IN/OUT (2023.1.8) |
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正月休みもあっという間に終わり、通常運転になりました。 最近のIN「清水ミチコ リサイタル in 武道館 ~カニカマの夕べ~」@日本武道館 (23.1.2)年始吉例、清水ミチコの日本武道館ライヴを観に行ってきた。2013年の年末、別の大物の公演がドタキャンになった事で、急遽、開催が決定したのを皮切りに、開催時期を年始に移して続いている清水ミチコ武道館公演も、これで9回目。私は、6度目の参戦。清水ミチコに言わせれば、そこそこの太客である(フル参戦ではないので、"極太客"にはなれないが…)。 今回、私の席はアリーナ。それも、前から2列目というMy武道館史上最強のポジション。ここで運を使ってしまって、2023年大丈夫か?という気もするが、スクリーンを観なくても、直接、本人の表情を目視できる席はありがたい。 パフォーマンスは、意表を突く中条きよしネタでスタート。毎度、彼女の時事ネタを切り取る角度の鋭さには爆笑しつつ、感心する。そして、今年の裏テーマは「祝 ユーミン50周年!」。前半から、ユーミソも全開である。 実弟 イチロウ氏も登場。彼と二人のパートは、完全に趣味の音楽。モノマネ成分は加えているが、似せる気よりも、自分たちが好きな音楽を演奏したいという気持ちが前面に出ての、忌野清志郎が訳詞を書いたHedy Westのフォークの名曲と、矢野顕子の新名曲。つくづく「お笑い芸人」という枠ではくくれない才人だ。 鉄板の瀬戸内寂聴物真似とボカロ世代の覆面歌手を組み合わせた新ネタには、新しい物にもアンテナを張り続けるチャレンジ精神を見る思いだ。そして、私の大好物、作曲法の新ネタも期待を裏切らないクオリティ。この、歌マネではなく、その人の音楽性を解体・再構築するという高度なネタは、もはや物真似の脱構築。彼女にしか出来ない領域だ。 また、観客イジりも、彼女のライヴのお楽しみ。特に、武道館公演の観客は、わざわざ正月休みに集結する好事家達だけに、舞台と観客席との信頼感のようなものが感じられる。(その場に居合わせた人にしか伝わらないが)「水を飲む清水ミチコ」だけでたっぷり遊べる空間、心地よし。 すっかり年始の定番イベントとなったライヴに今年も行くことが出来、幸先の良い2023年のスタートである。 「おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり」@SOMPO美術館 (23.1.7)The Royal Botanic Gardens, Kew(英国キュー王立植物園)の協力のもと開催されている、ボタニカル・アート(植物画)の展覧会を観に、SOMPO美術館に行ってきた。 SOMPO美術館を訪れるのは初めてだ。てっきり、安田火災海上本社ビル(今は、損保ジャパン本社ビル)の高層階にあるものだと思っていたが、2020年に別棟を新築して移転していた。ただ、新しい美術館の割には、展示室・売店・喫茶コーナーなど、いずれも極めて普通。建物としての魅力は乏しい印象だ。 Kew Gardensのボタニカル・アートと言えば、2021年に東京都庭園美術館で開催された展覧会を観たが、今回は、食用となる植物を描いた作品に特化というのがミソ。 ただ、ボタニカル・アート自体は、図鑑に掲載される図表のようなものなので、芸術的な驚きのようなものは無い。そのため、英国の農業史や食事情に関する言及が多かったり、「茶」を描いた絵が展示されているセクションに当時のティーセットを再現するなどの工夫を凝らしていて、それが興味深い。 また、1800年代に刊行された家政読本やレシピ本も展示されている。そこに付された解説文に「この通りに作れば、今でも絶品のチョコレートクリームが出来上がります」と書かれていたのが好印象。 ただし、解説文ということでは、肝心のボタニカル・アートに付されているものが、作者についての解説、絵画の技法についての解説、描かれている植物についての解説(何故か、リンゴの品種については特に詳述されていた)が混在しているのは、いささか不親切な気がした。一点突破型の美術展として、興味深くはあるのだが、ちょっと詰めが甘いかな。 しかし、第二月曜日が成人の日。正月休み明けの直後に三連休があるというカレンダーは、調子が狂うというのは、毎年感じるところです。 |