二公演とも行くことができました。
誤りのご指摘や追加情報等あれば、送っていただけると助かります。
公演日 | 会場 |
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12月18日(木) | 鎌倉芸術館 小ホール |
12月21日(土) | 杜のホールはしもと |
今年で18回目になるという、年末恒例、鎌倉芸術館でのライヴ。開演前の客入れの音楽は Jonatha Brooke。ピアノは、当然、鎌倉芸術館が誇るSTEINWAY。
1曲目、MoMA(The Museum of Modern Art, New York)の永久保存作品に加えられている映画 「ホーホケキョ となりの山田くん」の主題歌。そして、細野さんの名曲と、渋くて嬉しい選曲でスタート。やはり、このホールの響きは独特だ。先日の八ヶ岳高原音楽堂のSTEINWAYの響きとは、また違うニュアンスの美しさだと思う。
3曲目は、今日、来場しているらしいお孫さんに向けて、久しぶりに演奏する曲を楽しく演奏。続く「また会おね」が、見事なパフォーマンスで感涙。
八ヶ岳でも演った、糸井重里氏作詞の「春咲小紅」と「SUPER FOLK SONG RETURNED」を続けるという、マニアックな企画。さらに、かしぶち哲郎さんの命日が近かったということで「リラのホテル」と、ツボを突いてくる選曲が続く。
最近、初孫が生まれたという糸井氏と作った新作も披露。また、インストゥルメンタル版「優しいあの子」は、演奏を重ねてきて、ジャズ・アレンジに一層の磨きが掛かったという印象だ。
「いい日旅立ち」の後半、グッと盛り上がったピアノと歌唱になったのだが、プレイが激しさを増しても、あくまでも上品に音を響かせるという、このホールの特長が良く出ていたと思う。
本編ラストは「ひとつだけ」。そして、アンコールでは、急に弾きたくなったということで、「朧月夜」。とても、エモーショナルな演奏だ。そして、最後は締めの「ラーメン」。これも、鎌倉芸術館ならではの、通好みの味わいのラーメンに仕上がっている。
ということで、この会場でのライヴは、やはり、一味違うと実感。ホール自体の美しい響きと素晴らしいピアノ、そして、これを年末の楽しみに集まるお客様達(あと、鳩サブレも付け加えるべきか)の相乗効果が、矢野さんに好影響を与えているのだろう。他会場とは一線を画す(マニアック寄りの)選曲を、リラックスした雰囲気も漂わせつつの熱量の高い演奏で披露するという、鎌倉芸術館ならではのパフォーマンスを堪能することが出来た。
2019年最後の矢野さん名義のライヴは、2016年以来の杜のホールはしもと。キャパ 535席の、小振りながら綺麗なホールだ。開演前の客入れの音楽は Jonatha Brooke。ピアノはSTEINWAY。
鎌倉と同じく、「ひとりぼっちはやめた」で演奏開始。このホールの響きも、とても良い感じだ。今年最後のソロ公演三発(八ヶ岳高原音楽堂・鎌倉芸術館、そして、杜のホールはしもと)は、それぞれ、個性が有る響きを持った会場で、聴き応えがある。
2曲目は、途中で歌詞が飛んだのだが(今日は、そのような場面が何度か有った)、その分、後半の演奏が熱くなった感じもある。
最初のMCは、橋本ということで、リニア新幹線の話題から。その流れで、科学技術の曲「When We're in Space」。演奏後、ボーイングの新型宇宙船が軌道投入に失敗したという話しをしてから、歌詞にロケットが出てくる「バナナが好き」。そして、今度は、歌詞に出てくる自転車繋がりか「自転車でおいで」と続く。
「春咲小紅」と「SUPER FOLK SONG RETURNED」を続けるという趣向は、定番化したようだ。
今回も名演だった「また会おね」の後、現代の音楽産業におけるマーチャンダイズの重要性を語る矢野さん(要するに、ラーメン丼などの物販紹介)。そして、ますますアレンジが進化している「なつぞら」主題歌へと、演奏は続く。
「ここに来て、どんどんピアノが鳴るようになってきている」という矢野さん。「Home Girl Journey」仕様の「在広東少年」を熱演し、本編ラストは「ごはんができたよ」。アンコールは、「ラーメン」と「ひとつだけ」。これで、今年のソロ公演は完結である。
今日のセットリストは、鎌倉よりも、やや、分かり易い方向に振った感じだ。前回の橋本公演でも感じた、東京近郊での公演にありがちな、取っつきやすさと通好みのバランスが取れた構成だったと思う。また、弾き応えのあるピアノを前にした時の矢野さんが、ピアノとの対話を通して、どんどん演奏を盛り上げていくという展開も嬉しかった。2019年の締めくくりにふさわしいライヴだった。