6日間12公演のうち、後半の3日間6公演を観ることができました。
行けなかった前半3日間についても、分かる範囲でセットリストを掲載していますが、まだ一部、不明なところがあります。追加情報等あれば、送って頂けると助かります。
矢野顕子グループ | |
2003年8月17日(日) | 18:30 - / 21:00 - |
2003年8月18日(月) | 19:00 - / 21:30 - |
2003年8月19日(火) | 19:00 - / 21:30 - |
2003年8月21日(木) | 19:00 - / 21:30 - |
2003年8月22日(金) | 19:00 - / 21:30 - |
2003年8月23日(土) | 19:00 - / 21:30 - |
いつものように、心から音楽を愛し、メンバーを愛していることが、演奏中の表情から伝わってきます。趣味は短波ラジオ。現在の心配事は、太陽の黒点活動だそうです。
いつものように、ドラムのほかに、ループなど打ち込み系も担当。狭い会場でもパワフルなドラムは、いつも通り、いや、いつも以上。矢野さんからは、実は、このトリオの影のリーダーとの紹介が…
いつものように、このトリオでの演奏は本当に楽しそうです。グランドピアノと、YAMAHAのMOTIF7を使用。布団圧縮袋のことが気になって仕方ないみたいです。(あたらすぃー、シーディーとDVDをセットで買った人に、プレゼントされるかも?←曲間のMCを聞いた人にしか分からないネタ)
火曜日の1st Showにゲスト出演され、「Money Song」と「Happiest Drummer」の演奏に参加されたそうです。
1st Show: 不明
2nd Show アンコール私にとって、初ブルーノート。整理番号10番で、席は後方のソファ席を選択。後で他の席も試した結論としては、ステージ全体が俯瞰でき、音のバランスも良いソファ席こそが狙い目だろう。もちろん、座り心地もテーブル席より遥かに良好。
開演前にCliff氏がドラムセットのところで何か調整し、そのままリュックを背負ったラフな格好で客席を通るが、さすが「大人」の観客が多いブルーノート、誰も矯声を上げたりはしない。
ご当地ソングにして、オンタイムな選曲「東京は夜の7時」の力強いイントロでいよいよ開演。「NEW SONG」でAnthony氏が素晴らしいパフォーマンスを見せれば、負けじと、Cliff氏が、超絶ソロを挟み青森と沖縄を往復する「津軽ツアー / Jin Jin」。さらに終盤の三人の絡みが激しく熱い「トランスワールド」と、メンバーの個性の際立ちと、まとまりの良さが両立した演奏が続く。
そして、1st Showでの圧巻は、アンコールの「ちいさい秋みつけた」。ピアノアレンジにも新しい工夫がされているように感じたし、とにかくノリが凄い。クアトロでの盛り上がった演奏にも匹敵する熱演だった。
2nd Showは整理番号7番。 ピアノ正面のテーブル席にちょうど一人分の空きがあったので、二列目の矢野さんにきわめて近い場所を確保。Anthony氏の表情が見えず、また音のバランスも良くはないが、マイクを通さない矢野さんの独り言も聞える、これはこれで楽しい席だ。
最初に二曲、1st Showと同じ選曲だが、いきなり全開という感じ。しかし、三曲目の前、Cliff氏が操作するラップトップ・コンピューター(ループ用らしい)にトラブル発生。矢野さんのMCでつないでいる間に直そうとするが、なかなかうまく行かないようで、結局、予定変更して「David」。この後で、ラップトップは復旧し、事無きを得た。素のCliff氏の表情が垣間見えて、ハプニングもまた、楽し。
2nd Showでは、特に「NEW SONG」での、Anthony氏のソロの後の、矢野さんのスキャットと、繊細なピアノ。静かにサポートするCliff氏が印象的。ここに三人のミュージシャンの信頼関係の結晶を見る思いだ。本編ラストの「Happiest Drummer」では、 コンピューター・トラブルの挽回とばかり、Cliff氏のドラムが切れまくっていたと感じた。
1st Showは、整理番号4番。昨日、目を付けていた、やや左寄りのソファ席。総合的に考えてベストと思われる席の確保に成功。力強く、かつ、全体的に安定した良い演奏だなあ、としみじみ。
2nd Showは、整理番号2番。こうなると、音のバランスやAnthony氏の表情が見えないことなどを切り捨て、最前列ピアノ正面の席にダッシュ。
冒頭のおなじみの二曲は、疲れのせいか、1st Showに比べると、ちょっと矢野さんに元気が無いような気がした。しかし、逆に、2ndでさらにエンジンがかかってきたように見えるCliff氏が、ぐいぐいと引っ張っていくようで(特に、「ほんとだね。」でのプレイは圧巻)、矢野さんの調子もすぐに絶好調へ。特に、「GREENFIELDS」は、歌詞の力がまっすぐに伝わってくる素晴らしい歌唱だった。
1st Showの整理番号は18番。昨日より、さらに左寄りのソファ席。
いよいよ最終日。矢野さんも緊張したのか、登場後、いきなり忘れ物に気が付き、スタッフに取りに行ってもらっている。MCも全体に少なめで、なんとなく硬いような気がする。
そして、本編ラストのはずの「在広東少年」。 曲の後半、矢野さんのピアノがいつもとちょっと違うな、と思っていたら、終わった瞬間
「ごめん、まちがえちゃった!」
と矢野さんが叫ぶ。すごく悔しそうに、もう一度演奏しないかとメンバーと相談を始める。
最初は追加演奏に乗り気なようには見えなったメンバーだが、あまりにも無念そうな矢野さんがついに押し切り、急遽「ちいさい秋みつけた」を演奏。 これが、完成度という点では、一昨日に聴いた演奏には及ばないと感じたものの、開き直ったかのような勢いのあるプレイで、すばらしいおまけになった。
その余波で、アンコールでの矢野さんのソロは無し。
2nd Showは、整理番号35番。左サイド、一段高くなったところのテーブル席を選択。
さすがに、最終公演。出だしから力が入っている。特に「NEW SONG」と「ほんとだね。」の出来は出色。
やはり、矢野さんは少々緊張気味なのか、「GREENFIELDS」では歌詞を忘れ、、会場からの助け舟に「持つべきは良いファン」とのご発言。これでリラックスされたのか、続く「トランスワールド」が本当に素晴らしい。
会場の盛り上がりも熱く、まさに大団円という感じで終了。
自分が聴いた中での圧巻は、木曜日1st Showの、「ちいさい秋みつけた」、土曜日2nd Showの、「NEW SONG」「ほんとだね。」「トランスワールド」といったところか。お馴染みトリオの演奏は、これまでのライヴと大きく違うということはないが、それぞれ、新しい工夫をそこかしこに凝らしていて、本当に進化しつづけるバンドだと感心した。ぐんぐん演奏が加速し白熱しながらも、ぴったりと三人の息が合っているのが伝わってくる瞬間の高揚感は、他では味わえない。まさに至福のライヴ体験だ。
キャパ300人程度という会場は、プレイヤーの熱気が直に伝わるという点で、ホールコンサートよりはるかに楽しいと思う。観客との距離が近く、ごまかしが利かないというということはあるだろうが、この凄腕トリオにそんな心配が無用なのは言うまでもなく、本当に質の高い公演だったと思う。
一日2公演のため、一回当りの演奏曲数が少ないという不満はある。さらに、曲によってはクアトロのようなスタンディングで聴きたいという欲求も起こる。しかし、落ち着いた雰囲気で、食事も楽しみつつ、熱い演奏に身を浸せるブルーノート東京という空間は、唯一無二のものだとも思う。一般の「ライヴハウス」を基準にしてハコの優劣を論ずるのは違うだろう。
矢野顕子グループには、大ホールでのコンサートやスタンディングのギグを今後も続けてもらいたいと切に願うが、同時にブルーノート東京での演奏も、是非、定例化されることを期待する。
横溝さん、よねさん、ベルガさん、ありがとうございました。
Blue Note Tokyoのサイトを参照させて頂きました。