IN/OUT (2024.7.14)

東京都知事選、結局、現職が優位だったというオチでしたが、投票前も投票後も、中々に面倒くさい騒動ぶり。東京都だけでなく、世界中の選挙を見ていても、民主主義の理想って、結局はポピュリズムに飲み込まれてしまうという思いを強くしてしまいます。


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DIANE BIRCH @ ブルーノート東京24.7.11

ブルーノート東京米国のシンガー・ソングライター Diane Birchの公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

2009年のアルバム ”Bible Belt”でデビューした時は耳にしたことがあったが、その後は、すっかり忘れていた(寡作な人で、アルバムのリリースも少ないはず)。今年、10年ぶりのオリジナル・アルバム”Flying on Abraham”をリリースしたそうだ。

以前、ブルーノート東京に行ったときに、場内で告知のヴィデオが流れているのを見て、彼女の存在を思い出し、チケットを取得。実質、ほぼ予習無しだが、果たして…

バックは、
・Paul Stacey(guitar
・Nick Pini(bass
・Jeremy Stacey(drums)。

驚いたことに、ドラムスのJeremy Staceyは、King Crimsonの"UNCERTAIN TIMES JAPAN TOUR 2018"と、”MUSIC IS OUR FRIEND JAPAN 2021”の来日メンバーだ!まさか、Diane BirchとKing Crimsonが繋がるとは!! 因みに、彼はその他にも、Noel Gallagher's High Flying Birds、Gilbert O'Sullivan、Steve Hackett、Sheryl Crow、Sia、Echo & the Bunnymen等々、錚々たるミュージシャンと共演している。そして、ギターのPaul Staceyは双子の兄弟。彼もまた、Noel Gallagher's High Flying Birdsなど、Jeremyと共に、様々なミュージシャンとプレイ。Nick Piniも、Gilbert O'Sullivan、Tom Jones等々と共演。予想外の豪華バック・バンドだ。

舞台上は、向かって左にギター、中央にピアノ、右にドラムスとベースという布陣。私は、DianeとJeremyに至近という、個人的には理想的な席だ。

開演。ご陽気かつフレンドリーな様子でDiane Birch登場。そして、演奏が始まる。一聴して、ぶっ飛んだ。4人の演奏力が半端ない。曲調は、アメリカの女性シンガー・ソングライターの王道。Carole Kingにカントリーの要素を加えたような感じだが、4人の音のカッチリしたハマり具合が完璧で、超絶心地良い。特に、(King Crimsonのような変態アレンジとは真逆の)シンプルなプレイに撤したJeremy Staceyのドラムスの奥深さよ。そして、Dianeは、上体を揺らし、髪を振り乱しながら、安定したピアノと歌唱力、そして豊かな声量で、ウルトラ・テクニシャン揃いのバック・バンドを見事に従えている。彼女がこんな実力者だったとは……。10年以上、追っかけていなかった事を後悔。

演奏も素晴らしいが、途中のMCも実に巧み。新アルバムのプロデューサーでもあるPaul Staceyをいじり(ステージ上では仲良くしてるけど、バックヤードではバチバチよ!)、持ってきた扇を見せびらかし(ハンディ扇風機よりも、こっちが好き。私の華麗な手首の動きを見て!)、ブルーノート東京が用意したミネラル・ウォーターを褒め称え(ステージ上でも飲みやすいように、わざわざボトル・キャップに穴を開けてストローを刺してある。こんなの、西洋ではありえない!)等々、とにかく、コミュニケーション能力高し。観客全員を完全に掌握した感じだ。

最も印象深かったのは(オリジナルではなくて恐縮だが)Christopher Crossの”Ride Like The Wind”のカヴァー。4人の演奏力の高さがフルに発揮された熱演。

本編最後は、私でも知っている初期のヒット曲”Nothing But A Miracle”。やはり、名曲。そして、アンコールは、Dianeの煽りで観客総立ちの中で、さらに2曲。最後の”Fools”は、予定に無かった曲らしいが、観客のリクエストに応え、堂々たる演奏。これで全編終了。あぁ、楽しかった。そして、素晴らしかった。

因みに、ライヴの興奮冷めやらぬうちに、YouTubeを探っていると、過去のインタビュー映像が見つかった。そこで、彼女が挙げていた好きなミュージシャンが、Bauhaus、Echo & the Bunnymen、The Cure。私と好みが被っている……。やはり、Diane Birch、追いかけるべきミュージシャンだ。


"A Quiet Place: Day One"  (24.7.13

隕石に乗ってやって来た、視覚はなく、代わりに聴覚が極めて発達した怪物が世界中に蔓延。人類の大半はそいつらに食い殺されてしまったという設定で、生き残った人達のサバイバルを描いた2018年の"A Quiet Place"、そして、2020年の"A Quiet Place Part II"に続く、シリーズ3作目を観てきた。

ただし、今回は、前日譚。監督だったJohn Krasinskiは脚本と製作に回り、監督はMichael Sarnoskiに替わっている。主演だった(John Krasinskiの妻でもある)Emily Bluntの出演も無し。と言うことで、当初は観るつもりは無かったのだが、とても評判が良いのである。描かれるのは、Day One=怪物がマンハッタンに襲来した日。観る側は、この怪物を人類が倒すことが出来ないことを既に知っている訳で、どのようなストーリーが展開するのか?

Lupita Nyong'o("Black Panther"でお馴染み)が演じる主人公の設定が秀逸。彼女は、末期癌でホスピスに入所しているのだ。他の患者や介護人と共に、マンハッタンの劇場を訪れたところで怪物の襲来に遭遇するのだが、死期が近い彼女の行動原理は、他の人達とは異なる。マンハッタン島から脱出するため港へ向かう人達とは逆行して目指すのは、ハーレムにある「ピザ屋」。その理由が泣かせるのだ。

もう一人(一匹)主役と言えるのが、彼女の飼い猫のFrodo君(CGではなく、実際の猫が演じている)。怪物が、自分よりも上位の捕食者であると本能的に認識したのか、鳴き声を上げて主人公の足手まといになるような事はしないお利口さん。病気の彼女に献身的に寄り添っているが、一方で、彼女と心中するつもりは微塵も無い、クールな猫だ。

末期癌患者と猫を主人公にすることで、怪物から逃げ惑う人達のサバイバルという定型から外した物語を構築した製作陣のアイディアが光る。ラスト・シーンに流れるNina Simoneの"Feeling Good"は、ベタだけど、この曲しか無いよなぁ。


”Baahubali: The Beginning” & "Baahubali 2: The Conclusion" @109シネマズ プレミアム新宿  (24.7.14

109シネマズ プレミアム新宿魂の傑作、「Baahubali: The Beginning / バーフバリ 伝説誕生 完全版」・「Baahubali 2: The Conclusion / バーフバリ 王の凱旋 完全版」が、109シネマズ プレミアム新宿で上映されている。それも、20分以上もカットされたインターナショナル版ではなく完全版を、前後編、立て続けに上映という快挙。これは行かねばならない。

この劇場を訪れるのは2回目だ。前回は、高橋幸宏のライヴ映像を鑑賞し、その音響の良さ(坂本龍一が音響システムを監修)が好印象だったが、今回、劇映画を観ても、その音質は見事だった。戦闘シーンに流れる重低音を効かせた音楽の迫力も、豪華なミュージカル・シーンの華やかさも、見事に響かせてくれて、結果、映画にのめり込める。この作品、インド映画らしく音楽の要素も大きく、かつ、名曲揃いなのだ。

ということで、多分、8回目ぐらいの鑑賞だが、やはり素晴らしい。「伝説誕生」が16時55分~19時45分。「王の凱旋」が20時15分~23時15分。三連休の中日、6時間超ぶっ通しで、王を称えたのである。なお、この映画館は全席プレミアム仕様。一般の映画館よりも割高な料金だが、ドリンクとポップコーンが料金に含まれていることを考えれば、ぼったくりという程では無く、なにより、長時間座っていても腰が痛くならないリクライニング・シートなのが有りがたい。

109シネマズ プレミアム新宿因みに、同じくS. S. Rajamouli監督の「RRR」も9時30分~12時40分に上映されているのだが、そちらはパス。私は、圧倒的にバーフバリ派なのである。と言うか、さすがに9時間はキツい……。



今のSNSの悪いところも目立ちました。「エコーチェンバー現象」に「フィルターバブル」、そして、自分のタイムラインに流れる切り取られた情報だけでマウントを取り合う人達。私自身もその影響はしっかり受けている訳で、絶望的な気分にもなりますが、こういう状況を解決出来るのは若い世代だと信じたい、今日この頃です。