IN/OUT (2025.1.5) |
|
2025年の年明け。21世紀も1/4に達し、昭和では100年。子供の頃の自分からしたら、本当にSFの舞台のような数字です。 最近のIN”THE JAZZ AVENGERS Year end Special Live” @ コットンクラブ (24.12.30)The Jazz Avengersのライヴを観に、コットンクラブへ行ってきた。 2024年は、 メンバーは 「Funkadelic Muse」から演奏開始。馬鹿テクの瀬川千鶴が脱退後、大久保初夏のサポート・ギターが定着したが、それによって演奏のブルーズ味が増したと感じる。2曲目も1st Albumから「Michel Tokyo」。バンド名で大きく出た割には、ジャズと言い切って良いのか? という気もするジャズアベではあるが、竹田麻里絵作曲のこの作品は、しっかりジャズっぽい。 そこからも、年内最後のライブということで、熱演が続く。もちろん、私の大好物、川口千里のドラムの見せ場もたっぷり。WaKaNaの産休中は演奏する機会が少なかった(作曲の米澤美玖が、4管での演奏に拘っていたらしい)「Chase Myself」も演奏。その米澤美玖、今日のメンバーの中では特に充実した演奏だったと思う。フロントの4人が、かなり自由にポジションをチェンジしながらの演奏だが、コットンクラブの小さめのステージだと、その密集ぶりが、より迫力を増す。 本編ラストの「8 Steps」では、恒例、サックス・メンバーが観客席内を歩きながらの演奏サービス。そして、アンコールの「As You Like」で全編終了。 クラブ公演のため、ホール・コンサートに比べると時間は短く、曲数も少ない。「Pick Up the Pieces」のような強力カヴァー曲が無いのも物足りない。が、やはり、8人全員、経験豊富なトップ・ミュージシャン。演奏の巧みさは文句なし。オリジナル曲だけのコンパクトに締まったセットで、年末にピッタリの爽快なライヴだった。 ただ、個人的には、「As You Like」などで、客席がみんな同じ振りをするノリは、好きじゃ無いんだよなぁ。まぁ、アイドル的人気が出るのも分かるが(流石に、客席でペンライトを振っている人がいたのには、引いてしまった…) 「清⽔ミチコ万博 ~ひとりPARADE~」 @ 日本武道館 (25.1.2)2025年、最初のイベントは、吉例、清水ミチコの日本武道館ライヴ。今年で11回目の開催で、私は、その内 8回参戦の太客だ。今年の席はアリーナ4列目。新年早々、ありがたい座席運である。 例によって、凝ったオープニング・ヴィデオからライヴ開始。九段下駅から武道館に向かう途中にいたダフ屋(私も、見た瞬間、このネット時代に、まだ存在していた!と驚いた…)を、早速撮影して、ネタに使う臨機応変さが素晴らしい。なお、ツアータイトルの「万博」には、大型イベントをコバンザメのように利用すると同時に、「万物をパクる」という意味があるとか無いとか。 そして、ご本人のライヴ・パフォーマンスも絶好調。特に、坂本龍一のトリビュート・ネタ(矢野顕子が「千のナイフ」を最近のライヴで演奏しているのに触発されたのか?)が超絶お見事。お笑いと音楽性をここまで高い次元で融合させるとは、まさに清水ミチコの本領発揮。 さらに、恒例、矢野顕子の歌真似が、初期のマニアック曲「達者でナ」。しかも、実弟ICHIRO氏による打ち込みを加えた「やのとあがつま」風というのが、素晴らしすぎる。矢野顕子のコアなファン以外には全く響かないと思われるネタだが、自分が好きだから演るのだという信念の下、それを、ハイ・クオリティでやり切るのが、さすが矢野顕子原理主義者!! ビデオ・コーナーを挟んでの後半戦で、ICHIRO氏が登場。彼のピアノ演奏でユーミン・メドレーを披露した後、本日の特別ゲスト、憂歌団の木村充揮が登場。まずは、ソロのギター弾き語りで「嫌んなった」、「おそうじオバチャン」。これぞ、ジャパニーズ・ブルーズの頂点! カッコ良し!! そこから、清水ミチコのピアノと、ICHIRO氏のベースが加わって、3人で「恋のバカンス」、「ちっちゃなダイヤモンド」、「パチンコ組曲」、「素敵なあなた」。もう、木村充揮が自由すぎるアドリブで勝手放題、暴走しまくり。それに振り回されながらも、何とか、探り探り、合わせようとする清水姉弟。極めてスリリングだが、憂歌団を知らない人は、ドン引きだったかもしれない…。が、少なくとも清水ミチコは楽しそうだったし、私としても、武道館に響く木村充揮のダミ声とギターを堪能出来たのは胸熱だ(同時に、やはりこの人は、客席との距離が近いライヴハウス向きだなぁと思ったり)。 その後も、1970年代歌謡ネタや「作曲法」の新作(これまた、傑作!)があって、本編終了。アンコールは、忌野清志郎の訳によるBob Dylanの「Blowin' in the Wind」。物真似は照れ隠しで、結構、清水ミチコ本気のプロテスト・ソングという感じで全編終了。 なお、本日、一番拍手が大きかったのは、ネタでは無く「水を飲む清水ミチコ」。この謎の現象が自然発生的に誕生した2023年の武道館に居合わせたことは、通い続けている太客としての自慢である。 ということで、新年一発目のライヴ・イベントは、音楽的にも、お笑いとしても、超ハイ・レベル。来年の1月3日(武道館を押さえたとの報告有り)が、早くも楽しみである。 「仙波清彦 Produce 未唯mie Sings 新春 “Pink Lady Night” 2025」 @ ビルボードライブ横浜 (25.1.4)未唯mie(やはり、ピンクレディーのミーちゃんと言う方がしっくり来る)のライヴを観に、ビルボードライブ横浜に行ってきた。ピンク・レディーの楽曲を、久米大作がアレンジし、仙波清彦師匠率いる和楽器メンバーも加えたビッグ・バンドをバックに披露するという企画。 メンバーが凄い。 まずは、バンド・メンバーが舞台に上がり、獅子舞(安倍真結が担当)で縁起良くスタート。そして、派手な和服姿のミーちゃん登場。 「Peter Gunn」をバンドが演奏し始めたと思ったら、そのままピンクレディーの「S・O・S」へ。迫力あるマッシュアップだ。合間に入る仙波師匠の掛け声もカッコ良い。 続いて、「カメレオン・アーミー」。そして、King Crimsonの「21st Century Schizoid Man」のイントロから「透明人間」。間奏にはDeep Purpleの「Burn」のギター・リフを挟み、演奏の最後には、やはりKing Crimsonの「In the Court of the Crimson King」をぶっ込んでくる! この凄腕メンバーによる「宮殿」には大興奮。なるほど、このライヴは、(失礼な言い方だが)ミーちゃんをだしに使って、ピンクレディーの楽曲を好き勝手にアレンジし尽くして楽しもうという企てだな、と理解。 続く「UFO」は、オペラ調で始まりながら、途中はスカ・アレンジ。そして、ドドンパ風の「サウスポー」。インドネシアの民族楽器 アンクルンを使ったイントロから、The Beach Boysの「Good Vibrations」を組み込んだ「渚のシンドバッド」。バカボン鈴木のベース・ソロが炸裂した「ウォンテッド」。5拍子アレンジの「ペッパー警部」(滅茶苦茶、カッコ良い)。もう、やりたい放題である。 終盤、演奏はさらにヒートアップ。途中、観客席とのコール&レスポンスや、メンバーのソロ回しも挟みつつ、「カルメン'77」,「Kiss In The Dark」、「マンデー・モナリザ・クラブ」の怒濤の連打で本編終了。 アンコールは、「20th Century Fox Fanfare」からの「ピンク・タイフーン (In the Navy)」(このパートのみ、撮影可)。これで、全編終了。 場内は、法被姿の親衛隊もいるという、普段のビルボードライブとは違う雰囲気が漂う。この企画は、2010年から毎年開催され、今回が16回目ということだが、私は初参戦。ということで、当初は若干のアウェイ感も覚えたのだが、とにかく、皆さん、演奏が上手い。特に、白井良明のギターと、村田陽一のトロンボーンが印象深い。さらに、洋楽器と和楽器の音色の溶け合い具合が絶妙。終わってみれば、お正月らしい、実に楽しいイベントだった。 "BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO with special guest BOB JAMES" @ ブルーノート東京 (25.1.4)横浜でのライヴが終わると、電車を乗り継ぎ、南青山へ。コンテンポラリー・ジャズ界のレジェンド・ピアニスト、Bob Jamesが、エリック・ミヤシロ率いるBNT ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAと共演するライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。この組み合わせを観るのは、2022年のブルーノート東京以来だ。 こちらも、メンバーが凄い。 今回、私の席は前方、渡邉瑠菜の至近。開演前、小池修と本田雅人のベテラン組が、渡邉瑠菜と米澤美玖の若手組にアドバイスするSax隊の会話が聞こえてきて、ちょっと得した気分だ。 演奏は、(ミーちゃんに続いて、この日、2回目の)「20th Century Fox Fanfare」からCory Wongの「Assassin」、「St. Paul」で開始。さらに、Leonard Bernsteinの「Something Coming」(from "West Side Story")、Chick Coreaの「Got a Match」。川口千里と米澤美玖は、年末のThe Jazz Avengersのライヴで観たばかりだが、正直、BNT ALL-STAR JAZZ ORCHESTRAでの演奏の方が研ぎ澄まされている感じがあって、好印象だ。 そして、Bob James登場。1939年生まれの御年84歳。前回観たときから、2年半ほど経ったが、まだまだ若々しい姿だ。「Nautilus」、「Lover Man」と、もう1曲(曲名分からず)を演奏。知的でクール。派手さは無いが、説得力有るピアノだ。これが、ビッグ・バンドと見事に絡んでいる。やはり、凄いな。 Bob James退場後、渡邉瑠菜のスキャットをフィーチャーして、Incognitoの「Colibri」。そして、本編ラストはChick Coreaの「Spain」。この日のメンバーでは無かったピアノの宮本貴奈も登場し、中川就登との連弾で盛り上げる。さらに、宮本貴奈は(エリックの無茶振りに応え)本田雅人のフルート・ソロに即興でピアノを合わせる。2人の信頼感溢れるアイ・コンタクトが、観ている側も心地よい。 そして、アンコール。Bob Jamesが再登場し、さらに2曲で全編終了。 ということで、この日は、横浜と南青山で、トップ・ミュージシャン達の凄テクを堪能。こういう機会が多い1年になると良いな。 最近のOUT"Kalki 2898-AD" (25.1.3)2025年、最初の映画は、インドの神話をベースにしたSF大作(テルグ語映画)。主演は、魂の傑作「Baahubali / バーフバリ」のPrabhas! 共演に、ボリウッド随一の美女(と、私が確信している)Deepika Padukone嬢!! 舞台は、2898年。世界は荒廃し、空にそびえる巨大要塞に住む支配層と、地上の貧しい都市に暮らす人に二分されている。その世界で、1人の女性が「運命の子」を身籠もる。彼女を巡り、支配者側と反乱軍、さらに一匹狼の賞金稼ぎの争いが始まる。運命の子を身籠もった女性がDeepika Padukone嬢。賞金稼ぎがPrabhas。 壮大ではあるが、既視感がありまくる設定だ。”Dune”と”Star Wars”と”Blade Runner”、その他諸々のSF映画やファンタジー映画を観て興奮したインドの中学2年生男子が考えたような展開と映像が続く。この手の話が嫌いな訳ではないが、どうも、本作は私には合わない… この、厨二病ストーリーが、支配者層、反乱軍、賞金稼ぎ、それぞれの視点で交互に語られるのだが、編集のリズムが極めて悪く、のれない。Prabhas演じる賞金稼ぎが、全然、正義の人じゃなく(彼の行動原理は、賞金稼ぎで一発当てることだけ)、感情移入しづらいのも辛い。そして、なんとも消化不良のところで、唐突に映画は終わってしまう。 最後のクレジットを観て分かったのは、この作品が”Kalki Cinematic Universe”の第1作ということ。おそらく、続編では、巨大要塞に乗り込んだPrabhasが、神の力に覚醒して大活躍するのだろう。しかし、本作だけで、1つの作品としてカタルシスの有る決着を付けた上で、次回作への期待を持たせるような終わり方にして欲しかった(その点、バーフバリの、前編の終わり方は見事だった…)。残念ながら、かなり期待外れの年明け1本目になってしまった。 年末年始、関西に行っていましたが、往復、どちらのフライトも、使用機材到着遅れによる遅延。行きは30分。帰りは40分。特に、東京への帰りは、その後、自宅を経由して武道館に行く予定だったので、焦りました。羽田発着のフライトは、かなりの高確率で遅延するのだから、バッファを考慮した時刻表に見直していただけないのかと思う、年明けです。 |