形態 | 地区 | 公演日 | 開演 | 会場 |
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ピアノ弾き語り公演 | 長野 | 12月5日(水) | 19:00 | 軽井沢大賀ホール |
愛知 | 12月12日(水) | 19:00 | しらかわホール | |
矢野顕子ソロ+yanokami ジョイント公演 | 大阪 | 12月14日(金) | 19:00 | NHK大阪ホール |
東京 | 12月15日(土) | 18:00 | NHKホール |
素人目にはステージ上で何をどう操作しているのか良く分かりませんが、本人曰く、打ち込みに打ち込んでいるそうです。以前は天然の面白さだった矢野さんとの噛み合わない会話も、今や、ウケを計算できる芸の域に達したような気がします。
予想以上に寒い軽井沢。ホールは駅から歩いて10分もかからない所にあるが、周囲は寂しく、早めに着いたため、開場までに凍えてしまう。中にはいると、平行な壁面を持たない五角形の建物に、木材を多用した内装。キャパ800人程度の会場にしては奥行きが狭く、ステージを取り囲むように座席が配置されていて、見るからに音響が良さそうだ。ステージ上のPAスピーカーは、BOSEの縦に細長いスピーカーとスーパーウーハーの組み合わせで、あまり見たことのないタイプだ。後ろの方は、残念ながら空席が目立つ。
物販の方は、種類は多いのだが、糸井画伯のさとがえるグッズがなくなってしまったのが悲しい。また、福袋二種も、中に入っている物が、品質に妥協のない原価の高い物だとはいえ、ちょっと高い。
19時。演奏が始まる。ピアノの音色の豊かさは想像以上だ。繊細なニュアンスが全く損なわれず会場全体に響いている感じ。一方、ヴォーカルは、ややスピーカーの間隔が広すぎたような気がする。矢野さんがセンターにいるのに、声が違うところから聞こえてくるような感覚がある。もちろん、座席の関係もあるので(私の席は前方中央だった)、他の場所では聞こえ方が違ったのかもしれないが。また、曲が終わった後の拍手の響きも、普通の会場とは全く違う。本当に良いホールだと実感。
前半は、比較的懐かしい曲が多い。新たなELLEGARDENのカバー曲辺りから熱が入ってきて、「ほうろう」での力強く足で刻むリズム、そこからシームレスでつながる「Paper Doll」が中盤の山という感じ。
そして、ホールの響きの良さがもっとも効果的だと感じたのが、「青い空」と「Rose Garden」。どちらも、これまでのライヴでは力強いピアノ演奏が印象的だったが、このホールで聴くと、繊細さも失われずに届くため、ダイナミック・レンジの広い、力強さ以上の豊かさが感じられる。
アンコールでは、衣装だけでなく髪型も変えての登場。アンコール定番とも言える二曲で終了。
とにかくホールの響きの良さと、それによって今まで聴いたことのある曲でも印象が変わることを楽しめた公演だったが、舞台上の矢野さんも、やはりホールの響きが心地よかったのだろう。MCの間、ポロポロとピアノを鳴らすのは良くあるが、今回は、ずーーっと、鳴らしっぱなしだった。
なお、来夏発売予定の新アルバムは、日本語版と英語版が同時製作されているそうだ(それぞれ、エンジニアも、日本人と米国人が担当しているらしい)。こちらも楽しみ。
舞台に向かって左側に矢野さんの電子ピアノ。右にハラカミ氏の機材がセットされただけのシンプルなステージ。まず、ハラカミ氏が登場し、一人でyanokamintro(映像付き)。続いて、矢野さんが登場し二人の演奏が始まった。矢野さんの衣装は、軽井沢の時と同じように見える。
来年、英語版が発売されると言うことで、英語で歌われる曲が多い。今やyanokami名物となった噛み合わない会話をはさみつつ、新曲も交え、演奏が続く。野外やライヴハウスではなく、これだけ大きいホールで聴くと、チャーミングな音色が持つ魅力が削がれるところもあるが、演奏のスケール感は大きくなったような印象がある。また、ホールならではの照明効果も良い感じだ。「You Showed Me」の後半の印象的なピアノ演奏など、ライヴならではの勢いがあり、あれだけ電子音を多用しながら、CDとは違うライヴ感溢れる演奏が出来るのが、二人の凄さだと改めて実感。「ばらの花」はスタンディングで歌い、最後にピアニカ演奏。スタンディングのまま「気球にのって」で、『前座』のyanokamiの部が終了。オペラカーテンが閉じられ、20分の休憩。
第二部。オペラカーテンの向こうからピアノの音が鳴り始める。カーテンが開くと、衣装替えした矢野さんがすでに演奏を始めているという趣向。楽器はもちろん、グランドピアノに取り替えられている。この時の衣装・髪型は、軽井沢でのアンコールの時と同じようだ。
小ホールでの繊細な演奏とは一転、大ホールらしい、力強い演奏が響く。また、今回のPA、特にヴォーカルの響き方は、これまでのNHKホールでのさとがえるのなかでも、一番良いように感じた。
そして、この日の山場は「すばらしい日々」からの怒濤の4曲。「すばらしい日々」での名演奏、「Prayer」の歌唱、本当にすばらしい出来だ。そして、まさかの「いもむしごろごろ」。跳ね回るリズムのなんと心地よいことか。さらに、その勢いそのまま最後の「ROSE GARDEN」に突入。最終日の演奏は、やはり特別だ。
アンコールでは、またもや衣装&髪型チェンジ。納得の二曲を演奏。その後、一旦、退場したが、あわててハラカミ氏を連れてきて、もう一度拍手に応え、今年のさとがえる、すべて終了である。
今年は、全部で4公演しか無く、一方、同時期に「矢野顕子リサイタル」と銘打たれたソロコンサートが開かれ、「さとがえる」のアイデンティティが揺らいだようで寂しい気がしていた。また、糸井画伯グッズが無くなったのも、そういう感じを強めてしまう。しかし、当たり前だが、演奏が始まってしまえばコンサートのタイトルなんか問題ではない。そして、NHKホールでは、ツアー最終日らしいテンションの高い演奏を聴くことができた。
来年は、期待の新アルバムもリリースされることだし、どんなさとがえるになるか、気が早いけど、今から楽しみだ。
あさひさん、鯉吉さん、ありがとうございました。