IN/OUT (2012.8.5) |
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一週間の夏休み。帰省の前に、山形県鶴岡市へ小旅行。 最近のIN鶴岡の街を歩く (12.7.29)庄内空港に到着したのが13時30分。バスで市内へ向かい、駅前のホテルにチェックイン。この地域だと、羽黒山や湯野浜・湯田川温泉、庄内映画村などの観光スポットがあるようだが、元々水族館だけが目当てで、他の下調べをしていない。この日は、とりあえず市内を歩いてみることにする。 おおよその方角だけ見当を付けて歩き始める。歩道の脇に花壇が整備されていたりして気持ちの良い町並みだが、町自体の規模は予想よりも小さそうだ。 炎天下、30分ほど歩いたところで、鶴岡カトリック教会を見つけた。1903年に建造された教会で、天主堂は国指定重要文化財。ただ、予想していような観光地っぽさは無く、中は普通のカトリック教会。訪れていたのもこの時間は私一人。教会の方が気さくに話しかけてくれる。有名な窓絵などを眺めたり、涼んだり。 教会の近くに鶴岡公園があり、この周辺に市内の見所が集中しているようだ。庄内藩校 致道館、鶴岡市立藤沢周平記念館、荘内神社、致道博物館を、見て回る。歴史を感じさせる風情のある建物が多く残っているが、特に興味をかき立てられることもなく、それよりも、緑と水に溢れた町並み自体が心地よい。 鶴岡公園を後にし、ホテルがあると思われる方向に歩き始める。行きが、結果オーライで観光地にたどり着けたので、油断してろくに確認もせずに風情のある川沿いの道や、商店街をうろうろしている内に、かなりの遠回りをしたようだ。後から地図を見てみると、最短ルートの三倍以上は歩いていた。暑い。 ホテルがあるJR駅周辺が町の中心という訳では無く、夕食をどこで取るかで、ちょっと困る。結局、一日目はホテル内のレストラン。二日目は近くにある洋食屋「ジュールファスト」。後者は、予想以上にちゃんとしたイタリアン系。ワインもウルグアイ産など幅広く扱っていて好印象。 おそらく、藤沢周平の熱心なファンなら、市内観光だけでも、もう少しテンションが上がるのかもしれないが、代表作だけ何冊か読んだことがある程度の者には、そうしたこともなく。それでも、何の縁も無い地方都市を目的も無くブラブラするのは、久しぶりで、和んだのである。 「彫刻家 大平龍一 ぼうけんやろう」@鶴岡アートフォーラム (12.7.29)町で見かけたポスターをきっかけに、鶴岡公園からホテルへ戻る前に、鶴岡アートフォーラムに立ち寄った。1982年生まれの彫刻家、大平龍一氏の作品展が開かれていた。 一階のギャラリーには、中にスピーカーが仕込まれ音を発する、大きな木製の造形などが並ぶ。一方で、見落としてしまいそうな小さな作品がさりげなく置いてあったりして、バラエティーに富んだ内容だ。 「ぼうけんやろう」のタイトルがはっきりするのは、二階ギャラリーの展示の方だ。二階に上がると、奥の方から滝の音のようなものが聞こえてくる。しかし、目の前に展示されているのは、全体に金色の鈴を貼り付けた世界中の「縁起物」。象の置物、打ち出の小槌、バオバブの木、ミッキーマウスなどなど。それらの小物群を抜けると、突然、目の前に巨大な装置が出現する。この過程が「ぼうけん」っぽい。 その巨大装置は、ベルトコンベヤーを組み合わせた物で、大量の五円玉(これも縁起物)が高い位置に運ばれ、下に置かれた賽銭箱に流れ落ちる。これが滝の音の正体だ。そして、五円玉は、賽銭箱の下から再びコンベヤーに乗って、上に運ばれていく。賽銭箱の後ろには、インチキ臭い神様の絵が飾ってあったりもする。 いかにも、コンセプトありきで作りましたという感じが、私には合わないところもあるのだが、面白い展示ではある。 加茂水族館でクラゲを見る (12.7.30)一泊して翌朝。いよいよ、鶴岡訪問の目的、「水族館に展示されているクラゲの種類の最多数」でギネス認定の加茂水族館である。駅前からはバスで30分ほど。 いざ到着してみると、その外観は予想よりも遙かに小さく、古い。入館料800円を払って中に入る。順路の最初は二階の海水魚水槽だが、展示されているのは近海に生息する海水魚のみ。つまり、タイ、ホッケ、メバルなどなど。水槽の古さもあり、生け簀にしか見えない。手書きの解説板も「食べて美味しいか」という観点での説明が目立つような…。つづく、三階の淡水魚水槽もまた、庄内に生息する淡水魚の展示ということで、アユ、イワナ、ヤマメ、メダカなどなど。超地味。 この他、手作り感溢れるアシカ・アザラシショーや、ウミネコの餌付けをやっているのだが、はっきり言って、市街地から離れた不便な場所にある、老朽化した小さな水族館。客が来る訳が無い。そんな存続の危機にあった水族館を救った逆転打が、館長のクラゲ愛だったのである。一階のクラゲ展示は、広さこそ、予想していたよりも狭かったが、展示の量・質は、確かに凄い。 パラオのクラゲ。生まれたばかりの小さなクラゲ。プリズム状に七色に光を反射する有櫛動物などなど、種類も豊富。幻想的な大水槽を設置したり、給餌解説をしたり、クラゲの発生の過程を懇切丁寧に説明するなど、見せ方も工夫されている。クラゲを見所として取り上げている水族館はあちこちにあるが、ここまでマニアックなところは、世界中でここだけだろう。もう、館長及びスタッフのクラゲ偏愛が暴走しまくっているのだ。 たっぷり三時間(こんなに狭いとこなのに!)クラゲの写真を撮り、アシカショーを堪能し、食堂でクラゲ定食(クラゲ入り春巻きとか、冷や奴のクラゲ添えとか、クラゲ入りコーヒーゼリーがセットになっている)を食べ、お土産にくらげ入りまんじゅう・くらげ入りカステラ焼、くらげ入り羊羹を購入し、大満足で帰路についたのである。 "Prometheus" (12.8.4)Ridley Scott監督の新作が先行上映されたのを観てきた。 元々、Ridley Scottの出世作「エイリアン」の前日譚を彼自身が監督する企画が進んでいるということを聞いて、大いに期待していたのだが、いつの間にかそれは、謎の惑星を探検する別のSF映画になり、それがこの「プロメテウス」ということだった。しかし、ネタバレで書いてしまうが、この作品は、もろに「エイリアン エピソード・ゼロ」だった。配給会社は「人類最大の謎」とか煽っているが、これ、エイリアンですよ。 この作品がエイリアン・シリーズ(それも、第二作以降は無いものとして、第一作と直接リンクする作品)だということは、画面の端々に溢れている。宇宙船やその内部のデザインもそうだし、Weyland Corporationが黒幕だし。クレジットには、H.R. Gigerの名前も出てくる。さらに、オリジナルのエイリアンをオマージュしたと思われるカットも多数。Ridley Scottは、ニヤニヤしながら監督していたんじゃないだろうか。 ということで、Ridley Scott版"Alien"が大好きで、James Cameronが"Aliens"で設定を滅茶苦茶にしてしまったと嘆く私には、見事にツボにはまる作品だった。正直、一部、設定が理解しきれないところもあったのだが。 ただ、映画自体としては、風呂敷を拡げ過ぎちゃった感はある。未知の惑星を探索に出かけた割には、登場人物達の行動があまりに不用意なのも、ちょっと非現実的か。あと、3D映画になっているのだが、立体化する必然性も無かったと思う。それでも、私には憎めない作品だ。 夏休み、終わっちゃうのか… |