矢野顕子リサイタル 2013


夏の四公演中、パルテノン多摩、そして、冬の鎌倉に行くことができました。
誤りのご指摘や追加情報等あれば、送っていただけると助かります。


button 8月24日(土) / パルテノン多摩

buttonセットリスト

  1. Dreaming Girl
  2. ME AND MY SEA OTTER
  3. さあ、召し上がれ
  4. グッドモーニング
  5. 夏が終る
  6. プレゼント
  7. いい子だね
  8. Bye Bye (フジファブリック
  9. リラックマのわたし
  10. 海のものでも、山のものでも
  11. 電話線
  12. 中央線
  13. ROSE GARDEN
アンコール
  1. SUPER FOLK SONG
  2. ひとつだけ

buttonレポート

2013年 春のツアーも弾き語りだったが、あれは、新アルバムに合わせた構成のしっかりしたコンサートだった。そのため、私にとって、自由な弾き語りのライヴは、これが、今年初めてだ。会場は、1997年のさとがえるで訪れて以来かな。あの時のさとがえるトリオの演奏が物凄かった印象があり、今日も期待大である。

出だしの「Dreaming Girl」は、割にしっとりした入り方かな、と思う。5曲終わったところで、「Dreaming Girl」は、9.11のテロ事件の翌日がレコーディングで、こういう前向きな詞になったという話や、「ME AND MY SEA OTTER」製作の背景(高野寛さんが作曲ということは、すっかり忘れていたそうだが)など、丁寧に曲の解説が入るところが、リサイタルらしくて楽しい。

「プレゼント」は、こういう場では初演。キーを探りながらの歌い出し。低めに始まってしまったようだが、見事に軌道修正。続く「いい子だね」では、ヒールで床を打ち付けるのも楽器の一部のような演奏。上原ひろみさんと出会ってから、こういう奏法が増えたような気がするが、すっかり矢野さん自身の個性の一部になったと思う。

フジファブリックの曲は、初披露だと思うが、矢野さんによく似合った曲だった。今後の定番化と、さらなる深化に期待だ。

「リラックマのわたし」は、『だららだららら』のところを、会場とご一緒に、のパターン。うまくまとまってました。

元々の構想では、ラスト前にあと一曲ということだったようで、矢野さんから会場に「次は、『電話線』と『中央線』のどっちが良いですか?」の問いかけ(『線』つながりだったのは偶然だったみたい)。どちらも人気曲なので、当然、真っ二つに割れる会場。『中央電話線!』『電中線!』などの声も飛び交い、頭を抱えた矢野さんだが、これは、訊くのが悪いと思います。結局、二曲とも演ってくださって、皆、満足。

本編ラストは「Rose Garden」。ホント、この曲は、演奏のたびに変化があって、いつもいつも、楽しく、興奮するな。

アンコールはお馴染みの二曲で、全編終了。矢野さん曰く、「演奏者を乗せてくれるピアノ」の音色が後半から加速度的に良くなった感じ。会場の音響も良く(このホールから、車で三分ぐらいのところにお住まいと紹介されていた、ベテランPAオペレーターN氏のおかげかな)、楽しいコンサートだった。

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button 12月19日(木) / 鎌倉芸術館小ホール

buttonセットリスト

  1. GIRLFRIENDS FOREVER
  2. 想い出の散歩道
  3. 大寒町
  4. Sleep on my baby
  5. デビル・ゲーム(鈴木茂
  6. 海のものでも、山のものでも
  7. With You in Mind(Allen Toussaint
  8. ISETAN-TAN-TAN
  9. Bye Bye (フジファブリック
  10. OVER(O.P.King
  11. 悩む人 [A Worried Girl]
アンコール
  1. ごはんができたよ
  2. ひとつだけ

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年末恒例、冬の鎌芸。今年も、一曲目のピアノとヴォーカルの響きを聴くと、つくづく音の良い=矢野さんの弾き語りと相性の良いホールだと感じる。

一曲目から、好演が続いたのだが、驚いたのは四曲目「Sleep on my baby」。これをピアノ弾き語りで聴けるとは!カッコ良い演奏でした。続いては、鈴木茂氏の「デビル・ゲーム」という珍しい曲。彼が1976年に発表したソロでのセカンド・アルバム「LAGOON」収録曲だ。作詞は、松本隆氏。

今年のブルーノート公演で演奏した「With You in Mind」や、夏のリサイタルで演奏した「Bye Bye」など、今年初めて聴いて、今後も定番に育っていって欲しいと思っていたカバー曲を演奏してくれたり、以前は良くライヴで取り上げていた「OVER」を久しぶりに演ってくれたり。定番曲がほとんど無く、矢野さんが今、本当に演奏したい曲をストレートにぶつけてきたという印象の選曲が続く。そして、どれも、このホールのピアノの響きと、それに引っ張られるかのような矢野さんの演奏で、素晴らしい出来。

ラストは、まさかまさかの「悩む人」。複雑かつダイナミックなピアノが熱い。ライヴで聴いたのは、1998年のさとがえる以来だと思うが、隠れた名曲だと実感。マニアックな選曲の本編の後、アンコールが鉄板の二曲という構成も良かった。

矢野さん自ら「毎年、ここで名演が生まれるというのが定説」と語っていたが、まさにその通り。他会場とは一味も二味も違う演奏が繰り広げられ、大満足である。一年の締めの鎌芸。今後も、是非、続けて欲しいと熱望。

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