大都市で無いところで、矢野さんの音楽をまだ聴いたことが無い方々に聴いてもらいたいという思いで、ツアーが開催されました。図々しくも、岡山に出かけてきました。
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14年ぶりぐらいだという、岡山でのコンサート。今回の会場は、2001年3月31日に閉校となった、岡山市立内山小学校の体育館。岡山城や後楽園のすぐ近くに位置し、現在でも、地域の文化活動等に活用されているらしい。観客は、上履き持参、矢野さんの控え室は「音楽室」だったそうだ。残念ながら、ハイドンやベートーベンの肖像画は無かったらしいが。
座席は、小学校の備品だったと思われるパイプ椅子。そのためか、やや小さめ。私は整理番号に恵まれたおかげで、通路に面した席を確保できたが、真ん中辺りだと、かなり窮屈だったんじゃ無いかな? 一般のホールみたいに、観客席に傾斜が無いので、後ろの方は見づらかっただろうし。岡山市内には、もっと適切なホールが有ったような気もする。まあ、独特の雰囲気は、とても面白かったが。
一曲目「電話線」。「飛ばしていくよ」収録バージョンでは無く、オリジナルに近いアレンジ(個人的には、最近の演奏では、「耳へ」のとこの"タメ"が弱いのが残念なのだが)。このアレンジと、会場の雰囲気から、今日は「出前」パターンだなと思う。メジャーめの選曲と、分かりやすいアレンジ。5月2日・3日の「飛ばしていくよ」ピアノ弾き語り レコーディング・ライブが、かなり実験的に攻めてきた(特に一日目)印象だったのに対し、今日は、耳に馴染んだタイプのアレンジでリラックス。
矢野さんのMCもリラックス気味。「誇り高く生きよう」の演奏後には、先日のNHKドラマの話から、初期のRCサクセションの「2時間35分」を、一フレーズ歌ってみたり。最終曲の前には、甜茶飴を溶かしたステージ・ドリンクの紹介を、即興の歌で披露したり。
「リラックマのわたし」は『だららだららら』のところを、会場とご一緒に、のパターン。矢野さんの予想以上に会場のレベルが高かったとのこと。矢野さんも立ち上がって指揮をする盛り上がり。
そんな中、「変わるし」は、かなり捻ったアレンジで演奏。しかし、意外なことに、ここで会場から手拍子が。今日のアレンジでは難しいと思ったのだけどなあ。続く「ごはんができたよ」でも鳴り響く手拍子。ただ、これは、中盤の静かな曲調の所でフェード・アウト。こういうところも「出前っぽい」という感じかな。
続く「YES-YES-YES」は、(勘ぐりすぎだとは思うけど)手拍子をブロックするかのような凝ったピアノ・プレイ。これが、滅茶苦茶カッコ良い。さらに本編ラストの「飛ばしていくよ」も、そのままの勢いで飛ばしまくり。先日の渋谷での実験的アレンジとは違う正調派の飛ばし方。堪能しました。
鉄板曲二曲のアンコールで終演。曲数も多く、演奏・歌唱も充実。久々の出前っぽい雰囲気も楽しく、遠出した甲斐のある公演だった。
長久手市は、名古屋市の隣。会場へは、名古屋市営地下鉄 東山線の終点「藤が丘駅」から、磁気浮上式鉄道「リニモ」に乗って一駅の「はなみずき通駅」で下車。そこから徒歩7分。「文化の家」は、大・中・小、三つのホールの他に、展示室や音楽室、舞踏室や会議室も備わった、かなり立派な総合文化施設で、その中で一番大きな「森のホール」が今回の会場。819席の客席が、舞台をぐるりと取り囲む馬蹄形に配置されている、おしゃれなホールだ。音の響きも良い感じ。ただ、馬蹄形というレイアウト故か、座席番号の振り方がちょっと独特で、席を探すのに戸惑ってしまった。
本日は、矢野さんの1,500~15,000曲の間ぐらいだと思われるレパートリーから厳選した曲をお届けするという趣向(小椋佳氏が、これまで作った2,000曲の中から選び抜いた楽曲でコンサートを開いた、というニュースに刺激されての発言)。「BAKABON」、「春咲小紅」と、人気曲からスタートしたが、先日の岡山での分かりやすいアレンジとは違い、かなり攻めるピアノ演奏だ。地方での「出前」と言うよりは、大都市名古屋(のすぐ近く)での公演という印象だ。
前半は、あまり声が前に出ず、その分、ピアノ演奏の力強さが目立つ感じだったが、「All The Bones Are White」あたりから、声の力強さもぐぐっと増してきた感じがする。
「リラックマのわたし」は、今回も会場とご一緒にのパターン。『だららだららら』のところを、『だららだらだら』と間違えないようにとの注意付き。作者のコンドウアキさんの拘りだそうです。
本編ラスト、「飛ばしていくよ」は、ピアノよりも歌声を前面に出してきたような演奏で、とても良かった。
アンコール。ご本人の予定は「PRAYER」と「ひとつだけ」だったようだが、Twitterで「GREENFIELDS」のリクエストもあったそうだ。でも、ここまででパワーを消耗してしまったので、「GREENFIELDS」は無理と最初はおっしゃっていたのだが、会場からは熱い拍手が。しばし迷った末、結局「GREENFIELDS」と「ひとつだけ」。「ひとつだけ」は、後半、会場の手拍子を煽り、手拍子だけをバックに歌うという、矢野さんのライヴでは珍しいパターンになった。独特の形状の会場が、観客との一体感を後押ししたのかもしれない。ツアー・ファイナルらしい、楽しい盛り上がりで終了。