IN/OUT (2024.8.11)

気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表し、その直後には、神奈川県西部でも地震発生。後者は、南海トラフ地震とは無関係ということですが、何とも落ち着かない今日この頃です。


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"THE JAZZ AVENGERS Live 2024 ~8 STEPS~ ​in SHIBUYA"@ LINE CUBE SHIBUYA24.8.6

LINE CUBE SHIBUYAThe Jazz Avengersのライヴを観に、渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)に行ってきた。

2021年に、イベントのために川口千里が集めたミュージシャンが、そのままバンドとして活動を継続。今年、2枚目のアルバム"8 Steps"を発表した彼女らにとって、これが初の大ホール単独公演である。

彼女らのライヴを観るのは、”JAZZ-FUSION SUMMIT 2024"に続いて2度目。正直、バンド名はダサいと思う(この音楽性で、自ら”Jazz”と言い切るのも、”Avengers”を名乗るのも、何だかなぁ…)。

が、ドラムスの川口千里を筆頭に、ソロ活動はもちろん、数々のセッションに引っ張りだこの実力派メンバーが揃っている。
・川口千里(Drums
・瀬川千鶴(E. guitar
・竹田麻里絵(Keyboards
・芹田珠奈 (E. Bass
・米澤美玖(Tenor Sax.
・寺地美穂(Alto Sax.
・WaKaNa(Alto Sax.
・中園亜美(Soprano Sax.
この内、川口千里・米澤美玖・寺地美穂は、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラで何度も観ている(と言うか、それが、このバンドに興味を持ったきっかけだ)。

開演前、個人的には、客入れの音楽がBasiaだったのが嬉しい驚き。彼女らとは、年代も音楽性も違うと思うのだが、誰の選曲だ?

そして開演。舞台上にWaKaNaの姿は無い。しばらく産休を取っていて、先月のJAZZ-FUSION SUMMIT 2024でライヴに復帰していたのだが、まだ、フルの単独コンサートは厳しいか。7名のメンバーで、新アルバム”8 Steps”収録の”J-FUNK”からライヴスタート。途中、キーボード、ギター、ベース、そして、ドラムスとソロを回すのだが、やはりこのバンド、華やかなサックス隊以上に、後方支援部隊の演奏力が見事だ。私は、川口千里のドラムスをほぼ真正面に見られる角度の席だったので、彼女の迫力有るスティックさばきを堪能。

その後も、アルバム収録曲、”Exploration”、”Tell Me”と披露していく。そして、カヴァー曲、YOASOBIの「アイドル」をベースとサックス3本でキメ、さらに、Average White Bandの”Pick Up the Pieces”をダイナミックに披露し、演奏力の高さを見せつける。ただ、”Pick Up the Pieces”はあまりに名曲過ぎて、彼女らのオリジナルと、曲としてのクォリティーの差が目立ってしまったかも…。そして、1st アルバム収録の”Funkadelic Muse”で、第1部終了。15分間の休憩。

第2部。新アルバム収録曲 ”Anony”、”Why Not?”。そして、3曲目に”cradle”を演奏するところで、その作曲者でもあるWaKaNa登場。コンディション的にフル出演は厳しくても、後半は行ける、ということだろう。フルメンバーが揃うと、やはり、このバンドは4管の音の厚みがあってこそだと実感。

LINE CUBE SHIBUYAここからは、怒濤の終盤。”8 STEPS”、”As You Like”、そして、”Sphere”で本編終了。なお、”Sphere”の演奏時のみ撮影可。

アンコール。全員、ツアーTシャツに着替えての”Unite”で、全編終了。

期待通り、8人全員、素晴らしいテクニックと華やかなステージングで楽しいライヴだった。正直、スクリーンに投影されるライヴ映像のカメラワークがイマイチだったり、MCが硬かったりなど、不満に思うところもあったし、もう少し、曲調のヴァリエーションがあっても良いような気もした。が、デビュー3年目で既に、”Unite”や”As You Like”といった鉄板曲を持っているのは強いなぁと思う。そして、何よりも、私の大好物、ライヴ冒頭から全編、叩きまくりの川口千里のドラムスでお腹一杯。つくづく、良いドラマーだ。


"Boléro"  (24.8.10

名曲 "Boléro"の作曲者、Maurice Ravelの伝記映画を観てきた。

冒頭のクレジットに流れる、様々なアレンジ/ヴァージョンの"Boléro"が、まずは楽しい。バレエ音楽の枠に囚われず、ロックにもジャズにも引用され続ける、まさに名曲だ。

しかし、そこから始まる物語は、いささか取っつきにくい。時系列を複雑な入れ子構造で描く手法は、彼の生涯について予備知識の無い人には不親切過ぎると思う。事前に、予習しておいた良かった。Wikipediaなどに掲載されている逸話の多くが、画面上に再現されている。

Ravelという人、面倒な性格の天才芸術家だが、ダンディーで、友人に恵まれ、女性にもモテる。ただ、女性と本当に深い関係に陥ることは無く、生涯独身。映画では、彼の複雑な性格を精神分析的に掘り下げることはなく、淡々とこういう人だと提示するだけ。ここも、不親切という気もするが、後世の人間があれこれ理屈をこねるのも失礼か。

映画では、彼の後半生が描かれるが、メインは、バレリーナに依頼された新曲作りに苦悩する様子だ。観る側は、完成した"Boléro"を知っているので、彼がインスピレーションの断片を得ていくところは、倒叙物のミステリを観るようなワクワク感がある。彼自身は、あの中毒性の高い反復を、現代科学的・メカニック的と捉えていて、官能性には気づいていなかった(バレリーナのエロティックな振り付けに、当初は激怒する)というのが、興味深い。

記憶障害や言語障害が進行する辛い晩年も映像化。観る前に、Ravelの生涯や人となりをググっておくことが必須だと思うが、"Boléro"という曲に関心がある人には、鑑賞する価値大の映画だ。



大地震は、遅かれ早かれ、必ず起こるわけで、どうせなら、むしろ早い方が良いという気もします。足腰も認知機能も衰えた頃(それほど遠い未来でも無さそう……)に災害に遭うのは、勘弁願いたいものです。