八ヶ岳高原音楽堂で、2011年(ソロ公演)、2017年(石川さゆりさんとの共演)、2019年(ソロ公演)、2022年(ソロ公演)に続き、弾き語り公演が開催されました。すっかり年中行事です。
誤りのご指摘や追加情報等あれば、送って頂けると助かります。
土日、2日間の公演だが、私は、土曜日のみ参戦。中央線で小淵沢。そこから小海線に乗り換える。野辺山駅で下車し、送迎バスで八ヶ岳高原ロッジまで15分ほど。到着後、周囲を散策し、ロッジ内で昼食の後、山の中の遊歩道をてくてく歩いて、音楽堂へ。標高1,500mの地に建つ、八ヶ岳高原音楽堂。木の温もりを活かした六角形の建物で、キャパは250名。と、ここまでは昨年とほぼ同じ文章。この会場も、すっかり年中行事になった感じだ。
14時30分、開場。コロナ禍前は、ロビーで、ワインやジュース、軽食のサービスがあったのだが、昨年同様、今回もウェルカム・ドリンクはペットボトルの水だけ。もう、これが新しいスタンダードかな。一方、入場時に座席番号が書かれた紙を選ぶという抽選制で座席が決まるのは、いつも通り。今回は、前後ほぼ中央、左右やや左寄り。ポジションとしては悪くは無いが、観客席の傾斜がほとんど無く、前の人の頭に隠れて演奏中の矢野さんの姿が極めて見づらい席になった。
15時、「夏休みの子供」で開演。Steinwayのピアノもヴォーカルも、柔らかく上品に響く。本当に素晴らしいホールだ。
もう1曲、夏の歌の後は、この夏のこれまでのライヴでは演奏していなかった曲が続く。矢野さんの歌唱は、適度にリラクッスした感じもあって、リゾートっぽいなと感じたり。
そして、矢野さん作詞・高橋幸宏氏作曲の「仕事を終えたぼくたちは」。例によって、矢野さんの口から湿っぽい言葉が出ることは無かったが、気持ちが入っているのが伝わってくるパフォーマンスに涙腺が緩んでしまうし、ユキヒロのポップ・センスに改めて感心させられる(複雑な構成の、教授の「千のナイフ」とは対照的と言えるかな)。
「君に会いたいんだ、とても」からは「ドラゴンはのぼる」と「ごらん」。カッコ良し。やはり、あの作品は名曲揃いの「弾き語りプログレ・アルバム」だという個人的印象が強まる。
「春咲小紅」の後は、「千のナイフ」。この夏のシリーズでは欠かせない曲だ。この会場の素晴らしい音響を得て、ピアノとスキャットに込められた熱量がさらに増幅したような演奏。そして、クールダウンするような「ひとつだけ」で本編終了。この流れ、つくづく素晴らしい。
アンコール、コクヨの椅子=ingLIFEピアノ演奏用特注バージョン(ここまで運んできたんだ!)の説明の後、先日のエコルマホールに続いて、これが2回目の披露となる「潮騒のメモリー」。まだ試行錯誤中との事だが、確実に定番曲に向けて熟成しつつあるようだ。ただ、この曲では、矢野さんのカヴァーの真骨頂=奔放なようで、実は、曲の肝となる部分を的確にすくい取って磨き上げたアレンジ、というのが発揮しきれないないのではないかという危惧も、個人的には感じてしまう。宮藤官九郎氏の詞は、徹頭徹尾、ふざけているからなぁ…(もちろん、そのふざけ方が「あまちゃん」というドラマを見事に引き立てているのは承知しているが)
最後に「ラーメンたべたい」で全編終了。やはり、美しい環境に囲まれた素晴らしい音響のホールでの矢野さんのパフォーマンスは一味違う。行くのは大変だが、今後も続けてほしいなと思う。そして、終演後、セットリストが会場に貼り出されるだけでなく、高原ロッジのロビーにも、持ち帰り用プリント・アウトが積んであるという心遣いには、毎年の事ながら感心した。やはり、良いホールだ。
【追記】自分は行けませんでしたが、日曜日のセット・リストをメールでいただいたので、掲載できました。K.池田さん、ありがとうございます。