2018年、冬のリサイタルは一本だけでしたが、昨年、非開催だった年末の鎌倉芸術館公演の復活になりました。
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年末の風物詩、矢野顕子リサイタル@鎌倉芸術館、二年ぶりの復活である。客入れの音楽は、さとがえると同じく、Reed and Carolineの"Hello Science"。舞台上のピアノはもちろん、鎌倉市民の血税の結晶、Steinway。
演奏が始まる。透明感のあるピアノの音色。やはり、このホールの響きは特別だと実感する。そして、演奏される曲も、さとがえるとは全く違う趣向。やはり、鎌芸はこうじゃなくっちゃ!と嬉しくなる滑り出しだ。
3曲目は、新アルバム収録曲の「バナナが好き」。アルバムではYUKIさんのドラムが入っているし、先日のさとがえるではバンドでの演奏だったが、今回は、純弾き語り。初めて味わうアレンジ。とても良い。
バナナの演奏後、色々と脱線したMC(来年は、どんな形のバナナにも対応できるバナナケースを製作することが目標だ!)の後、ISS(国際宇宙ステーション)繋がりの2曲(個人的には、「ISSの歌」の次に「地球に帰還の歌」の順番の方が良いのでは?と思ってしまった)。「When We're in Space」も、ピアノ弾き語りバーションに見事に生まれ変わっているが、演奏の途中にたっぷりと、ISSについての熱い語りを入れる矢野さん。筋金入りの宇宙好きだ…
「ねこがかくしているもの」の演奏後には、物販の告知。そして、「パール」の演奏後には、奥田民生さんと演った「アオモリドライブ」の話しをされたが、これは、吉井和哉さんも「スルガドライブ」として奥田民生さんのプロジェクトに参加しているという繋がりで、演奏はせず。次の演奏曲は都下出身(正確には中野区生まれ、国分寺市育ち)の忌野清志郎氏を歌った「きよしちゃん」。
続いて、米国のカントリー界のシンガーソングライター、Townes Van Zandtの「Buckskin Stallion Blues」(1987年のアルバム"At My Window"収録。2017年の映画"Three Billboards Outside Ebbing, Missouri"で使われたことでも知られている)。これが、初演ということだが、今後、矢野さんのライヴでの定番化する可能性もありそうな良い曲だ。
2年前の鎌倉では、まだレコーディング前だった「SUPER FOLK SONG RETURNED」。途中で、演奏を中断したと思ったら、本日、初めて着用した衣装の、想像以上に深いスリットが気になったとのこと…。なんとも自由である。なお、この曲を演奏しようと準備していたら、糸井さんから曲を付けてと頼まれたままになっている詞があることを思い出したそうで、来年の鎌倉では、糸井・矢野コンビの新曲が聴けるかもしれない。
本編ラスト近くになり、「鎌倉では、"分かりやすい曲"を演らなくても許してもらえると思って自由にやっている」旨の発言があったのだが、「初めて矢野顕子のコンサートに来た人もいるし…」ということで、"分かりやすい曲"の一つ、「ラーメンたべたい」。ただし、急に演奏することに決めたので、歌詞はうろ覚え。結局"分かりにくいアレンジ"での演奏になる。途中でスタッフが慌てて歌詞カードを持ってくるが、演奏は"分かりにくいアレンジ"で貫徹。でも、これが、本当に味わい深いラーメンになっていた。そして、「ROSE GARDEN」で本編終了。
アンコールに応えて登場した矢野さん。気にしていたスカートのスリットを洗濯ばさみで止めての登場である。そして「GREENFIELDS」か「電話線」か迷ったところで、観客席からは「電話線」の方に大きな拍手。ちょっと意外そうな矢野さんだったが、結局「電話線」で全編終了。「電話線原理主義者」の私としては、大満足である。
さとがえるコンサートを終え、バンドの束縛から解放(部下の突き上げからの解放?)されたせいか、非常にリラックスしたMC。そして、いつも以上にギミックに溢れた感じのピアノ演奏。もちろん、この会場独特の素晴らしい響きも有り、まさに、鎌芸の良さ・楽しさがたっぷり詰まった公演だった。