2015年夏、二箇所でソロ公演も行われました。町田の方に行くことが出来ました。
誤りのご指摘や追加情報等あれば、送っていただけると助かります。
町田駅から、徒歩10分弱。元ボーリング場だっという町田市民ホール。キャパは862名。全席完売である。
一曲目、すっとフェードインするような感じで「春咲小紅」。リバーブを深めにしたPAのせいなのかもしれないが、このホール、結構、独特の響き方のような気がする。残響は多いのだが、それが透明感のある響きで、ピアノもヴォーカルも、とても綺麗に聞こえる。良い感じだ。
一曲目が春、二曲目が夏の終わりと来て、三曲目で二ヶ月ほど季節を遡るという選曲の後、「横顔」。これが良い演奏だった。一連の矢野顕子トリオでの激しいライヴが、前日の札幌で終了したばかりなのに、見事な切り替え。流石だ。ここで、大貫さんの話題がひとしきり。新しいCDと一緒に、味噌(詳細は、「大貫妙子」「味噌」「北海道」あたりをキーワードに検索)が送られてきたそうで、その味噌のパンフに付いていたお写真のことなどなど。盟友の話題で盛り上がる矢野さん。やはり、今日は、リラックスムードだな。
新アルバムから「そりゃムリだ」。8月8日のJ-WAVEのイベントで初めて聴いた曲だが、やはり痛快な歌詞。そして、今回、初めて聴いた「大丈夫です」も、最近の矢野さんらしい楽曲だと思う。これからライヴを重ね熟成していくと、かなり印象が変わっていくタイプの曲かもしれない。
前日観たテレビの影響で「気分はアルゲリッチ。指が若干違うけど」と言いながらスタートしたのは、思い切り崩したアレンジの「股旅(ジョンと)」。アレンジも、歌詞も、かなり大胆なことになっていたが、啖呵を切るところは、バシッと決める。
次の曲は「ラーメンたべたい」と「YES-YES-YES」のどちらが良いか会場に問いかけるも、「やっぱり『YES-YES-YES』の方は配信で聴いてください」ということで、「ラーメン」に。個人的には、ちょっと残念だったが、前日の札幌のラーメン屋の話を曲中に織り込み(昔から矢野さんのサインを飾ってくださっているラーメン屋を久しぶりに訪れると、色紙の数はすっかり増えていたのだが、矢野さんの色紙の隣には小田和正さんのものが!)、楽しい演奏だ。途中の効果、照明さんGood Jobでもあった。
「あたまがわるい」は、これまで、トリオでのビートの効いたアレンジで馴染んでいたので、弾き語りバージョンは新鮮だ。それにしても、ここまでの矢野さんの楽曲のタイトル、「そりゃムリだ」「大丈夫です」「ラーメンたべたい」「あたまがわるい」と並べると、即物的過ぎて、なんとも味わいがあるなぁ。
珍しく「百恵ちゃん風」の正調フレーズも一瞬顔を出した「いい日旅立ち」、そして「ひとつだけ」で本編終了。今日の「ひとつだけ」の終盤は、完璧な終わり方だったと思う(「今日は来てくださってどうもありがとう。気をつけてお帰りください」の決め台詞の入り方も含め)。
アンコール一曲目は、弾き語り曲としてもすっかり確立した感のある「飛ばしていくよ」。そして、新アルバムにも収録される「PRAYER」の美しい調べと、ここでも照明さんのGood Jobで全編終了。
全体に、良い加減に肩の力の抜けた演奏だったと思う。怒濤のトリオでの演奏が終わった直後だったからこそか。会場の音響も合わせ、とても聴きやすく、リラックスした感じの公演だった。