IN/OUT (2024.12.8) |
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矢野顕子×上原ひろみの新譜が発売されたのを機に、モバイル環境で使うヘッドフォンを新調することにしました。カナル型の装着感が苦手な上に、外で使う場合、環境音が聞こえないのは怖いということで、これまでambieのイヤカフ型の物を使っていたのですが、いかんせん、音質がショボい。まぁ、ヘビーユーザーではないので、あまり拘っても仕方ないのですが… 最近のIN"Club Zero" (24.12.7)Mia Wasikowskaの主演作を観てきた。チャーミングな人だと思うのだが、私が観た作品だと、 彼女が演じるのは、栄養学の教師。名門校に赴任してきた彼女は、生徒達に「意識的な食事」を教える。これにより、心身の健康を高めるだけで無く、食事量を減らすことで地球環境にも貢献できるのだ。その教えに心酔する生徒達は、やがて、人間は食事を全くしなくても生きられる、という彼女の過激な思想にも染まっていく。 一切、感情を高ぶらせること無く、しかし、着実に生徒達を洗脳していくMia Wasikowska。恐らく、彼女自身が、自分の思想を信じ切っており、良かれと思って行動しているのだ。そんな彼女に感化され、トンデモ思想を受け容れ、自分たちこそ「真実」に目覚めていると信じる生徒達。これは、今の日本でも目立つようになった風潮とシンクロしている。これが、怖い。私も、「真実」という言葉を使う人のことは警戒するようになっている。目覚めた(と自分では思い込んでいる)人というのは、面倒くさいを通り越して、危険な存在になりがちだと思う。 ということで、極めて現代的な問題意識を持った映画だ。ただし、「ハーメルンの笛吹き男」からこの物語を着想したというJessica Hausner監督は、教訓めいた話にすることも、ホラー演出を前面に出すこともしない。妙にポップな色使いと、捻くれた画面設計。そして、オフビートな展開。何とも引っ掛かり感のある、(古いミステリー用語で言うと「奇妙な味」という感じの)怪作だ。 「上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder JAPAN TOUR 2024」 @ アクトシティ浜松 大ホール (24.12.8)昨年に続いて、上原ひろみのプロジェクト” Hiromi's Sonicwonder”の公演を観に、浜松に行ってきた。彼女の故郷での凱旋公演は、他会場とは一味違う盛り上がりで、極力、参戦したい(しかも、JAPAN TOURの初日でもある)。 ということで、年に一度の浜松詣。例によって、開演前には、アクトシティ浜松周辺を散策したり、楽器博物館で古楽器アンサンブルを聴いたりして過ごす。 本題、Hiromi's Sonicwonderのメンバーは、 ステージ向かって左から、ピアノ、トランペット、ベース、ドラムスの順で並び、演奏開始。1曲目こそ、旧曲「XYZ」でスタートしたが、2曲目の「Utopia」以降、基本、昨年のアルバム「Sonicwonderland」の収録曲からの演奏だ。ただ、どの曲も、昨年以上にアグレッシヴな印象にヴァージョン・アップ。ひろみ嬢の超絶技巧は言うまでもないド迫力だが、それと一体化したバックも見事。Gene Coyeの独特のグルーブ感あるドラムス、派手に前面に出ることは少ないがセンスの塊のような技巧派 Hadrien Feraudのベース、そして、Adam O’Farrillのエフェクターを効かせた(その操作を、演奏中に左手で行う!)トランペット。中心となる印象的なフレーズは残しつつも、そこから自由奔放に展開して、戻るべき所は4人ピタッと揃うところが、実に心地良い。 2曲演奏後、最初のMCに、ひろみ嬢の郷土愛が溢れているのも楽しい。「帰ってきたに~」。そこからさらに「Trail and Error」、「Sonicwonderland」と、アガる曲が続いて、20分間の休憩。 第二部も(当たり前だが)演奏の迫力は高まるばかり。6曲目「Up」の終盤、昨年も驚いたGene Coyeのクセ強ドラムス・ソロ。ただ、昨年よりは分かりやすくなっていたかな。そして、夏のブルーノート東京公演で初披露した新曲「YES! RAMEN!!」。バンド・メンバーも(食事に気を遣う健康志向のHadrien以外は)ひろみ嬢のラーメン愛に洗脳されてしまったそうだ。サービス精神たっぷりの熱い演奏で。本編終了。 アンコールは、ひろみ嬢のソロ「The Tom and Jerry Show」("浜松まつりの信号ラッパ"のフレーズを入れる地元サービス付き)と、4人揃って、ご陽気な「Bonus Stage」の演奏で大団円。浜松公演恒例の、ひろみ嬢のシャウト「浜松、サイコー!」で、全編終了。観ている我々も「浜松、サイコー!」なのである。 結局、なんやかんや拘ってしまい、Bose Ultra Open Earbudsを選択。外出時に使う物とすれば、十分すぎる音質。装着感も良好。ただ、このタイプのものは、周囲への音漏れが不可避。音質が良いと、ついつい音量を上げそうになりますが、どれぐらいの大きさで漏れているのか自分では分からないのが怖いですね。 |