック・バンド、"YES"の公演を観に、渋谷公会堂に行ってきた。

1968年の結成以来、メンバーの出入りが激しいバンドだが、今回の来日メンバーは、
・ ベース:Chris Squire
・ ギター:Steve Howe
・ ドラムス:Alan White
・ キーボード:Geoffrey Downes
・ ヴォーカル:Jon Davison
元々、昨年発売された新アルバム「Fly from Here」のメンバーでのツアーのはずだったのだが、ヴォーカルのBenoit David(彼も、病気でバンドを抜けたJon Andrsonの代わりだった)が、ツアー中のこの2月に病気を理由に脱退。急遽参加したのが、Jon Davison。元々、YESにインスパイアされたバンドで活動している人らしい。私としては、YES史上、唯一、全期間在籍しているChris Squireと、黄金期のメンバーSteve Howeがいれば、それだけで嬉しいのだが、やはり残念ではある。あと、Alan Whiteは、一応、黄金期のメンバーだが、私としてはBill Brufordの方が好み。Downesは、あくまでもThe BugglesやAsiaのメンバーという認識。ということで、期待半分ぐらいで出かけてきた。

前奏に続いてメンバー登場。まずは、"Yours Is No Disgrace(1971年 The Yes Album収録曲)"。見た目はすっかりお爺ちゃんのSteve Howeがギター・ソロで頑張る。以下、
"Tempus Fugit(1980年 Drama収録曲)"
"I've Seen All Good People (1971年 The Yes Album収録曲)"
"And You and I(1972年 Close to the Edge収録曲)"
Steve HoweのSolo
"Fly from Here - Suite(2011年 Fly from Here収録曲)"
"Machine Messiah(1980年 Drama収録曲)"
"Owner of a Lonely Heart(1982年 90125収録曲)"
"Starship Trooper(1971年 The Yes Album収録曲)"
---アンコール----
"Roundabout(1971年 Fragile収録曲)"
曲数が少ないのは、一曲あたりの時間が長い大作が多いからだ。おかげで、記憶力の弱い私でも、メモを取らずとも覚えていられる。

Geoffrey Downesが参加したということで、彼が録音に参加したアルバムからの曲が多い。中でも、Machine Messiahをライヴで披露するのは珍しいか。さらに、最新作"Fly from Here"のタイトル曲、YESらしい組曲仕立ての大作を演奏するところが、まだまだ懐メロ・バンドじゃなくて現役だということを強調するかのようだ。この新作、過去の大作の焼き直し感が無きにしもあらずだが、かなり良い作品だと思う。

急遽参戦のJon Davisonは違和感なくバンドに溶け込んでいるようだが、やはり態度は控えめ。その分、Chris SquireとSteve Howeのツートップがバンドを引っ張っている感じ。Howeのギターは、相変わらず巧いのだが、それでも衰えをごまかしているような箇所も感じられる。もちろん、長年のファンは脳内補完するので無問題。ついでに、Rick Wakeman在籍時のAnd You and IやRoundaboutの演奏では、DownesのキーボードをWakemanの音に脳内補完してました。すまん。

自分自身に70年代のYESの曲はしっかり刷り込まれているなあと再認識し、また、お爺ちゃんになってもロックは演奏できるのだなと感心したライヴだった。


"Tinker Tailor Soldier Spy"12.4.21

John le Carré原作のスパイ映画を観てきた。邦題は「裏切りのサーカス」。最初、このタイトルを目にしたときは、大して興味を惹かれなかったのだが、ポスターをよく見ると原題が"Tinker Tailor Soldier Spy"になっている。そう、あの、ジョン・ル・カレのスマイリー三部作の第一部「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化作品だったのだ。邦題の「サーカス」は曲技団のことではなく、英国諜報部の別名。って、そんなこと知っている日本人が何人いるのか? それよりも、ミステリ・ファンなら必ず知っているスパイ小説の金字塔「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」のタイトルのまま公開すれば良いのに。馬鹿邦題にもほどがある。

さて、邦題の間抜けさにもかかわらず、映画自体は、見事なまでにル・カレの世界を再現した大傑作だった。原作は、スパイ小説と言っても、アクションも無ければ、謎のブロンド美人なんかとも無縁。初老のおじさんスマイリーが丹念に情報を集め、緻密な分析を重ねる様子を、周到な伏線を張り巡らせつつ複雑なプロットで構築した、重厚かつ地味な、それでいて、読み始めたら止まらない面白さが詰まった作品だ。この大作を、要所を押さえて2時間の枠に収めた脚色、見事だ。

原作同様、映画も地味な雰囲気だが、どの画面も情報量が極めて多く、気が抜けない。Gary Oldmanの的確な演技が、観客の緊張感を持続させる。舞台は、1970年代の冷戦下。PCもインターネットも無い時代の諜報活動を再現したセットや衣装も良い感じ。

ラストは続編の存在を予感させるものだった。是非、三部作の残り二つ「スクールボーイ閣下」と「スマイリーと仲間たち」も映画化していただきたい。もちろん、その際は、小説と同じタイトルでの公開もお願いする。



ユリカモメほとんどユリカモメの羽が夏毛に変わってきました。そろそろ北へ向かうのでしょう。もっとも、その割りには、すきっと春らしい陽気になりきらない天候が続いていますが。