矢野顕子 ふたりでジャンボリー 糸井が書いて矢野が歌う1101曲(の予定)


デビュー40周年記念イベント、今回は、新宿文化センター 大ホールで、糸井重里さんをお招きして、裏話たっぷりのトークも充実のイベントになりました。
誤りのご指摘や追加情報等あれば、送っていただけると助かります。

メンバー
2016年9月2日(金):新宿文化センター 大ホール

button メンバー

糸井重里

一行 = 一千万円でお馴染みのコピーライターにして、作詞家として矢野さんを強力にサポートしてきました。今回は、(実は自慢らしい)ギターは封印し、トークのみ。

矢野顕子(piano, vocal

いつもより多めのトークでしたが、演奏もバッチリ。

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button 2016年9月2日(金):新宿文化センター 大ホール

buttonセットリスト

  1. CHILDREN IN THE SUMMER
  2. しんぱいなうんどうかい
  3. 女、キラキラ。男、そわそわ。(旭川 ams CMソング
  4. SLEEPING DUCK (糸井重里
  5. おいしい生活
    この後、CM三本 上映 「西武百貨店:不思議大好き ピラミッド編」・「タッパウェア:さいこうのおかあさん」、「ハウス食品:クリームシチュー」
  6. クリームシチュー
  7. へびの泣く夜
  8. にぎりめしとえりまき
  9. 自転車でおいで
  10. 夕暮れのなかに (新曲
  11. 野球が好きだ (新曲
  12. ただいま
  13. 春咲小紅
アンコール
  1. SUPER FOLK SONG
  2. SUPER FOLK SONG RETURNED (新曲

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新宿文化センターのロビーには、かなり昔の物から最近の物まで、矢野さん関連のポスターが展示されている。果たして、ミュージシャンではない糸井さんと、どのような「ジャンボリー」になるのか?

まずは、ソロで二曲。続いて、糸井さん登場。舞台向かって右に設置されたソファーに二人で座る。手元の紙をスクリーンに投射できるプロジェクターを使って、糸井さん手書きのオリジナル歌詞カードを見たりしながら(当時、FAXでやり取りしていたものなどが大量に出てきて、矢野さんの物持ちの良さにビックリ)、二人で作品に関するあれこれを話す。で、矢野さんがピアノに移動し、話題になっていた曲を演奏。演奏が終わると、また、二人でお話し、という流れで、これまで二人で共作してきた1101曲()の作品の中から、選りすぐったものを紹介するという趣向。

普段の矢野さんのライヴでは、まず演奏されることの無い曲が取り上げられるのが楽しい。まず、二人を引き合わせたON・アソシエイツの大森昭男氏の名前が挙がり、初の共作、旭川 amsのCMソング「女、キラキラ。男、そわそわ。」。さらに、糸井さんのソロ・アルバム「Penguinism」収録の「SLEEPING DUCK」。どちらも、埋もれさせるには勿体無い、1980年代初頭の世の中の勢いというものまで感じさせる名曲だ。

ここで、TV CM三本、「西武百貨店:不思議大好き」、「タッパウェア:さいこうのおかあさん」、「ハウス食品:クリームシチュー」を上映。この時代のCM業界って、良くも悪くも金に糸目を付けず、尖っていたなぁ。

長い歴史のお二人だけに、興味深い発言も次々飛び出す。糸井さんが、傑作「自転車でおいで」の呪縛から逃れようと、ヒット狙いで「CHILDREN IN THE SUMMER」を書いたこと。そして、矢野さんは「自転車でおいで」を、矢野・坂本コンビによるサウンドとして最高傑作だと認識しているということ。また、お二人の歌詞に対する解釈が、結構、食い違っていたことが判明したのも、意外(「ニットキャップマン」の、死んじまった男なんて のところなど)。「にぎりめしとえりまき」の英語タイトル [THE RICEBALL AND THE MUFFLER]のマフラーは、"scarf"と言わなければネイティヴに意味が伝わらないことが後になって分かった事(mufflerだと、エンジンの消音器だと思われるそうだ)。などなど。

喋っては歌いの繰り返しなので、通常のコンサートのように、演奏の連続の中でテンションがどんどん高まるという訳にはいかないが、プレイのクオリティも中々のもの。特に「にぎりめしとえりまき」や「ただいま」は、とても良かった。そして、新曲も披露。壮大な雰囲気で、糸井さんが思わず「インストでも良いね」と口走ってしまった「夕暮れのなかに」。そして、楽しい「野球が好きだ」。本編ラストは「春咲小紅」。

アンコールは、オリジナルの歌詞カードがスクリーンに映されて「SUPER FOLK SONG」(この曲を聴くと、「らったったー」や「村」の意味は、今の若い人には伝わってないのだろうな、と思ってしまう)。そして、大トリは、まさかの続編「SUPER FOLK SONG RETURNED」。まさるくんもみどりちゃんも、今や 64歳!という設定。「春咲小紅」の歌詞からの引用など、遊び心たっぷりの歌詞に組み合わさるのは、これまた、いかにも続編らしいメロディーとアレンジ。会場爆笑である。これ、もしかしたら、今後中々披露される機会のない幻の曲になるのでは?

トークが長かったため、三時間弱の長舞台だったが、その作品群のクオリティの高さに改めて刮目すると同時に、自作解説しながらも、どこまでも軽やかさを忘れないトークに、二人のしっかりと築かれた信頼関係が伝わってくるところなど、どこを取っても楽しいイベントだった。

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