地区 | 公演日 | 開演 | 会場 | ゲスト |
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埼玉 | 11月30日(土) | 17:00 | 三郷市文化会館 | Seiho |
大阪 | 12月2日(月) | 19:00 | サンケイホールブリーゼ | 田島貴男 |
兵庫 | 12月3日(火) | 19:00 | 神戸新聞 松方ホール | 松崎ナオ |
愛知 | 12月5日(木) | 19:00 | アートピアホール | 上妻宏光 |
東京 | 12月8日(日) | 18:00 | NHKホール | 小田和正 |
矢野さんの高校の先輩。大人の風情を漂わせながら、終始、的確なドラムスで、バンド・サウンドをしっかり支えています。
矢野さんの高校の先輩にして、林さんの中学の同級生。せっかちな人ばかりのバンド・メンバーの中でも、一番の「せっかち大将」とのこと。
このメンバーでは、唯一、違う高校出身(EPOさんや清水信之さんと同じ高校ですね)。山下達郎氏の遠洋漁業的ツアーもこなしながらの参加です。
このバンドでの演奏を本当に楽しんでいるのが伝わってきます。
11月30日 三郷市文化会館のゲスト。舞台上で生け花をする異色のトラックメーカー。
12月2日 サンケイホールブリーゼのゲスト
12月3日 神戸新聞 松方ホールのゲスト
12月5日 アートピアホールのゲスト。
* は、Seiho氏が参加
昨年と同じく、ツアー初日は三郷市文化会館。舞台上、向かって左に置かれたピアノは C. BECHSTEIN。さらにKORGのKRONOSもセットされているのも昨年と同じ。その隣がベース、続いてドラムス、右端がギターという配置。
バンド陣は、黒のツアーTシャツを着用して登場。演奏は「電話線」からスタート。出だしから、矢野さんの歌詞が怪しいというか、今日は、全体的に喉の調子がイマイチという印象もあったのだが、演奏は実に気持ち良い。オリジナルに近いエッジの効いたアレンジに、聴きたかったのはこれだ!という感じで嬉しくなる。続く「東京は夜の7時」も、引き締まったバンド・サウンド。「Welcome to Jupiter」では、バンドの面々のテクニシャンぶりが炸裂。
「クリームシチュー」は、佐橋氏のアコースティック・ギターと矢野さんのエレピ・サウンドの絡みが美しい。糸井氏との共作の演奏が続いた後は、そのコンビによる新曲披露。ラスト近くのオルガン・サウンドがカッコ良し。さらにもう1曲、糸井氏作詞の「春咲小紅」は、オリジナルのシンセ・サウンドに相当する部分を、佐橋氏のギターで。
そして、第一部ラストは、「すばらしい日々」。久々の沁みるアレンジだ。
20分の休憩後、まずは、松崎ナオさん「川べりの家」。NHKの「ドキュメント72時間」のテーマとして印象的な曲で、昨年のさとがえる三郷公演では、松崎さんとのデュエットで披露したものだ。それを、今年は弾き語りで披露。そう来たか、という感じの、矢野さんらしいアレンジだ。
続いて、ゲストのSeiho氏登場。例によって、まずは舞台上で花を生ける。そして、アルバム「Welcome to Jupiter」収録の「Tong Poo」と、1年前にニューヨークで共演したときに演ったという「夕焼けのなかに」を二人で演奏。派手な衣装と、センスの良い音色から、美意識の塊のように見えるSeiho氏だが、喋ると、大阪のあんちゃんという風情になるところも楽しい。レイ・ハラカミ氏と連絡が付かなくなった今、矢野さんお気に入りのトラックメイカーとして、今後も新しい音に期待したいと思う。
Seiho氏退場。代わりに、舞台中央にセットされたマイクで、矢野さんはスタンディングでの歌唱。その手元にはキーボードが置かれているのだが、鍵盤が客席の方に向いている。この配置によって、立ったまま、手首が自然な角度で演奏できるという工夫だ。ニューヨークの若手ミュージシャンの真似らしい。そのスタイルに、佐橋氏のアコースティック・ギターと小原礼氏のパーカッションを組み合わせた「David」は、とても美しい調べだ。
そのセッティングで、もう1曲。打ち込みも使った、新アレンジの「SUPER "FOLK-ROCK" SONG」。今回のセットリストで、最も新工夫が凝らされた曲だろう。ご本人達は「The Byrdsっぽい」とのご発言(その割には、The Byrdsのメンバーの名前、Roger McGuinnと、David Crosbyの二人しか思い出せず)。
山下達郎氏の曲を、明日、達郎氏のツアー最終日を熊本で迎えるという佐橋氏と一緒に演るという「Paper Doll」。間奏の盛り上がりが刺激的だが、この部分は、ツアー中にさらに「化ける」のではないかという予感がする。楽しみだ。
ここから、ド鉄板曲 3連発。その中では、昨年は演っていなかった「GREENFIELDS」が特に印象深い。
アンコール1曲目は、Seiho氏と二人で「ト・キ・メ・キ」。そして、バンドで「ラーメンたべたい」で全編終了。
「今年は新譜が出ていないので、皆さんの気持ちを考えて選曲した」という矢野さん。デビュー80年目にして辿り着いた境地だということだが、確かに、選曲もアレンジも、実に鉄板構成という感じだ。だが、個人的には、もっと矢野さんのエゴを発揮してくれても良かった、というか、尖った曲・フックのある曲も交えてもらいたかった(昨年で言うと、「津軽海峡・冬景色」のような)という気もする。バンド・サウンドのクオリティの高さは言うまでもなく、どの曲も、見事な演奏だったが、ツアーが進むにつれ、さらに化学反応が進行することに期待だ。
* は、小田和正氏が参加
ツアー千秋楽。これまでと同様、舞台上、向かって左に置かれたピアノは C. BECHSTEIN。さらにKORGのKRONOSもセットされ、その隣がベース、続いてドラムス、右端がギターという配置。
一曲目「電話線」。どの楽器も、実に気持ち良いハマり具合なのだが、何よりも、矢野さんの喉の調子が、三郷の時から見違えるように素晴らしい。続く「東京は夜の7時」では、引き締まったバンド・サウンドだけでなく、佐橋さんと小原さんのコーラスも見事に決まっていて、さすが、ツアーを通して熟成を重ねてきた、という印象だ。「Welcome to Jupiter」では、歌詞の「水素」のところを、”hydrogen”で歌うという、私が大好きな痺れるパターン。やはり、矢野さんの声が、今日は絶好調だと感じる。
ここから糸井氏との共作が4曲続く(狙ったわけでは無く、偶然)。「クリームシチュー」は、佐橋氏のアコースティック・ギターと矢野さんのエレピ・サウンドの絡みが美しい。矢野・糸井コンビによる新曲「愛を告げる小鳥」は、終盤のオルガンからピアノへ、矢野さんがキーボードを弾き倒す感じが、三郷の時以上に盛り上がっている印象だ。「春咲小紅」は、シンセのピコピコサウンド無しでも、YMOアレンジのオリジナルを想起させつつ盛り上げるという、このバンドのテクニックが詰まった演奏だ。
そして、第一部ラストは、「すばらしい日々」。本当に沁みるアレンジだ。
20分の休憩後、まずは、松崎ナオさん「川べりの家」。NHKの「ドキュメント72時間」のテーマとして印象的な曲で、昨年のさとがえる三郷公演では、松崎さんとのデュエットで披露したものだ。それを、今年は、先週の三郷と同様、弾き語りで披露。敢えてサビのエモーショナルな盛り上がりをずらしながら、歌詞のエッセンスを際立たせる、矢野さんらしいアレンジだ。
そして、場内の大拍手に迎えられて、ゲストの小田和正氏登場。矢野さんも、本当に嬉しそうである。昔話に一花咲かせた後、二人の共演時の定番「中央線」。それまで、ボソボソした喋り方の小田さんだったが(正直、お歳を召したな、と感じてしまった)、歌い始めた瞬間、全く衰えない美しいハイトーンの歌声で、一気に世界を構築し、矢野さんとのハーモーニーで会場を包み込んでしまう。流石だ。お二人でもう1曲、Carole Kingの名曲「You've Got a Friend」。
小田氏退場。代わりに、舞台中央にセットされたマイクで、矢野さんはスタンディングでの歌唱。その手元にはキーボードが置かれているのだが、鍵盤が客席の方に向いている。この配置によって、立ったまま、手首が自然な角度で演奏できるという工夫。ニューヨークの若手オルタナ・ミュージシャンの真似ということだ。そのスタイルに、佐橋氏のアコースティック・ギターと小原礼氏のパーカッションを組み合わせた「David」。さらに、そのセッティングで、もう1曲。打ち込みも使った、新アレンジの「SUPER "FOLK-ROCK" SONG」。この2曲は、オリジナルのアレンジから大きく変えてきたパフォーマンスだ。特に、「SUPER "FOLK-ROCK" SONG」での矢野さんは、会場を巻き込んで、ノリノリ。
定位置に戻っての「Paper Doll」。三郷の時に、「間奏の盛り上がりが刺激的だが、この部分は、ツアー中にさらに「化ける」のではないかという予感がする」と書いたが、まさに、その通りになった。間奏中にどんどん熱量が高まるプレイは、実にスリリング。
ここから、「GREENFIELDS」と「ひとつだけ」の鉄板曲の連打。これで、本編終了。
本編の演奏曲は、三郷の時から1曲少ないと思っていたら、アンコール1曲目、期待していた小田氏は登場せず、代わりに「ごはんができたよ」。そして、「ラーメンたべたい」の炭水化物メドレーで全編終了。アンコールの2曲とも、とても活きの良い演奏という感じだった。なお、小田氏は、最後のご挨拶には登場。これで、今年のさとがえる、全て終了である。それにしても、やはり千秋楽。気合いの入った素晴らしい演奏だったと思う。同時に、NHKホールの音響と客層の良さも再認識した。
今回のさとがえるは、(「David」と「SUPER FOLK SONG」などの新機軸もあったが)、昨年同様、気心の知れたミュージシャンと共に、代表曲を正攻法のアレンジで聴かせるという趣向だったと思う。その趣向は、2年目で、かつ、今年は新譜が無かったという事で、さらに突き詰められた感じだ。分かりやすいとも言えるが、この人達が、安易な方向に流れる訳は無く、実は一周回った高度なアレンジと演奏というのがミソ。だからこそ、これらの曲を昔から散々聴いてきたファンをも唸らせるライヴになったのだと感じる。しかも、その一方で、ツアー中に、上妻宏光氏とのユニットという新展開も発表。停滞感と無縁に進み続ける姿勢に、改めて感服するのである。