AKIKO YANO TRIO featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
2025年、ビルボードライブ大阪 / ブルーノート東京 / 静岡グランシップ / 高崎芸術劇場公演


静岡、東京の3日間、そして、高崎の、計5日/8公演に行くことが出来ました。
誤りのご指摘、追加情報等あれば、送って頂けると助かります。


button スケジュール

地区公演日開演会場
大阪8月26日(火)17:30 / 20:30ビルボードライブ大阪
8月27日(水)17:30 / 20:30
静岡8月29日(金)19:00静岡コンベンションアーツセンター グランシップ 中ホール・大地
東京8月31日(日)16:30 / 19:30ブルーノート東京
9月1日(月)18:00 / 20:30
9月3日(水)18:00 / 20:30
9月4日(木)18:00 / 20:30
群馬9月6日(土)18:00高崎芸術劇場 スタジオシアター

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button メンバー

Chris Parker(drums

ドラマーとして、ハードかつテクニカルなドラミングでトリオを支え、プロフェッショナルの画家としては、今年も手描きの団扇とスケッチブックを販売。さらに、「緑茶マスター」でもあり、美味しいお茶を淹れることもお得意とのこと。

Will Lee(bass

1970年代から変わらぬ姿勢で矢野さんをサポートし続けるベーシスト。今年は、The Fab Faux(The Beatlesのトリビュート・バンド)のメンバーとしての一面も見せてくれました。

矢野顕子(piano, keyboard

来年のレコードデビュー50周年を控え、ついにこのトリオで、ホール公演も実現。さらには、40年以上前のYMOワールドツアーでメロディーを弾かせてもらえなかった鬱憤も、しっかり晴らしていました。

ヒロ・イイダ

ブロードウェイで活躍するエレクトロニック・ミュージック・デザイナー。この公演のトラック周りを担当しています。裏方でありながら、ステージ奥でノリノリで機材を操作する姿が妙に印象的。

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button 2025年8月29日(金)@ 静岡コンベンションアーツセンター グランシップ 中ホール・大地

buttonセットリスト

  1. CHILDREN IN THE SUMMER
  2. ごはんができたよ
  3. David
  4. Three Rockets inspired by Noguchi family(来年発売のアルバムに収録予定
  5. ゴジラ vs モスラ
  6. All The Bones Are White
  7. She's Leaving Home(The Beatles
  8. PRAYER矢野さんソロ
  9. 相合傘
  10. 千のナイフ(坂本龍一 / 後にYellow Magic Orchestraとしてもカヴァー
  11. TONG POO
アンコール
  1. ひとつだけ
  2. ラーメンたべたい

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今年のトリオは、クラブ公演以外に、静岡と群馬でホール公演もある。その静岡に出かけてきた。果たして、クラブ公演とは違うのか?

会場の静岡コンベンションアーツセンター グランシップは、東静岡駅(新幹線 静岡駅から東海道線で1駅)から徒歩5分。中ホール・大地は、キャパ 951席。初めて訪れたが、綺麗で、音響も良いホールだ。ロビーには、ブルーノート東京よりも大幅に広い物販スペースがあり、ツアーグッズの他に、Will氏とChris氏のCD、そして、Chris氏手描きのスケッチブックや団扇も売られている。客入れの音楽は、先日の八ヶ岳高原音楽堂と同じ、Kraftwerkの"Trans-Europa Express"。

ステージは、いつも通り、向かって左から、矢野さん、Will氏、Chris氏。矢野さんの使用楽器は、SteinwayとKORG KRONOS。

「CHILDREN IN THE SUMMER」で演奏開始。クラブとは違う、バランスが取れたクリアな音響。やはり、ホールだと、「熱狂する」と言うより、「鑑賞する」という雰囲気になるなと、一瞬、思ったが、2曲目の「ごはんができたよ」、マレットとブラシを駆使するChris氏、キーボードとピアノを両手弾きしながら歌う矢野さん、そして、ノリノリに跳ねるWill氏。この超絶技巧のせめぎ合いには、やはり熱狂せざるを得ない。

最初のMCでのメンバー紹介では、昨年のブルーノート東京で、裏方なのに目立ちまくっていたヒロ・イイダ氏も、しっかり紹介される。そして、「David」。お馴染みの完成度の高い楽曲だが、今回は、間奏のWill氏の抒情的なベースが聴かせる。

曲の背景を説明してから、「Three Rockets」の演奏。ヒロ・イイダ氏も含めた4人のコンビネーションがバッチリ。さびの「ソユーズ」が癖になるのだ。そして、お馴染み、演奏のラストに入るロケット発射音のSEに、見送る小芝居をする皆さん。Will氏は、そのまま小芝居を続け、「怪獣大戦争」になだれ込む! 熱い!! 昨年は、このお約束の展開が無くて寂しかったのだ。2年ぶりのゴジラとモスラの大暴れを堪能。

怪獣の後は、久しぶりの「All The Bones Are White」。Will氏の抒情的なベースとハーモニカ。矢野さんの迫力の歌唱。(タイトルの’”Bones”に掛けている訳じゃないが)骨太の名曲だ。続いては、Will氏がリード・ヴォーカルを務めるコーナー。「"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"の曲を演って良いかい?」と言って始めたのは「She's Leaving Home」

2人がはけて、矢野さんのソロで「PRAYER」。先日の八ヶ岳高原音楽堂に比べ、ググッと仕上げてきた感じの歌唱だ。そして、2人が戻り、ファンキーなリズムを刻み始める。矢野さんはスタンディング・マイクで「相合傘」。間奏では鍵盤ハーモニカ(NYで観た松居慶子さんのライヴで使われているのを観て、自分でも、と思ったとのこと)も披露。Will氏がホイッスルで盛り上げる中、ピアノの前に戻り、演奏を続ける。これは、新しくて楽しいアレンジだ!

本編ラストは、大曲2つ。まずは「千のナイフ」。もう、このトリオの定番曲と言って良い完成度。3人とも、キレキレのソロを繰り出し合うが、特にChris氏のドラムスが圧巻。そして、YMOつながりで「TONG POO」。昨年のさとがえると同じ並びだが、The YANOAKIKOの演奏とはテイストが違う、AKIKO YANO TRIOのゴリゴリの迫力、凄まじい。

アンコール は、「ひとつだけ」と「ラーメンたべたい」の鉄板曲。アレンジ自体は、比較的、正統派だが、ここまでで十分に温まっているだけに、熱く、勢いのある演奏。これで、全編終了

19時開演で、終わったのが20時40分頃。クラブ公演よりも30分ほど長く、バラエティに富んだセットリストだった。ブルーノート東京では何曲か削られることになると思うので、静岡まで出かけて大正解だ。と言うか、初期のさとがえるが、ホール公演の他に、渋谷CLUB QUATTROでの白熱のギグも行っていたように、このトリオも、クラブとホールの両建てを継続してくれると嬉しいなと、わがままな事を考えてしまった。

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button 2025年8月31日(日) @ ブルーノート東京

buttonセットリスト

1st Show
  1. ごはんができたよ
  2. Three Rockets inspired by Noguchi family(来年発売のアルバムに収録予定
  3. ゴジラ vs モスラ
  4. All The Bones Are White
  5. She's Leaving Home(The Beatles
  6. 相合傘
  7. ライディーン(Yellow Magic Orchestra
  8. TONG POO
アンコール
  1. ひとつだけ
  2. YES-YES-YES
2nd Show(アンコール2曲目が違います
  1. ごはんができたよ
  2. Three Rockets inspired by Noguchi family(来年発売のアルバムに収録予定
  3. ゴジラ vs モスラ
  4. All The Bones Are White
  5. She's Leaving Home(The Beatles
  6. 相合傘
  7. ライディーン(Yellow Magic Orchestra
  8. TONG POO
アンコール
  1. ひとつだけ
  2. ラーメンたべたい

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東京での「矢野顕子トリオ 納涼祭り」初日。ここでも、客入れの音楽に、Kraftwerkの"Trans-Europa Express"が使われている。今年のスペシャル・メニューは「おいしいもん蒸し」、デザートに「栗のシュープリーズ 第二章」、そして、カクテルは「昼も夜も、君に会いたいっ。」。今回は、栗のシュープリーズ 第二章をいただいたが、見た目の可愛さ、ナイフを入れた時のインパクト、そして、味。どれも、お見事!

ステージは、いつも通り、向かって左から、矢野さん、Will氏、Chris氏。矢野さんの使用楽器は、C. BechsteinとKORG KRONOS。私は、ステージ向かって右、Chris氏に近い席。

「ごはんができたよ」で演奏開始。ホールとは違う、音圧、密度 & 客席との一体感。やはり、このトリオは、クラブ公演が似合うと思う。と言うか、クラブならではの凝縮感は、正義だ。

「Three Rockets」(今回の来日で録音されている新アルバムに収録されるようだ)の演奏のラスト、例によって、ロケットを見送る小芝居をするWill氏と矢野さん。しかし、静岡と違い、ここで最初のMC(飯田ヒロ氏も、しっかり紹介される)。あ、今回は無いのかもと一瞬思ったが、矢野さんが喋り終わったところで、Will氏が小芝居を再開。で、2年ぶりにゴジラとモスラがブルーノートに襲来! やはり、 熱い!! 演奏のラスト、矢野さんがちょっとバタバタしたようにも見えたが、巧みにサポートするWill氏が男前だ。

怪獣の後は、久しぶりの「All The Bones Are White」。矢野さんの迫力の歌唱とWill氏のハーモニカが泣かせる。(タイトルの’”Bones”に掛けている訳じゃないが)骨太の名曲だ。

昨夜は、Will, Chris & ヒロで、六本木のクラブ ”ABBEY ROAD”に行ったというWill氏がリード・ヴォーカルで、「She's Leaving Home」。静岡の時よりも、グッと声が出ていると感じた。(静岡では、ここで矢野さんのソロ弾き語りがあったが、それは割愛)Will氏とChris氏が刻むファンキーなリズムに乗って、スタンディング・マイクの矢野さんが「相合傘」。間奏では鍵盤ハーモニカも披露。Will氏がホイッスルで盛り上げる中、ピアノの前に戻り、演奏を続ける、新しくて楽しいアレンジ。

グッズ紹介の後、本編ラストは、大曲2つ。静岡では「千のナイフ」だったが、今回は「ライディーン」。大迫力の演奏。つくづく、凄い3人だ。終盤、Will氏が前に出てきてベース・ソロ、それを受けて、Chris氏、矢野さんとつなぎ、最後は、美しいピアノ・ソロで終わる見事なアレンジ。ラストのピアノの響きは、高橋幸宏氏に捧げたようにも聞こえる(超個人的には、Rick Wakemanに似た響きも感じてしまった)。そこから間髪入れずに「TONG POO」。これで、ラストの3曲は、細野さん、ユキヒロ、教授の作品が並んだことになる。YMOのワールドツアーの時には、メロディーを弾かせてもらえなかった矢野さんの逆襲か? とにかく嬉しいラインアップだ。

アンコール は、「ひとつだけ」。そして、ラーメンではなく「YES-YES-YES」。これは嬉しい。Will氏のコーラスが効果的なこのトリオでの演奏が大好きなのだ。ラストに向けて白熱の度合いがどんどん上がり、矢野さんのエレピのソロも凄いことになって、これで、1st Set、終了。ホール公演よりも曲数は少ないが、その分、引き締まった、ストロング・スタイルのパフォーマンスを堪能。(以下、後日追記)なお、その後の公演では、アンコール2曲目は「ラーメンたべたい」に統一されたため、これはレアな機会だった。大いに得した気分だ。

興奮も冷めやらぬまま、2nd Set。今度は、ステージに向かって左。矢野さん側の席だ。本編のセットリストは1stと同じで進むが、やはり、3人とも、パフォーマンスの熱量が高まっていると思う。特に、「怪獣大戦争」でのWill氏の弾けっぷり、「相合傘」での矢野さんのスキャットのノリノリっぷりが楽しい。

アンコール。安定の「ひとつだけ」(Will氏の工夫を凝らしたベースが聴き応え有り)に続いては、静岡と同じく「ラーメンたべたい」。今日のラーメンは、激アツだ。ヒロ・イイダ氏が仕込んだ、オリジナル・アレンジに近いトラックを飲み込んで、グイグイ熱さを増していく演奏、凄かった。これで、全編終了。

ホールの良さ、クラブの良さ、それぞれあるなぁと思いつつ、やはり、クラブの熱さは堪えられないと、再確認したのである。

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button 2025年9月3日(水) @ ブルーノート東京

buttonセットリスト

1st Show & 2nd Show 共通(8月31日の2nd Showと同じ

  1. ごはんができたよ
  2. Three Rockets inspired by Noguchi family(来年発売のアルバムに収録予定
  3. ゴジラ vs モスラ
  4. All The Bones Are White
  5. She's Leaving Home(The Beatles
  6. 相合傘
  7. ライディーン(Yellow Magic Orchestra
  8. TONG POO
アンコール
  1. ひとつだけ
  2. ラーメンたべたい

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トリオとしては、日・月公演の後、1日の休みを挟んで、東京の3日目(私は、月曜は都合が付かず)。

例によって、客入れの音楽は、Kraftwerkの"Trans-Europa Express"。今年のスペシャル・メニュー の「おいしいもん蒸し」、デザートの「栗のシュープリーズ 第二章」、カクテルの「昼も夜も、君に会いたいっ。」のうち、今回は、おいしいもん蒸しをいただく。美味し。

ステージは、いつも通り、向かって左から、矢野さん、Will氏、Chris氏。矢野さんの使用楽器は、C. BechsteinとKORG KRONOS。私は、ステージ向かって、やや右、Will氏に近い席。

「ごはんができたよ」で演奏開始。ライヴの終盤に演奏されることが多い曲だが、マレットとブラシを駆使するChris氏、キーボードとピアノを両手弾きしながら歌う矢野さん、そして、ノリノリに跳ねるWill氏、冒頭からテンションが上がる。続く「Three Rockets」では、ヒロ・イイダ氏のトラックも効果的に使われる。それにしても、この曲のサビ、好きだなぁ。で、ラストは、例によって、ロケットを見送る小芝居をするWill氏と矢野さん。

ここで最初のMC。メンバー紹介があるのだが、今年から紹介されるメンバーに入ったはずのヒロ・イイダ氏を忘れ、次に進もうとする矢野さん。咳き込む振りをして、気づかせようとするChris氏とWill氏。今日は、この後も、Chris, Will & Hiroの仲良しトリオっぷりが微笑ましいシーンが多数。

いつも以上に強引なWill氏の小芝居からの、怪獣大戦争。やはり、 熱い!そして、じっくり聴かせる「All The Bones Are White」。Will氏の叙情性が曲全体を引き立たせる。この振り幅が凄くて楽しい。

Will氏のリード・ヴォーカルで、「She's Leaving Home」。彼のThe Beatles愛がクラブ中に溢れたところで、またまた雰囲気は一転、ファンキーなリズムに乗って、スタンディング・マイクの矢野さんが「相合傘」。間奏の鍵盤ハーモニカも効果的なフレーズを奏で、スキャットで弾け、そして、ピアノの前に戻って見事なタイミングで演奏を続ける。見応え、聴き応えのある、楽しいパフォーマンス。

ここで、グッズ紹介のはずなのだが、またもや忘れてしまいそうになる矢野さん。グッズの扇子をあおいでアピールする3人組。というドタバタの後、Chris氏とWill氏のリーダー・アルバムもあるので、是非、会場で購入を、と矢野さん。「アマゾンだと、利益の30%をアマゾンが中抜きするし、Spotifyの印税なんか、蝉のおしっこぐらい少ない」とのこと…

いよいよ、本編ラストの大曲2つ。まず、「ライディーン」。大迫力の演奏。終盤、Will氏が前に出てきてベース・ソロ、それを受けて、Chris氏、矢野さんとつなぐところの熱さたるや! ヒロ氏のトラックも、控え目ながら、実に効果的。本家の演奏をリスペクトしつつ、完璧にこのトリオの音楽にしている。そして、最後の美しいピアノ・ソロ(ここで、どうしても私はRick Wakeman味を感じてしまう)から、間髪入れずに「TONG POO」。細野さん、ユキヒロ、教授の作品が並ぶのは、やはり大興奮。

アンコール は、「ひとつだけ」と「ラーメンたべたい」の鉄板の組み合わせ。個人的には、日曜日の1stセットで披露した「YES-YES-YES」が大好きなので、ちょっと残念。もちろん、「オーエス オーエス」収録のオリジナル音源に寄せたような音色とアレンジ、そして、終盤の激アツのセッションも、物凄いのだが。これで、1st Set、終了。

2nd Set。私の席は、1stから1つズレただけで、今回もWill氏が良く見える。私はこれで、クラブ公演4ステージ目なので、セットリストにはすっかり馴染んだが、つくづく、隙の無い、見事な構成になっていると思う。そして、1stを凌駕する熱演。「怪獣大戦争」などでメチャクチャ弾けているように見せている3人だが、皆、ステージ毎・曲毎に、色々と工夫していることに感心する。

アンコールは、やはり、「ひとつだけ」&「ラーメンたべたい」の組み合わせ。「YES-YES-YES」の需要は少ないのか…、と軽くガッカリもしたが、結局はラーメンの熱さに、納得&大満足だ。これで、全編終了。

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button 2025年9月4日(木) @ ブルーノート東京

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1st Show & 2nd Showともに、 9月3日と同じ。

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ブルーノート最終日。雨交じりの天気だが、久しぶりに最高気温が30度を切った(去年も、最終日は雨で気温が下がったな)。

例によって、客入れの音楽は、Kraftwerkの"Trans-Europa Express"。今年のスペシャル・メニュー の「おいしいもん蒸し」、デザートの「栗のシュープリーズ 第二章」、カクテルの「昼も夜も、君に会いたいっ。」のうち、1stではおいしいもん蒸し、2ndでは栗のデザートをいただいた。どちらも極めて美味しいし、お安い(矢野さんのNY基準の物価から見れば…)。

ステージは、いつも通り、向かって左から、矢野さん、Will氏、Chris氏。矢野さんの使用楽器は、C. BechsteinとKORG KRONOS。私は、1stでは、ステージ向かって左。矢野さん側。なお、今日は、撮影用のカメラが入っている。

「ごはんができたよ」で演奏開始。今回も、マレットとブラシを駆使するChris氏、キーボードとピアノを両手弾きしながら歌う矢野さん、そして、ノリノリに跳ねるWill氏、冒頭からテンションが上がる。カメラが入ったのを意識したのか、あるいは、最終日で気合いが入っているのか、はたまた、(後のMCで語っていたが)矢野さんの高校の同級生が観に来ていて緊張したからなのか、矢野さんのライヴでありがちな歌詞が怪しくなるところが無く、極めて明瞭な歌唱が印象的だ(この明瞭な歌唱は、この後も続く)。2曲目「Three Rockets」で、Chris氏がヘッドホンを装着。ということは、ヒロ・イイダ氏の出番。私の席からは、ノリノリで機材を操作する彼の姿がバッチリ見えて、これもまた、テンションが上がる。やはり、この曲のサビ、特に「ソユーズ」の所、私は大好物だ。ラストは、例によって、ロケットを見送る小芝居をするWill氏と矢野さん。

ここで最初のMC。昨日のようなドタバタもなく、スムースに進むのは、これも、カメラの効果か?で、Will氏の小芝居からの、怪獣大戦争。やはり、夏のブルーノートには、ゴジラとモスラの襲来がMUSTだ! 超絶熱い演奏の後は、一転、Will氏の叙情的なプレイと矢野さんの熱唱でじっくり聴かせる「All The Bones Are White」。(タイトルの’”Bones”に掛けている訳じゃないが)骨太の名曲だ。

Will氏のリード・ヴォーカルで、「She's Leaving Home」。彼のThe Beatles愛がクラブ中に溢れたところで、またまた雰囲気は一転、Will氏とChris氏が刻むファンキーなリズムに乗って、スタンディング・マイクの矢野さんが「相合傘」。見応え、聴き応えのある、楽しいパフォーマンス。

グッズ紹介の後、いよいよ、本編ラストの大曲2つ。まず、「ライディーン」。本家の演奏をリスペクトしつつ、完璧にこのトリオの音楽にしている3人の演奏技量が素晴らしく、それを 効果的に支えるヒロ氏のトラックも見事。そこから間髪入れずに「TONG POO」。この細野さん、ユキヒロ、教授の作品が並ぶラスト3曲、つくづく良いなぁ。

アンコール は、「ひとつだけ」と「ラーメンたべたい」の鉄板の組み合わせ。これで、1st Set、終了。

2nd Setも、私の席は矢野さん側。ブルーノート東京の最後のステージだけに、客席にも熱気がみなぎっている。

そして始まったステージは、どの演奏もクオリティ高し。特に、毎回、色々工夫してくる怪獣大戦争でのWill氏のベース、今回の、好きだなぁ

と、見事なパファオーマンスが続くが、終盤の「相合傘」で、矢野さんのギアが一段上がったと感じた。ここからは、「見事」を突き抜けて「圧巻」へ。「ライディーン」も「TONG POO」も、トラックを使った、つまり、クリックに合わせた演奏のはずなのに、とにかく奔放で熱い。

アンコール。「ひとつだけ」では、アイディアに溢れたWill氏のベースが楽しい。そして、締めの「ラーメンたべたい」の終盤の激アツっぷりに、ただただ圧倒されて、全編終了。毎年、「今年は凄い」、「今年こそ凄い」と言い続けている気もするブルーノート東京でのトリオ公演だが、やっぱり「今年が最強に凄い」と言いたくなってしまうのだ。

なお、ステージから去るヒロ・イイダ氏が着ているTシャツに、「テクノ」の文字と「鍵盤を持ったゴジラの絵」が描かれているのを見て、ついニヤニヤしてしまった。

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button 2025年9月6日(土) @ 高崎芸術劇場 スタジオシアター

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  1. CHILDREN IN THE SUMMER
  2. ごはんができたよ
  3. David
  4. Three Rockets inspired by Noguchi family(来年発売のアルバムに収録予定
  5. ゴジラ vs モスラ
  6. All The Bones Are White
  7. She's Leaving Home(The Beatles
  8. PRAYER矢野さんソロ
  9. 相合傘
  10. TONG POO
  11. 千のナイフ(坂本龍一 / 後にYellow Magic Orchestraとしてもカヴァー
アンコール
  1. ひとつだけ
  2. ラーメンたべたい

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いよいよツアー最終日。会場は、高崎駅から徒歩5分ほど。複数のホールが入ったとても立派で綺麗な劇場だ。その中で、中ホールにあたるスタジオシアターは、可動式の座席になっていて、今回は568席のセッティング。

ここでも、客入れの音楽は、Kraftwerkの"Trans-Europa Express"。観客席だけでなく、手洗いの中にも流されていた。ステージは、いつも通り、向かって左から、矢野さん、Will氏、Chris氏。矢野さんの使用楽器は、SteinwayとKORG KRONOS。ステージの背景には、クラブと同じ、"Blue Note Tokyo"のロゴが掲げられている。私の席は、ほぼセンター。最後に、とてもバランスの良い席で嬉しい。

「CHILDREN IN THE SUMMER」で演奏開始。途中、ガッツリ、ジャズ・トリオらしい間奏を挟むところがお洒落。そして、クラブとは違う、安心・安定のホールの音響だ。続いて、クラブ公演での1曲目「ごはんができたよ」。MC / メンバー紹介(ヒロ・イイダ氏も含む)を挟んで、「David」。静岡と同じ流れだが、ホール公演では緩急を付けて、クラブ・パフォーマンスでは勢い重視で、という組み立てなのだろう。

「Three Rockets」の演奏後、この曲の背景と、来年発売予定のアルバムに収録されること、そして、正式名称に"inspired by 野口ファミリー"が付くということが語られる。そこから、恒例、Will氏の小芝居から始まる「怪獣大戦争」。ホールで聴いても、この勢いと熱さに大興奮。因みに、前日は、Will氏とChris氏にディナーに招待された矢野さん。そこで2人から大量のゴジラ・グッズをプレゼントされたという微笑ましいエピソードも披露。

続いて、静かな力強さに満ちた「All The Bones Are White」。しみじみと良い曲だ。ただ、曲の最後、遠ざかる列車の音を、Chris氏のブラシさばきと、Will氏のハーモニカで聴かせるのだが、実際にマイクから遠ざかりながら演奏するWill氏の姿に(極一部ではあるが)笑い声が起きるのが、私には理解できない。実に効果的な演奏なのに…。

Will氏がリード・ヴォーカルで、The Beatlesの「She's Leaving Home」。矢野さんのソロで「PRAYER」。そして、矢野さんがスタンディング・マイクで歌う「相合傘」。クラブ公演では割愛されるソロ演奏が入ることで、このパートは、ぐっと彩りが豊かになっていると思う。

グッズ紹介の後、いよいよ佳境。今回は、「TONG POO」が先で、本編最後は「千のナイフ」。YMOナンバーの演奏は、クラブでは「ライディーン」、ホールでは「千のナイフ」となった訳だが、勢い溢れる「ライディーン」と、厚みのある聴き所たっぷりの「千のナイフ」を使い分けたということだろうか? いずれにしても、クリックに合わせた演奏とは思えない、3人の奔放なプレイの応酬が熱いし、ヒロ氏のトラックが実に良いスパイスになっている。「千のナイフ」終盤の矢野さんのスキャットに込められた熱量たるや!!

アンコール は、「ひとつだけ」と「ラーメンたべたい」の鉄板曲で、最初から最後まで、極めて高いクオリティのパフォーマンス、全編終了。

18時開演で、終わったのが19時40分過ぎ。最終日にふさわしい、充実した演奏を、クラブよりも多い曲数で堪能。これで、2025年の矢野顕子トリオ 納涼祭りは終了。ありがとうございました! それにしても、3人(&ヒロ氏)が、毎年、自己記録を塗り替えるが如く、進化し続けるのは驚異的だ。気が早いが、来夏が楽しみで仕方ないのである。

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