地区 | 公演日 | 開演 | 会場 |
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群馬 | 11月27日(水) | 19:00 | 群馬音楽センター |
福岡 | 11月29日(金) | 19:00 | メルパルクホール福岡 |
大阪 | 12月1日(日) | 18:00 | フェスティバルホール |
広島 | 12月2日(月) | 19:00 | 広島クラブクアトロ |
滋賀 | 12月3日(火) | 19:00 | 大津市民会館 |
宮城 | 12月5日(木) | 19:00 | イズミティ 21 |
愛知 | 12月7日(土) | 18:00 | 愛知厚生年金会館 |
北海道 | 12月9日(月) | 19:00 | Zepp Sapporo |
東京 | 12月11日(水) | 20:00 | 渋谷CLUB QUATTRO |
12月14日(土) | 18:00 | NHKホール | |
12月15日(日) | 15:00 |
舞台上の位置は控えめながら、例によっての滋味あふれるプレイでしっかりバンドの音を支えていました。6弦のcontrabass-guitarから繰り出す重低音は、会場を揺さぶり、天井裏の埃も落とす。大津では前日の演歌ショーの残りの花吹雪が降ってきたらしい。
「You Are What You Eat」ではギターも披露。さらに今年は、ヴォーカル以外のパートを全て自分で演奏し多重録音したという自主制作ミニ・アルバムを引っさげての来日。
数多くのセッションで、またギター・デュオ「山弦」として、その確かなテクニックで多くのファンを持つギタリストが、さとがえる初参加。「山弦」を自らギター漫談と称するだけに、喋りでも矢野さんと愉快な掛け合いを披露。心斎橋コム・デ・ギャルソンでの買い物話は(特に関西人には)爆笑もの。
今年はオルガンは無しで、グランド・ピアノの他、エレピとシンセサイザー。曲目によっては舞台中央で、去年よりさらに板に付いた感じのヴィブラホン演奏。さらにはNHKホールの「くまんばちがとんできた」ではノリノリの振り付けも披露。
12月14日と15日のNHKホールにゲスト出演。「くまんばちがとんできた」を。母娘で踊って歌唱。
12月15日のNHKホールにゲスト出演。「くまんばちがとんできた」と「Money Song」でギターをゲスト・プレイ。ギターデュオ「山弦」を佐橋さんと結成されています。矢野さんとは、Beautiful Songs 2002でも顔合わせしていました。
今回は、NHKホール 2daysを観に行くことができた。本当は、あの演奏曲目なら、是非、スタンディングで聴きたいと思っていたのだが、残念ながらクアトロはスケジュールが合わず。
さて、12月14日の公演は、予想していた以上にノリの良い演奏だった。TV中継が入ったときの常として、MCが硬くなったり歌詞が飛んだり(スケジュール通りの進行を意識せざるを得ないなど、余計な神経を遣うからだろうか)はあったものの、演奏の出来は素晴らしく、ゲストで登場した美雨さんも嬉しいサプライズだった。実に良いライヴだったと満足していた。
しかし、15日、最初の「東京は夜の7時」でいきなりぶっとんだ。矢野さんのヴォーカルも、バックの演奏も、14日とは桁違いの充実振り、気合の入り方だと感じたのだ。もう、凄すぎる。
これまでにも、Carol Steele氏やWayne Johnson氏がさとがえるに参加したことがあったが、どちらかというと、さとがえるトリオへのゲスト出演という感じだったと思う。放っておくと、どんどん先鋭的な方向に突き進んでしまう三人に対する、Change of Paceを狙った人選という印象だった。(この"尖りぶり"の到達点だと思っているのが、97年のパルテノン多摩と、同年のクアトロのギグである。)
しかし、今回の佐橋氏は、ゲストというより、新しい四人編成のバンドの一員という感じがする。彼が繰り出す、ちょっとウェットな、泣きのロック・ギターという感じのサウンドは、これまでに無かった要素だろう。尖っているのに、とっつきやすい。高度な音楽性と同時に、高いエンターテインメント性でも魅せる。そして、とにかく楽しい。これまで築いてきたさとがえるトリオの音を一旦リセットした、新しいさとがえるサウンドの誕生と言っても良いのではないだろうか。
一曲目「東京は夜の7時」は、まさに新しいバンドとしてのサウンドを見せつける好演。そして、佐橋氏のギターが効果的な「GREENFIELDS」。バンドでも、弾き語りでも、涙を誘う名曲ではあるが、今回の演奏は秀逸だった。 また、「自転車でおいで」での佐橋氏のヴォーカルは、佐野元春氏のような本職の歌い手とはまた違う、味わいのある歌声で印象的だ。
15日の前半の白眉は、やはり「青い山脈」における、Anthony氏のソロだろう。正直言うと、彼のソロは、たまには眠くなることもあるのだが、この日の演奏は別格。静かだが、ぐんぐん引き込まれる。矢野さんが後から繰り返し絶賛したほどの名演だった。そして、ベースソロから徐々にピアノが絡み始める部分の美しさは本当に素敵だ。
矢野さんのソロ・コーナーでは、「BAKABON」の演奏の後に、「バカ田大学校歌」の一節も披露したのも、この日の矢野さんのノリっぷりの一端を示すものだろう。
後半、「ほんとだね。」でのCliff氏のドラムの切れも、「Let's Hawai'i」の楽しさも、14日の演奏からさらにスケール・アップした充実振りだと感じた。そして、「くまんばちがとんできた」。ゲストに、山弦で佐橋氏とデュオを組む小倉氏が登場。意外な展開に会場は大興奮。さらに、昨日に続いて美雨さんも登場。前日のステージでは、嬉しい驚きではあったものの、矢野さんと並ぶと美雨さんのステージングには経験不足さが感じられ、パフォーマンスとしての出来には不満もあった。美雨さん抜きの、矢野さん演奏バージョンのくまんばちも聴いてみたいと贅沢なことも思った。しかし、この日の演奏は、とにかく楽しい楽しい。小倉氏は、全くのゲスト出演のため(譜面台を置いての演奏だった)、ギターの聴かせどころは、それほど目立つものではなかったが、実に楽しそうな演奏で盛り上げてくれる。相棒の登場にリラックスした笑顔を見せる佐橋氏。歌唱も踊りも昨日よりずっと好調な美雨さん。楽しい仲間に囲まれて、ノリノリの矢野さん。実に明るいステージとなった。
美雨さんが名残惜しそうにステージを去った後も、小倉氏は、もう一曲「Money Song」に参加。
そして、今回のさとがえるのクライマックス「げんこつやまのおにぎりさま」。もう、言うこと無し。この日は、佐橋氏のまん前の席だったのだが、間奏中、Cliff氏とアイコンタクトを交わしながら、どんどんエスカレートしヒートアップしていく二人の演奏。それを暖かく見守るAnthony氏。本当に楽しそうに笑っている矢野さん。過去、さとがえるで緊張感みなぎる演奏は数々あったが、テンション高いプレイと、それを心から楽しんでいるような笑顔、この二つが共存したこの瞬間に、今年のさとがえるの全てが集約されていたように思う。
アンコール終演後、ゲストの小倉氏も美雨さんも出てきてのご挨拶。会場からは惜しみないスタンディング・オベイション。間違いなく、伝説として残りうる、すごいライヴに立ち会えた幸福をしみじみ噛みしめた。
たけうちさん、ゆかしさん、森村さん、あびさん、さわださん、千春さん、nさん、此木田さん、ありがとうございました。