IN/OUT (2024.11.17)

ようやく、暑くも寒くも無い、丁度良い気候に。例年より、2週間ほど、夏物の服をクリーニングに出すのが遅くなりました。


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「ねりぶんJAZZ~ザ・ジャズ・アベンジャーズ」 @ 練馬文化センター 小ホール24.11.16

練馬文化センタージャズ評論家・高木信哉が、今、最も聴くべきミュージシャンを紹介するという練馬文化センターのシリーズ企画に、The Jazz Avengersが出演するのを観に行ってきた。

小ホールはキャパ543席。今回の公演は、発売2日目で完売したということだ。ジャズアベの集客力なら、大ホール(1332席)でも良かったような気もする。2022年10月から2024年4月まで改修工事を行っていたそうで、以前に比べ、座席の座り心地が良くなっているとのこと。

配られたプログラムは、セットリスト、舞台図(誰がどのポジションで演奏するのかを図解)、曲目解説、メンバー紹介と、充実した物。加えて、開演前に、高木信哉の挨拶 & 解説付き。地方自治体のイベントらしい親切さだ(実際、彼女らのライヴは初めて、というお客さんも多かった)。

セットリストは、
第1部
・J-FUNK(作曲:芹田珠奈
・Tell Me(作曲:寺地美穂
・宝島(T-SQUARE / 作曲:和泉宏隆
・Pick Up the Pieces(Average White Band
・Sphere(作曲:The Jazz Avengers

第2部
・Anony(作曲:川口千里
・Actual Proof(作曲:Herbie Hancock
・cradle(作曲:WaKaNa
・As You Like(作曲:The Jazz Avengers
・Unite(作曲:WaKaNa

アンコール曲(これはパンフレットには記載されていないが
・8 STEPS(作曲:竹田麻里絵

都内開催ということで、育休のため地方ツアーには同行できないことが多いWaKaNaも参加したのだが、残念ながら、最近、ギターの瀬川千鶴が脱退。サポート・ギタリストとして大久保初夏が参加。ということで、メンバーは
・川口千里(Drums
・芹田珠奈 (E. Bass
・竹田麻里絵(Keyboards
・中園亜美(Soprano Sax.
・寺地美穂(Alto Sax.
・WaKaNa(Alto Sax.
・米澤美玖(Tenor Sax.
・大久保初夏(E. guitar

ノリの良い「J-FUNK」から演奏開始。元々、技量の優れたメンバーばかりだが、観る度に、さらに迫力を増しているように感じる。

練馬文化センター第1部のクライマックスは、やはり、T-SQUAREの名曲「宝島」から、サックスと言えばこの曲「Pick Up the Pieces」の流れだろう。申し訳ないが、The Jazz Avengersのオリジナル曲よりも圧倒的に高い完成度の曲を、このテクニシャン揃いのメンバーで演奏するのだから、熱くならない訳が無い。サポート・ギタリストの大久保初夏も、(瀬川千鶴とは違う個性だと感じたが)しっかりバンドに溶け込む好演。第1部のラスト「Sphere」のみ撮影可。

第2部では、高木信哉がリクエストし、今回、初めて採り上げたHerbie Hancockの「Actual Proof」が、やはり、スリリング。忙しいメンバーばかりで、全員での練習時間が限られていたとのことだが、流石である。今後もライヴの定番ナンバーになるかもしれない。

採り上げたカヴァー曲が凄すぎただけで、もちろん、彼女らのオリジナル曲も、クオリティは高い。特に、ラストの「As You Like」から「Unite」は、まさに鉄板曲。Saxの4人+ベースの芹田珠奈が客席に下りてきて、演奏しながら通路を歩くサービス付き。これで本編終了。

アンコールの拍手の中、登場したのは、再び、高木信哉。彼女らの衣装替え/お化粧直しの時間を稼ぐため、しばらくトーク。来年の5月にも「ねりぶんJAZZ」の開催が予定されていて、どうやら、私の好きな、あの人達が出演しそうで(練馬区の厳しい情報統制で、今は明言されず)楽しみだ。

そして、アンコールの「8 Steps」で全編終了。川口千里のドラムスを筆頭に、パワフルで心地よい演奏を堪能。


”Gladiator II”24.11.16

Ridley Scott監督の新作を観てきた。2000年の”Gladiator”の続編である。正直、前作は、映像は凄いが、いささか重厚すぎて、私はリズムに乗れなかった。24年ぶりの続編は如何に…

今作も、重厚な語り口だが、意外に印象は悪くない。古代ローマを舞台にした、堂々たるドラマ。前作の内容の大部分を忘れていても、問題なくストーリーに没入できる。ラストも上手い着地だ。カラカラ帝とゲタ帝など歴史上の人物は登場するが、必ずしも史実に忠実では無い。そこに目くじらを立てなければ、フィクションとして上手い塩梅の史実と虚構のミックスぶりだと思う。

そして、存在感を放っているのが、野心を秘めた怪しげな人物を演じる Denzel Washington。一見、快活に振る舞いながら、底知れぬ恐ろしさも感じさせ、時には "The Equalizerシリーズ"のMcCallさんのような殺しのテクニックも見せる。

それにしても、御年86歳にして、新作を撮り続けているRidley Scott、恐るべしである。既に、今作の主演Paul Mescalを起用した新作(今度は近未来が舞台)を準備中だという。


「かわさきジャズ ファクトリークルーズ」24.11.17

かわさきジャズ先週の国府弘子スペシャルトリオ+1のライヴに続き、川崎市の音楽イベント「かわさきジャズ」の企画に参加してきた。今回は、川崎の工場地帯の夜景を、船上でジャズを聴きながら楽しむというもの。演奏は、先週の"+1" 渡邉瑠菜。

18時15分、根本造船所という、ツアー発着地とは思えない場所に集合。そこから乗船し、18時30分、出港。船の二階、オープンデッキからは、夜景だけでなく、月齢16.0の満月に近い月も綺麗に見える。

かわさきジャズ出港10分ほどで、演奏開始。Sax & Vocalの渡邉瑠菜の他、ドラムス、ベース、ギター、キーボードの4人も、昭和音楽大学のメンバーだ。まずは、渡邉瑠菜作曲の、今年のかわさきジャズのテーマ曲。そして、Herbie Hancockの「Cantaloupe Island」。学生とは言え、皆、普通に上手い。これまで、ベテラン・ミュージシャンに囲まれてプレイしている姿しか観ていなかった渡邉瑠菜だが、今回は、同年代のプレイヤーを牽引するリーダーとして演奏しているのが新鮮だ。

かわさきジャズ一旦、バンドは退場し、工場夜景のガイド。と言っても、解説してくれるのは、プロフェッショナルのガイドではなく、旅行代理店に務めている、見た目、ザ・昭和、という感じのおじさん。ただ、彼の飾らない本音ベースの解説が、中々に興味深い。「工場夜景の本質は、非常階段に取り付けられた明かり」なのだ。

そして、バンドの2nd Setの演奏。Billy Joelの「Just the Way You Are」。そして、Toots Thielemansの「Bluesette」~ディズニー(シンデレラ)の「A Dream Is a Wish Your Heart Makes」のメドレー。最後に「Fly Me to the Moon」。工場夜景、月、羽田を発着する飛行機の明かりをバックにした演奏は、中々にエモーショナルだ。

かわさきジャズそして、再び、おじさんの工場夜景ガイドが入り、

バンドの3rd Set。竹内まりやの「Plastic Love」、Norah Jonesの「Don't Know Why」、そして渡邉瑠菜のオリジナル「Angry Moon」。

これで本編終了で、接岸が近づくが、アンコールに応え「帰り道」も披露。これで、ちょうど帰港。2時間の船旅終了。

かわさきジャズ工場夜景自体は、橋の上など、もっと良いヴュー・スポットがあると解説のおじさんも言っていたが、船の上という非日常の場から眺めるのは、独特の趣がある。

そして、風が強く(ヘアーエクステンションが飛ばされそうになっていた)、寒く、揺れる船上でも、まったくブレない渡邉瑠菜のサックスは、見事だった。さらに、ヴォーカル曲でも、私が偏愛する「Don't Know Why」が意外なほどハマっていて、大いに好印象。参加して正解のイベントだった。



米国の次は、兵庫県でも…。マスコミなど既成の組織が発信する情報を否定さえすれば、「目覚めた」ことになると思い込むのは、極めて危険な気がするのですが、若い世代では、そちらが多数派だと突きつけられると、どうしたものだか……。