地区 | 公演日 | 開演 | 会場 |
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茨城 | 11月23日(木) | 18:00 | 結城市民文化センター・アクロス |
東京 | 11月25日(土) | 18:00 | NHKホール |
11月26日(日) | 18:30 / 21:00 | Blue Note Tokyo | |
11月27日(月) | 19:00 / 21:30 | ||
福岡 | 11月30日(木) | 19:15 | 福岡イムズホール |
愛知 | 12月1日(金) | 19:30 | Zepp Nagoya |
大阪 | 12月4日(月) | 19:30 | なんばHatch |
12月5日(火) | 19:30 |
この十年間で最も見た目が変わったということが、パンフレットの写真に歴然と記録されています。しかし、音楽にかける情熱と、このトリオに対する愛情があふれ出る姿勢は全く変化していません。
十年前は28歳!その若さでこのトリオに入った彼も凄いし、若手を抜擢した二人の見る目も素晴らしかったことが証明された十年間とも言えますね。
1300人程度収容のホールは、8割程の埋まり具合だろうか。私の席はPAスピーカーの真ん前だったが、音の具合はなかなか良好。ただ、場内の反響が大きめなのが少し気になった。例によって、舞台に向かって、左に矢野さん。中央にAnthony氏。右にCliff氏。ピアノとAnthony氏の間に透明の遮音版が設置されている。特別なセットのようなものはない。
最初の「Presto」で、やはり、さとがえるトリオの音は良いなぁと実感。十年で、このトリオの音がすっかりこちらの体にも染みついたようだ。
4曲目は、タイトル通り、忌野清志郎さんに宛てた曲。あくまでも希望に満ちた曲調と歌詞に、涙が出そうになってしまった。
ソロは多めに5曲。ここのピアノは本当に弾きやすいとのコメント。その後、矢野さんのメンバー紹介で二人が再登場し、ここからが怒濤の展開。「そこのアイロンに告ぐ」では、Anthony氏のソロが挿入されたが、いつもよりは短めだったかもしれない。「GREENFIELDS」の演奏後には、矢野さんが思わず(オフマイクのつもりで)「頑張り過ぎちゃった」とつぶやいたのがマイクに乗ってしまったが、確かに、それほどの熱演だった。「ラーメンたべたい」では、Cliff氏のドラムソロに、立ち上がってノる矢野さん。三人とも、本当に楽しそうだ。
アンコールでは、派手な衣装に着替えて出てきた矢野さんを見て、Anthony氏が思いっきり表情を和らげていたのが楽しい。そして、さとがえるトリオと言えば、この曲。「ちいさい秋みつけた」。パワー溢れる演奏を堪能。大満足。
ツアー初日だが、久しぶりのトリオでのホールコンサートと言うことで、気合いが入っていたのだろう。声も良く出ていたし、安定した良い演奏だった。選曲の方は、十周年を意識したのか、サプライズの少ない、予定調和的なものだったように思うが、もちろん、納得である。なお、ツアーグッズは、携帯クリーナーが二種とパンフレット。このパンフレットが、さとがえる十周年記念編集で、なかなかの充実ぶりだ。
物販では、本日発売の「えがおのつくりかた」も販売されていた。一部、サイン付きのものもあったらしい。場内では、NHK BSの録画が行われている。
TVカメラが入った時の宿命か、一曲目では歌詞がかなり怪しくなり、ちょっと心配なスタートだった。しかし、二曲目から、結城公演に比べ圧倒的に迫力が増した演奏に引き込まれる。これぞ、さとがえるトリオ・大ホール仕様という感じだ。三曲目、結城公演と曲が変わっていたのに、Anthony氏が間違えてしまうアクシデントもあったが、この日のフレーズ「取り返しの付かない事なんか無い」ということで、問題無いのである。
「David」がバンド演奏になった分、ソロが一曲減って四曲。客席に向かって「塀の上で」と「中央線」のどちらがよいか問いかけるという趣向もあったが、結局「慶一、ごめん!」ということで「中央線」の方を演奏。「ごはんができたよ」は、結城公演に続いての披露だったが、これもまた迫力が大幅に増した熱演だ。
トリオ演奏に戻ってからも、力強い演奏が続く。ラスト二曲、そしてアンコールでのトリオのキレ具合は、本当に凄いものがあった。アレンジでは、伴奏の空白を巧みに活かして迫力を増す工夫がされているように感じた。
結城公演では、久しぶりにホール公演を行うことを心底楽しんでいるように見えたさとがえるトリオだが、今日は、大型ホールということで、実にパワフルな演奏だった。また、席がCliff氏の真正面だったため、矢野さんよりもCliff氏の方をよく見ていたことも、よりパワーを感じる一因だったのかもしれない。
今年はさとがえるの一環としてのブルーノート東京公演という変則的な形である。一応、場内でツアー・グッズが売られているが、あまり目立たない陳列だ。ブルーノート公演の名物、矢野さん命名によるオリジナルカクテル、今年は「蜜っちゃん」。
1st Showは、矢野さんの至近で観ることができた。この距離だと、舞台上のプレイヤーの表情や、お互いのアイ・コンタクトの様子を見ることができて、興味深い。構成は、ホール公演から数曲をカットし、ソロをアンコールの一曲目に持ってくるというもの。今回のソロは、昨日演奏されなかった「塀の上で」。
ただし、ホール・コンサートの後でブルーノートの公演を観ると、曲数が少ないため、物足りなさが強い。もちろん、小スペース故の密度の濃さも感じられるのだが、これだったら、クアトロのスタンディング・ギグで弾けた方が楽しかったと思う(もっとも、この10年で、こちらの体力は確実に落ちているので、スタンディングも辛かったかもしれないが…)。
しかし、2nd Showの演奏が凄かった。出だしから充実した演奏が続いたが、特に「青い空」でのCliff氏のドラム・ソロ以降、三人のノリ、キレ具合、コンビネーション、全てが1st Showとは全く次元の違うものになっている。このテンションの高さのままで最後まで突っ走り切る、大興奮のステージとなった。
こういう演奏を見せつけられてしまうと、ブルーノートのコスト・パフォーマンスの悪さに対する文句も引っ込めざるを得ないのである。
1st Show、昨日の2ndほどではないにせよ、なかなか引き締まった演奏だったと思う。特に、矢野さんの歌唱が絶好調。声の調子が良かっただけでなく、瞬発力に富んだ歌いっぷりという感じだ。「青い空」の途中、アドリブの効いたスキャットなど、絶品だった。
しかし、今日もまた、2nd Showでの演奏がさらに大変なことになっていた。決して、1stで力の出し惜しみはしていないと思うのだが、やはり、これが今年のブルーノート東京での最後のショーだからか、Cliff氏もAnthony氏も、気合いの入り方が、さらに一段階凄くなっていて、テクニックも総動員という感じだ。「そこのアイロンに告ぐ」で挿入されるAnthony氏のソロなど、これまで聴いてきたものとは、ひと味違う奏法がちりばめられていた。終盤、果てしなく高まった演奏の後のアンコール。ソロで演奏された「右手」は、矢野さんの演奏・歌唱だけでなく、PAの状態、照明の具合も相まって、神々しさすら感じられるものだった。そして、最後の最後「ラーメンたべたい」で、もう一度ヒートアップ。本当に素晴らしいステージだった。
個人的には、このノリで「ちいさい秋みつけた」も演ってほしかったという思いもあるのだが、それは贅沢すぎるというものだろう。
会場は、スタンディングを前提に作られているのだろう。舞台が高めになっていて、私が座った前方の席だと、普通のホールよりプレイヤーが遠くに感じられる。音響もロック仕様なのだろうか。とても乾いた音だ。ドラムはキレ良く聞こえるが、ピアノとヴォーカルに関しては、残念ながら艶に欠けるプアーな響きである。席が左端に近い所だったので、Anthony氏の顔がピアノの陰になってしまったが、鍵盤を後ろから見ることができたのは良かった。
出だし、矢野さんの喉の調子は万全では無い気がした。これは、PAのせいだけではないだろう。しかし、Anthony氏、Cliff氏の方は中々良い感じで演奏が進む。
ソロ・パートでは、いつもよりトークが多い。トイレの話、吉野金次の復帰を願う緊急コンサートの話、機内で中年男性の英会話練習に付き合わされたCliff氏のこと、などなど。
後半になって、演奏はどんどん加熱していく。「そこのアイロンに告ぐ」でのAnthony氏のソロは、ますます深い響きになっているし、Cliff氏のドラムも、ブルーノートでの演奏に比べて一つリミッターを外した、という感じの力強さがある。「Rose Garden」は、今年、私が観た中では一番盛り上がった演奏だと思う。そして、ブルーノートでは演奏されなかった「ちいさい秋みつけた」。これが目当てで名古屋まで来たと言っても過言ではないほど、さとがえるトリオによるこの曲の演奏が好きなのだが、期待以上の白熱ぶりで大満足。ほんと、これだけは、かつてのクアトロのようにスタンディングで聴きたいものだ。
会場の反応が、東京に比べるといまいちかなという気がしていたが、最後には、相当数の人がスタンディング・オヴェイション。来た甲斐のあるライヴだった。
ホールで三回と、ブルーノート東京で二回公演×二日間、観ることができた。ブルーノートも良いが、ある程度の広さの所で思いっきりパワフルにプレイするさとがえるトリオの魅力を改めて実感した。色々な条件が難しいとは思うが、来年以降も、このトリオによる演奏を、ブルーノート以外でも聴きたいと熱望する。
原田さん、ありがとうございました。