京都在住のエレクトロニカ・ミュージックの第一人者。2003年のさとがえるコンサートで「終りの季節」と「David」のアレンジを担当しましたが、その時はテープでの参加でした。クラブでのプレイが多いせいか「明るい場所」には馴れていないそうで、しゃべりなどは、ちょっと照れ気味だったように見えました。
* は、rei harakami氏と共演した曲。
* は、rei harakami氏と共演した曲。
舞台中央にピアノ。向かって右側に、後でハラカミ氏が使用する機材が置いてある。その他、ずいぶん沢山の照明装置と、TVカメラも舞台上にある。今日の演奏は、10月頃、朝日放送でオンエアされるらしい。そう言えば、開演前に観客へのインタビューも収録されていた。私の席は二階の左端。舞台の真横に当たり、ちょうどピアノを真後ろから見下ろす位置だった。表情は見えないが、手の動きがよく分かる、これはこれで興味深い視界である。音響的には、主にクラシックが演奏されるホールなので、響きが豊かだ。ただ、私の席で聴いている限りでは、ちょっと、ヴォーカルにかかるエコーが響き過ぎのようにも感じた。
4曲目ぐらいまでは、次の曲を選ぶのにいつも以上に時間がかかっているように見受けられたが、「すばらしい日々」辺りから、エンジン全開という感じの演奏になってきた。
9曲目でハラカミ氏登場。万華鏡のような美しい照明がホール中に溢れる中、エレクトロ・サウンドが響く。このホールだと、舞台後方のパイプ・オルガンの金属管に反射して、照明がさらに美しく感じられる。楽器を弾く肉体の存在感が圧倒的なさとがえるトリオとは対極にあるような実験的なサウンドだが、柔軟に対応する矢野さんはさすがである。インストゥルメンタルの後「気球にのって」。矢野さん曰く、ピアノ・ソロでは盛り上がらず、バンドではアドリブが効かないので、なかなか演る機会が無かった曲だそうだ。ここで、ハラカミ氏の紹介とトーク。使用しているハードディスク・レコーダーの説明をしながらのハラカミ氏のジョークが、ことごとく滑っていたのが印象的である。そして、さらに三曲共演。素人目には、どういう操作をしているのか良く分からないが、1台の機械から複雑な音色を紡ぎ出すハラ力ミ氏と、それに完璧にタイミングを合わせる矢野さん。お二人とも見事な演奏力だ。
ハラカミ氏退場後、「あたしンち」で本編終了。アンコールはソロで1曲。さらにハラカミ氏と1曲。今の私の一番のお気に入り曲「Night Train Home」がハラカミ・バージョンになったのは、嬉しい驚きだ。
ここでお二人は退場し、客電がついたものの、鳴り止まぬ拍手に、再アンコール。先日はオーケストラ・バージョンで聴いた「ひとつだけ」を、今度はピアノ・ソロで堪能。
ブルーノート東京でのトリオ演奏、オーケストラとの共演、そして今回のハラカミ氏との共演と、全くタイプの異なるスタイルでの演奏を立て続けに行われた訳で、出前こそ無かったものの、精カ的な夏の来日だったと言えるだろう。さらに、NYでの公演なども考え合わせると、2004年の矢野さんは非常に充実した活動をされているようだ。それだけに、もうすぐ発売になる新アルバムにも、とても期待してしまう。
左高さん、ありがとうございました。