IN/OUT (2012.11.25)

AmazonのKindle Paperwhiteを入手しました。感心したのは、個人セットアップが完了した状態で届くこと。開梱したら、電源をつなぐだけ。ありがちな、ユーザー名やパスワードの設定は不要。無線LANにもすぐつながって、あっという間に使えるようになります。電子ペーパー・ディスプレイの見やすさにも文句なし。

ただ、Kindleストアのラインアップが物足りなすぎて、今のところ、評価は保留という感じです。


in最近のIN

「The Chieftains 結成50周年記念ツアー @ Bunkamuraオーチャードホール」12.11.22

アイルランド音楽の大御所、The Chieftainsの公演を観に、オーチャードホールに行ってきた。その50年のキャリアの間、グラミー賞受賞7回、The Rolling StonesやStingなど、錚々たるミュージシャンとセッションを重ね、私の偏愛するKate Bush、矢野顕子とも共演したことがある、アイルランドの至宝と呼ばれるバンドである。今回は2007年以来、10回目の来日。これまで何度も観ているが、来日する度に絶対に駆けつけたい、本当に素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれるバンドなのだ。

会場に到着し、まずはお約束のギネスを流し込んでから着席。1938年生まれのリーダー、Paddy Moloneyの陽気な声が舞台袖から聞こえてきて、メンバーが登場。オリジナル・メンバーでは、フルートのMatt Molloy、ボーラン(アイルランドのドラム)&ボーカルのKevin Conneffは健在だが、Sean Keaneがツアー不参加、Derek BellとMartin Fayは既に亡くなっているのが寂しい。サポートメンバーの、アイリッシュハープ、ギター、フィドル2名を加えた7名がステージに並び、演奏開始。

彼らのコンサートは、ダンスあり、ゲスト・ミュージシャンありで、本当に楽しく、飽きない。今回のメイン・ゲストは、和太鼓奏者 林 英哲氏。迫力のある和太鼓とアイリッシュ・トラッドとの絡みは興奮モノ。また、ダンサーのCara Butler嬢が、とにかくキュート。男性ダンサーのJon & NathanのPilatzke兄弟(Jonはフィドル演奏も兼ねている)の迫力あるステップダンスも凄く、ヴォーカルで参加しているAlyth McCormack嬢の歌声も美しく。

この他に、日本人のダンスユニット、バグパイプの楽団、女の子のアイリッシュ・バンドなど、次々とゲストが登場。そして、ステージ上で彼らを見守りながら、楽しそうに共演する大ベテランのThe Chieftains。その光景は、音楽の楽しさの結晶のようだ。ラストの一大セッションでは、涙が出てくるほど、興奮。今回も良い体験をさせていただいた。


"Sivaji"12.11.23

シネマート六本木タミル映画界のSUPER ☆ STAR、Rajinikanth 兄貴の2007年の超大ヒット作"Sivaji"が、遂に日本公開。12月1日の一般公開に先立って開催された「『ボス その男シヴァージ』マサラシステム上映会」に参加してきた。会場はシネマート六本木。ビール飲み放題&カレー付き上映会という、前代未聞のイベントである。

シネマート六本木まずは、映画館ロビーで、カレー(南インド料理ポンディシェリ特製『ボス』サンバル)を受け取る。本格南インドの味。そして、ビールはRajniのためならと、無償提供されたウッドペッカーハンタービールの二種。ビールと一緒に、栓抜き、チラシ、そしてクラッカーが配られる。カレーは一人一杯だけだが、ビールは、空き瓶と引き替えに、何本でもお代わりOK。

ある程度、飲み食いしたところで、劇場内へ。上映に先立って、配給のアップリンクと日活社員(ロボット」のヒットに味をしめた両社は、今後もインド映画を継続的に配給していくそうだ)が仕切ってイベントが行われる。Rajniに扮した芋洗坂係長がボリウッドダンスを披露したりし、続いて、本日の上映に適用される「マサラシステム」についての説明。要は、インドの人達が現地の映画館で楽しんでいるのと同じようにやろう、ということで、

  1. ラジニカーントの名前が出たら、拍手すること
  2. 大声で騒いでOK
  3. 席を立って、踊ってもOK
  4. 好きに飲んで、食べてOK
  5. 隣の人との会話OK
  6. クラッカーの持ち込みOK(片付けは各自でね)

その実例として、スタッフがインドの映画館で撮影してきた映像が映されたのだが、観客の熱狂ぶり以上に驚かされたのが、スクリーン。映画館のスクリーンの枠に電飾が仕込まれていて、ダンスシーンになると、賑やかに点滅するのだ。いや、それじゃ、スクリーンが見づらくなるだろう、というツッコミは野暮なのだ。

観客全員、楽しむ気満々になったところで、いよいよ本編。お馴染みの「SUPER STAR RAJNI」の文字がスクリーンに躍るや、一斉に鳴らされるクラッカー。Rajniが登場すれば拍手、"Cool!"の決め台詞の度に大喝采、ダンスシーンでは手拍子と、観客のノリもよく。っていうか、これはまさに、普段、一人でRajniのDVDを観ている私の状態がパブリックの場で認められていると言うことで、大変に嬉しい。

映画の方は、監督:S. Shankar、音楽:A.R. Rahmanの鉄板コンビらしい娯楽作。Rajniの暴走ぶりは、彼の作品の中でも一・二を争うレベルだ。前年の作品「チャンドラムキ」のパロディ・シーンが多いのも、Rajniファンにはご馳走である。嬉しいことに、ダンスシーンも全てノーカットの3時間半。タミル映画の楽しさをたっぷり堪能。


"WILL LEE'S FAMILY featuring STEVE GADD & CHUCK LOEB"12.11.24

Will LeeWill Leeがリーダーを務めるバンドの公演を観に、丸の内のコットンクラブに行ってきた。Will Leeのライヴは、この夏の矢野顕子祭り以来だ。今回は、彼自身がリーダーで、バンドメンバーが、Steve Gadd!、さらのChuck Loeb!!。凄腕ミュージシャンの共演である。

比較的小さいコットンクラブ。私が座ったのはWillのど真ん前の二列目。足下のペダル捌きも間近で見える席だ。メンバーは、Will Lee、Steve Gadd、Chuck Loebの他に、キーボードのOli Rockbergerと、キーボード・トランペット・サックス・ギターとマルチにこなすGiulio Carmassi。

演奏は、もう、凄くて楽しいの連続。余裕たっぷり、遊び心たっぷりに演奏するWill、繊細な音からド派手なソロまで変幻自在のChuck、そして、バンドのサウンドを見事に支えるSteve。キーボードの二人も含め、みんな、巧すぎ。来年発売になるWillのソロ名義アルバム中のオリジナル曲から、カバー曲までたっぷり。個人的には、TOTOのナンバーの中でも一番好きな"Georgy Porgy"をカバーしてくれたのが嬉しい。Will Leeのライヴでの楽しさは矢野顕子トリオの演奏で十分知っていたが、初めて生で観たChuck Loebの、Willに負けず劣らず楽しいパフォーマンスには、すっかり感心してしまった。もちろん、Steve Gaddのドラム・ソロの凄さはとんでもない次元に達している。

ということで、興奮しっぱなしだったのだが、本編ラストでは、WillとCheckは演奏しながらステージを降り、客席の中へ突入。通路で演奏するだけで無く、カウンターの上に立ち上がり、さらには客の目の前のテーブルに飛び上がり、その上を歩きながらプレイ。もう、会場のテンションもマックスである。また、彼らがテーブルの上で演奏を始めるや、ホールスタッフが素早く駈け寄ってきて、テーブルがガタつかないよう下に潜って支える姿に、コットンクラブ従業員のプロ意識を見ましたよ。ミュージシャンも観客もスタッフも、一体感が高まりまくったパフォーマンスだった。

因みに、一昨日のThe Chieftainsも、今回のWill Lee、Steve Gadd、Chuck Loebも、全て矢野顕子がアルバムに参加 and/or 矢野顕子のアルバムに参加したことがあるミュージシャンである。そろそろ、冬の矢野顕子強化月間だ。



出版社にとって、書籍の電子化がどれぐらい大変なのかは分かりませんが、個人的には、東京創元社と早川書房には、是非、頑張っていただきたい。特に、ここ最近の新刊に外れ無しの、ハヤカワのポケミスをリアルタイムで電子化してくれないかなぁ。

因みに、ポケミスの最新刊は、敬愛するP. D. ジェイムズ女史の「高慢と偏見、そして殺人」。91歳にして書き上げた新作を読むことができるとは、嬉しい驚き。しかも、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」のその後を描くという、個人的にツボの作品で、現在、鋭意、熟読玩味中。