IN/OUT (2012.5.13)

ゴールデンウィーク開けの週は、疲れますな。


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Sintok 2012 オープニング作品 "12Lotus"12.5.12

映画館前のポスターSintok 2012 シンガポール映画祭がいよいよ開幕。オープニング上映&スペシャルイベントに参加するため、シネマート六本木へ行ってきた。

オープニング上映は、Royston Tan監督の"12 Lotus"。あの「881 歌え! パパイヤ」の監督である。パパイヤと同じく中華系の大衆芸能「歌台」を舞台にし、出演している役者もかなりダブっているようだ。ただし、能天気なパパイヤと違い、この映画のストーリーは、とことん暗い。主人公の女性は、子供の頃は父親に虐待され、成長したら悪い男に引っかかり、身体も心もボロボロに堕ちていく悲運っぷり。しかし、不思議なことに、全く救いの無い物語のはずなのに、映画からは悲愴感だけでなく、明るい笑いが感じられる。そのポイントとなるのが、いきなり登場人物が歌い出すミュージカル調の演出。しかも、それが、ベタな中華歌謡なのである。なんとも不思議な雰囲気の作品で、妙に心に残る映画だ。あと、Stefanie Sun(孫燕姿が特別出演しているのも、私的には高ポイント。

監督と主演女優さて、上映が終了すると、この映画の主人公を演じていたLIU Ling Lingさんが、歌台そのままの派手な衣装で登場し、歌を披露。彼女は福建歌謡界のスターなのである。さらに、歌は続き、男性歌手も登場。と思っていたら、彼は監督のRoyston Tanその人であった。結構なイケメンで、歌も玄人はだし。映画の監督と主演女優とは思えない、インパクトのある二人の歌謡ショーを楽しむ。

そして、その後はディナー・レセプション。映画館のロビーが立食パーティーの会場となり、この映画祭のスポンサーになっているシンガポール航空の偉い人の音頭で乾杯。料理は、サテ、カレー・パフ、ラクサ、海南鶏飯などなど。味も量も、予想以上の高レベル。飲み物も、タイガービールだけでなく、ワインやハイボールも揃っていて、実に立派な、でもこぢんまりした映画祭らしい親密さも溢れる、良い感じのパーティーだ。

しかし、私には次の予定が入っていたため、最後まで残ることができず、途中で撤退。


"Endhiran"12.5.12

シンガポール映画祭のディナー・レセプションを抜け出して向かったのは、新宿の映画館。インド(タミル)映画界のスーパースター=Rajni兄貴の新作封切り日なのである。邦題は「ロボット」。

Rajinikanth が扮するのは、天才的なロボット工学者と、彼が作り出したロボットの二役。このロボット、軍事利用を視野に、アジモフのロボット工学三原則を適用していないという潔い設定。おかげで、悪人をぶちのめすアクションも出来る訳だ。一方、博士の方は、意外に野心家。Rajniが扮するにしては、面白みが足りない人物像のような気がする。

冒頭から、SFテイスト満載で、あの「SUPERSTAR」のロゴもカッコ良くなっている。が、高性能な人型ロボットが巻き起こす騒動が描かれる前半は、中学生が発想したようなレベルかも。そして、後半、恋に破れたロボットが暴走してからは、その荒唐無稽さの加速ぶりがとんでもないことになっていく。もう、やりたい放題。

主演女優は、Aishwarya Rai Bachchan。ミスワールドに輝いた経歴の持ち主だけに、歴代のRajni映画のヒロインの中でも、相当の美人。

ということで、本国インドで大ヒットというのも頷ける娯楽大作だ。ただ、ロボットを演じたのは、Rajniの年齢的衰えをカバーするためという邪推も働く。ダンスシーンもアクションシーンも、特撮に頼るところが増え、生身のRajniの魅力がイマイチなのである。ダンスシーンは、ボリュームも少なく物足りないし、アクションでは、兄貴のキメキメのポーズが堪能できない。もし、この不満の原因の一端が、「"性別や年齢を問わず全国の劇場でこの作品を楽しんで頂きたい" そんな思いから、3時間近いインド版を特別編集して生まれた139分の日本版「ロボット」をお楽しみください!!」という配給会社による冒涜行為にあるとしたら、許しがたい。見逃せないダンスシーンがカットされているという情報もある。検証のためにも、完全版がDVDで発売されることを強く希望するのである。



Rajniの映画がさらにもう1本、この秋に公開されるという噂もあるようです。製作時期は、「ロボット」よりも前の作品"Sivaji"。予告編を見る限り、Rajniらしさが溢れた大傑作の予感。楽しみっす。