第5回いづみまつり 矢野顕子 出前コンサート2014


button 木津川市加茂文化センター あじさいホール - 12月21日(日)-

buttonセットリスト

  1. ひとりぼっちはやめた
  2. ごはんとおかず
  3. GLORY DAYS
  4. いいこ いいこ
  5. ただいまの歌
  6. クリームシチュー
  7. 海のものでも、山のものでも
  8. セラピー
  9. それだけでうれしい
  10. GREENFIELDS
アンコール
  1. ひとつだけ

buttonレポート

会場は、JR加茂駅から徒歩5分ほど。2007年に木津町・山城町・加茂町の三町が合併して木津川市になる前の加茂町役場に隣接したホールである。入り口近くでは、主催のいづみ福祉会のワーキング・センターお手製の、草木染めの小物や、パン・ラスクなどが売られていたりして、腕章を付けたスタッフが右往左往している様子が、出前らしい。入り口で渡された袋には、パンフレットの他、ペット・ボトルのお茶とのど飴。お茶は、矢野さんのCM絡みでは無く、サントリーの「伊右衛門」。サントリーと協力している株式会社福寿園が地元企業ということで、提供してくださったそうだ。そして、森下仁丹株式会社が提供してくださったのが「梅仁丹120 のど飴」。物販コーナーでは、プロ仕様の「鼻・のど甜茶飴」が販売されていたが、一般に提供するのは、アマチュア仕様ということか?

13時30分から入場開始。前方左側に、来賓席が多めにあるのが、ちょっと異色という感じ。社会福祉法人のイベントなので、行政関係者や福祉施設関係者が多数、招かれているようだ。14時、いづみ福祉会の坂本理事長の挨拶、続いて、来賓を代表して木津川市の河井市長の挨拶、さらに、いづみ福祉会の須河事業部長から「いづみ☆みらいプロジェクト」についての説明。公式イベント的なものが一通りあって、14時40分、公演スタート。

このホールのピアノは、ベーゼンドルファー。2009年の金沢での出前もそうだったが、その独特の柔らかい音色が美しい。一方、矢野さんのヴォーカルは、堅めのPAセッティングだ。選曲の傾向や、丁寧なMC、いつも以上にメリハリの付いたはっきりした歌唱、「ただいまの歌」での場内手拍子など、いかにも「出前仕様」という感じだが、そんな中でも「世の中、恋愛は金になる」との辛口発言(ご自身が取り上げるテーマが、恋愛よりも、食べものや家族のことが多いという流れから)も飛び出したりする。

そして、ちょっと優等生的な感じもしていた演奏が、ぐっとダイナミックになったのが、7曲目「海のものでも、山のものでも」。この曲を演る前に、ベーゼンドルファーについて説明されたのだが、このピアノの特徴、標準の88鍵よりも低音が強化された97鍵であることに触れ、「こういうのがあると、無駄に弾いてみたくなる」ということで、意識的にエクステンド・ベースを使い、ダイナミックにピアノを弾いての歌唱となったのだが、さすが、ベーゼンドルファー。力強く鍵盤を打てば打つほど、単なる柔らかい音だけでは無く、芯の強さが際立ってくるような響きで応えてくれると感じる。

特に、ラストの二曲とアンコールは、ベーゼンドルファーと矢野さんのヴォーカルが一体となった、凄い演奏になっていたと思う。久しぶりに聴いた「それだけでうれしい」がこんなに良い曲だったのかと改めて感じ、「GREENFIELDS」に涙腺を刺激され、終盤近くが怒濤のピアノ・ソロとなった「ひとつだけ」に興奮。矢野さんも、このピアノが、普段、あまり弾かれていないのでは、ということをやんわりと指摘していたが、地方のホールにある名器、勿体無いことになっているケースは、多いのだろうな。

最後に、いづみ福祉会の利用者代表から、花束と草木染めのショールのプレゼントがあって、コンサート終了。正味、一時間は、ちょっと物足りない感じもあったな。

それでも、普段訪れないような町を歩き(駅前が予想以上に寂しく、昼食場所探しに、ちょっと困ったが…)、初めて聴くピアノの響きを楽しみ、大ホールの公演とは一味違う「出前仕様」の矢野さんの演奏と歌唱を堪能するという、出前ならではの楽しみを、久しぶりに味わうことが出来、遠出した甲斐が有った。

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